新刊の森

人文分野を中心に、できるだけその日に刊行された面白そうな新刊を、毎日三冊ずつ紹介します。役立ちそうなレシピにも注目。

ひねりがうまい「天然知能 (講談社選書メチエ) 」

2019年01月12日 | 新刊書
天然知能 (講談社選書メチエ)
郡司ペギオ幸夫 (著)


人工知能ばやりですが、「今こそ天然知能を解放しよう」という刺激的な書物が登場しました。
そのひねり方はさすが郡司さん。
「わたしがわたしとして存在するための哲学」というのをぜひわたしも読んでみたい。
今月の講談社選書メチエは、「暗号通貨の経済学」といい
冴えているなあ。


単行本(ソフトカバー): 256ページ
出版社: 講談社 (2019/1/12)
言語: 日本語
ISBN-10: 4065145139
ISBN-13: 978-4065145135
発売日: 2019/1/12
Kindle版 ¥ 1,674
単行本(ソフトカバー) ¥ 1,836


内容紹介
一見やさしく書かれていますが、バカにしてはいけません。世界の見方を変えてくれます。――養老孟司(解剖学者)
*
AIブームへの正しいカウンター。自然/人工の檻の外へ、知性を解き放つ! AIみたいな人間と人間みたいなAIにあふれる社会への挑戦状。――吉川浩満(文筆家)

*

「考えるな、感じろ」とブルース・リーは言った。
山の向こうにも同じように風景が広がることや、
太平洋でイワシが泳いでいることを信じられる。
今までのこだわりが、突然どうでもよくなる。
計算を間違い、マニュアルを守れず、ふと何かが降りてくる。
それらはすべて知性の賜物である。
生きものの知性である。
今こそ天然知能を解放しよう。
人工知能と対立するのではなく、
意識の向こう側で、想像もつかない「外部」と邂逅するために。

わたしがわたしとして存在するための哲学。

著者について
郡司ペギオ幸夫
1959年生まれ。東北大学理学部卒業。東北大学大学院理学研究博士後期課程修了(理学博士)。早稲田大学理工学術院基幹理工学部表現工学科教授。著書に『時間の正体』『生きていることの科学』『群れは意識をもつ』ほか多数。

「興亡の世界史」のシリーズの文庫化が完了

2019年01月12日 | 新刊書
興亡の世界史 人類はどこへ行くのか (講談社学術文庫) 文庫 – 2019/1/12
福井 憲彦 (著), 杉山 正明 (著), 大塚 柳太郎 (著), 応地 利明 (著), 森本 公誠 (著), & 5 その他


テーマ別の意欲的な世界史として出版されていた「興亡の世界史」のシリーズの文庫化が完了しました。
著者ごとに巻ごとにばらつきはあったようですが、読み応えのあるシリーズでした。
文庫で手軽に読めるようになったのはうれしいですね。
最後に全巻のリストを掲載しておきます。




文庫: 416ページ
出版社: 講談社 (2019/1/12)
言語: 日本語
ISBN-10: 4065144108
ISBN-13: 978-4065144107
発売日: 2019/1/12
Kindle版 ¥ 1,350
文庫 ¥ 1,490


内容紹介
講談社創業100周年記念企画「興亡の世界史」の学術文庫版。「文明」「帝国」の興亡を軸に歴史を読み直し、現在の世界を深く理解する、新視点による「現代人のための世界史」として大好評のシリーズ、いよいよ全21巻が完結する。
人類の誕生と拡散、人口の急増、数々の帝国と文明の興亡、多宗教・多民族の共生と対立。本巻では、シリーズ各巻で取り上げてきた個別の地域・時代を超えて、各界の論者がそれぞれの研究領域から人類の歴史を見直し、現代人が直面する問題に「歴史」はどんなヒントを与えるかを考える。各章の論点と論者は以下の通り。
はじめに:新たな世界史像の必要性……シリーズ編集委員で学習院大名誉教授(西洋史)の福井憲彦氏。
第1章:世界史研究の現状とこれから……シリーズ編集委員で京大名誉教授(モンゴル時代史)の杉山正明氏。
第2章:人口からみた人類史……元国立環境研究所理事長の大塚柳太郎氏。
第3章:「海」からみた人類の移動と定住……地理学者で京大名誉教授の応地利明氏。
第4章:「宗教」は人類に何をもたらしたか……東大寺長老でイスラーム研究者の森本公誠氏。
第5章:人類誕生の地・アフリカの現状……京大教授(アフリカ地域研究)の松田素二氏。
第6章:世界史と日本……京大名誉教授(日本近世史)の朝尾直弘氏。
第7章:鼎談・繁栄の歴史から何を導き出すか……シリーズ編集委員の青柳正規氏(東大名誉教授・前文化庁長官)・陣内秀信氏(法大教授・都市史)に、ロナルド・トビ氏(イリノイ大学名誉教授・日本近世史)をまじえて語りあう。
[原本:『興亡の世界史20 人類はどこへ行くのか』講談社 2009年4月刊]


