Turedure Lilax Diary

「徒然」―何もする事が無くて、どう時間を過ごしたらよいのかと思うこと、様子。(三省堂 新明解国語辞典)

沈黙の町で

2018-01-12 20:38:00 | 本棚
「沈黙の町で」奥田英朗(朝日文庫)

ある地方都市の中学校内で生徒の遺体が見つかったところから物語は始まる。
いじめの痕跡も見受けられる。
事故なのか、自殺なのか。
対応に追われ、次第に分裂する学校。
事件の真相を捜査する警察と若手検事。
中立を保とうとする新聞記者。
悲嘆にくれる遺族。
容疑をかけられた子供たちを守りたい一心の母親たち。
様々な人の視点から事件を切り取っていく。

大人の目からは何もわからない。

後半、容疑をかけられた少年の一人と、女子生徒の視点で
時間を遡ったところから物語が加速する。
事件が題材になってはいるけど、決してミステリーではなく
結末としたらああやっぱりそうか、というところなのですが
今作の主題になっているのは中学生の未完成さなのだと思う。
未熟さゆえに大人たちの言うことを疑いもなく聞いてしまい
流されたり、口をつぐんでしまったり
自分の気持ちをうまく伝えることができなかったりしている。

生活格差の壁、14歳という年齢の壁の使い方(?)が実に見事。

また違う一面を見せた奥田英朗、やっぱり好きだわ。

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ナオミとカナコと朱美と陽子

2017-11-01 22:20:00 | 本棚
「ナオミとカナコ」奥田英朗(幻冬舎文庫)

昨年頭にドラマ化された奥田英朗の長編。文庫版が出てようやく読み終えた。

http://wind.ap.teacup.com/lilax2/1061.html

読んでてツッコミたくなるほど、素人のワタシから見ても主人公2人の「クリアランスプラン」は穴だらけで、偶然が味方しているとしか思えないほど。防犯カメラという概念がすっかり抜け落ちている2人の行動はホントに冷や冷やした。(-_-;)

華僑の女社長・李朱美と、カナコの義妹の陽子。
この2人は原作とドラマの年齢設定が多少違ってて、しかも陽子は後半に入ってから登場するのですが、カナコを疑い執拗に追いかけるラストは実に強烈なインパクトを残す。

一息ついたらもう一度読んでみよう。
ドラマももう一度見てみたくなってきたな。



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奥田英朗シーズン

2016-04-08 22:53:00 | 本棚
昨年末からずっと奥田英朗の小説を立て続けに読んでいます。

まずは「噂の女」からシーズンイン。
ある一人の”噂の女”を取り巻く様々な人の視点から見た物語。いったいどこまでホントでどこからが想像なのかわからないけど、謎めいた女に惹きつけられていく。地方都市のアナログネットワークが恐ろしくも可笑しい。

そして「真夜中のマーチ」たびたび読み返していますが何度読んでも面白い。絶妙なテンポとスピード感。ヨコチン、クロチェ、ミタゾウの3人組のバランスがとてもいい。WOWOWで以前ドラマ化して、これもなかなか面白かった。山内圭哉さんも出てるしもう一度見たいわ。

これと並行して、原作はまだ読んでいない「ナオミとカナコ」のドラマ版を見ていました。DV夫の殺害計画を立てる妻とその親友、義理の姉、会社の顧客の中国人女性社長。キャストすべてがバチッとはまったすごいドラマだった。文庫が出るのを楽しみに待っています。

昨日読み終わった「邪魔(上下)」。平凡な人生が簡単に狂ってしまう。事故で妻を亡くした刑事とごく普通の主婦、普通に生きていきたいだけなのに、些細な邪魔が入って意図しない方向に巻き込まれてしまう。家族を守りたかったのに、守るために頑張ってきたことで結局すべてを失くしてしまうこの主婦にはあまり共感できない。刑事と義母の関係がとても微笑ましくて、それだけに後半の展開がものすごく切なかった。
そして今日、録画してあったドラマ版「邪魔」を見ました。原作に誠実に作られたとても質の良いドラマでした。やるなテレビ東京。

ここまで読んだのは重いものコメディータッチのもの4作全部犯罪がらみ。久しぶりに気楽なものが読みたくなって
今日からスポーツ誌に連載していたエッセイ集「どちらとも言えません」を呼んでいます。電車の中で笑うのを堪えてます。(;^_^A)

振れ幅広いなあ、奥田英朗。
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ついに来た!

2014-12-08 21:14:00 | 本棚
「流星ワゴン」「あすなろ三三七拍子」 重松清
(共に講談社文庫)

1月スタートのドラマ
TBS系日曜夜9時で重松清の「流星ワゴン」を放送するという。
我が家にある、2005年に出た文庫版には”映画化決定!”という帯がかかっていますが
以来キャストも監督も公開日もとんと情報が出ることはなく
計画は頓挫したのか?と我が家でも時々話題にしていた「流星ワゴン」が
ドラマとして日の目を見ることになりましたか。

確かにこの小説は、2時間ほどの映画に詰め込んでしまうよりも、ドラマとしてじっくり作り上げる方がずっといい。悪いけど「疾走」映画はホントに残念だったし。

キャストも絶妙で、今のところは期待大です。


重松作品でドラマになったものは
最近で言えば「あすなろ三三七拍子」。
視聴率云々言われていたようですが、ワタシは原作もドラマもどちらも好きです。
細かいキャラクター設定が少々変わってましたが、どの人も魅力的。
とりわけドラマ版のママ(菊池桃子)がとても良かった。(^_^)

今、重松ファンになったきっかけでもある「リビング」を久しぶりに読んでいるところ。早く読了して「流星ワゴン」を読み返そう。
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かわいいにもほどがある

2014-11-05 18:30:00 | 本棚
「かわいいにもほどがある」 いくえみ綾
(ホーム社)

いくえみ綾さんの漫画は高校生あたりからずっと愛読してまして、そりゃあ泣いたり笑ったりしたものです。特に好きなのは「POPS」と「I LOVE HER」と「バラ色の明日」あたり。
本編はもちろん、コミックスの余白部分に、プライベートのエピソードを綴った書下ろしのコミックエッセイ的なものがあり、密かにそのコーナーも好きでした。

WEBマガジン、その他に連載していた猫マンガのコミックスがあると知り、Amazonでまとめ買い。


まずは「かわいいにもほどがある」を読みました。
こちらは、今は亡き歴代の飼い猫たちとの生活を綴ったもの。キヨちゃんやチョビッコ、昔コミックスにも載ってた懐かしい猫たちがいる。王様だったり、おバカさんだったり、どんくさかったり、空気読めなかったり、どの子もかわいいったらない。
猫たちとの馴れ初め、日々の暮らし、そして別れの時。笑って、あったかい気持ちになって、少し涙が出てくる。

チョビとカブちゃんが寄り添った表紙が素敵。

写真上段に並ぶ3冊「そろえてちょうだい?」は今いる猫たちを描いた作品。
こちらも楽しみに読みます。



おまけ写真
お約束のyomozon(^^;)ゞ



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