Turedure Lilax Diary

「徒然」―何もする事が無くて、どう時間を過ごしたらよいのかと思うこと、様子。(三省堂 新明解国語辞典)

ステップ

2012-10-04 21:55:00 | 本棚
「ステップ」重松清(中公文庫)

親子の物語と言うよりは、家族の成長物語と言う風に感じました。
突然妻に先立たれて残された父と子、と言うと同じく重松清の「とんび」という作品が思い浮かぶのですが、喜怒哀楽を露わにして子育てに大奮闘する「とんび」のヤスさんとはだいぶ違う本作の健一さん。物心つく前にママを亡くした娘。亡くなった妻の両親と兄夫婦。それぞれが家族を失った寂しさと向き合いながら成長していく物語でした。

ちなみに、タイトルの「ステップ」には足取りや歩みの意味とステップファミリー(血縁のない家族)の意味が重ねてあるそうです。作品中では健一さんの故郷の家族にはほとんど触れられませんでしたが、さほど不自然とは思いませんでした。

特別大きな事件や山場があるわけではなく、日々積み上げられていく家族の日常。
淡々と進みながらも不思議に沁みてくる。

ラストの、小学校卒業前夜のシーンがとても良い。

やっぱり重松清は好きだな…。

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