「興亡の世界史」全巻リスト

森谷公俊『興亡の世界史01 アレクサンドロスの征服と神話』
林俊雄『興亡の世界史02 スキタイと匈奴 遊牧の文明』
栗田伸子・佐藤育子『興亡の世界史03 通商国家カルタゴ』
本村凌二『興亡の世界史04 地中海世界とローマ帝国』
森安孝夫『興亡の世界史05 シルクロードと唐帝国』
小杉泰『興亡の世界史06 イスラーム帝国のジハード』
原聖『興亡の世界史07 ケルトの水脈』
陣内秀信『興亡の世界史08 イタリア海洋都市の精神』
杉山正明『興亡の世界史09 モンゴル帝国と長いその後』
林佳世子『興亡の世界史10 オスマン帝国500年の平和』
石澤良昭『興亡の世界史11 東南アジア 多文明世界の発見』
網野徹哉『興亡の世界史12 インカとスペイン 帝国の交錯』
福井憲彦『興亡の世界史13 近代ヨーロッパの覇権』
土肥恒之『興亡の世界史14 ロシア・ロマノフ王朝の大地』
羽田正『興亡の世界史15 東インド会社とアジアの海』
井野瀬久美恵『興亡の世界史16 大英帝国という実験』
平野聡『興亡の世界史17 大清帝国と中華の混迷』
姜尚中、玄武岩『興亡の世界史18 大日本・満州帝国の遺産』
生井英考『興亡の世界史19 空の帝国 アメリカの20世紀』
福井憲彦他『興亡の世界史20 人類はどこへ行くのか』

アクチュアルなテーマを捉えた「暗号通貨の経済学 21世紀の貨幣論 」

2019年01月12日 | 新刊書
暗号通貨の経済学 21世紀の貨幣論 (講談社選書メチエ)
小島 寛之 (著)


ビットコイン・フィーバーは過ぎ去ったようですが
暗号通貨の経済的および社会的な意味と
その技術的な影響力はこれからじわじわと明らかになっていくものと思われます。
現代のアクチュアルなテーマを捉えた書物に拍手!


単行本(ソフトカバー): 192ページ
出版社: 講談社 (2019/1/12)
言語: 日本語
ISBN-10: 4065144957
ISBN-13: 978-4065144954
発売日: 2019/1/12
Kindle版 ¥ 1,458
単行本(ソフトカバー) ¥ 1,620


内容紹介
「お金とは何か」から暗号通貨を捉え直し、ブロックチェーンの可能性をゲーム理論で追究する。
ビットコイン、イーサリアム、リップル……暗号通貨(仮想通貨)はいかにして「お金」になるのか。
技術・経済・社会の大転換期、この革命的な技術が世界をどう変えるのか、総合的に把握するための一冊。
暗号学×経済学=暗号経済学の誕生。
ナンダ、そういうことだったのか!
◎RSA暗号・楕円曲線暗号解説も収録。
*
第1部では、ビットコインを始めとする暗号通貨の基礎となるブロックチェーンの仕組みの要点を、数式など使わずにわかりやすく解説します。
ブロックチェーンという革新的な暗号技術は、世界をどう変えていくのか? オープンソースとプロプライエタリ、中央集権と分散化といったブロックチェーンが提起する哲学的な意味、そして通貨以外でのインパクトについても言及します。

第2部では、「お金とはなにか」を考えます。
価格の乱高下やセキュリティ問題など、いまだ暗号通貨を疑問視する声も強いのが現状ですが、これまで経済学が培ってきた貨幣理論を参照しながら、暗号通貨はいかにして「お金」たり得るのかを見ていきます。価格が安定する時とはすなわち、暗号通貨が「お金」になる時といえるでしょう。お金とはなにかという見識は、投資にも役立つかもしれません。

第3部は、ゲーム理論でブロックチェーンを検討します。
人間の行動は不合理すぎ、理論通りにいかないことが指摘されるゲーム理論ですが、アルゴリズムであるブロックチェーンの世界では、理論のままに均衡が実現されることになります。「囚人のジレンマ」などのゲーム理論をざっくりとおさらいしつつ、新しい世界を垣間見る章です。

補章として、公開鍵暗号とハッシュ関数の原理について、本文では簡略化した詳細部分を解説します。「そういうことだったのか!」と膝を打つこと間違いなし。数理暗号として、有名なRSA暗号と楕円曲線暗号の両方に言及しています。
著者について
小島 寛之
小島寛之(こじま・ひろゆき)
1958年東京都生まれ。東京大学理学部数学科卒業。同大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。経済学博士。現在、帝京大学経済学部経済学科教授。数学エッセイストとしても活躍し、複雑な数理の世界へのわかりやすい解説に定評がある。
著書に『経済学の思考法』『文系のための数学教室』『数学でつまずくのはなぜか』(いずれも講談社現代新書)、『世界は2乗でできている』(講談社ブルーバックス)、『世界は素数でできている』(角川新書)、『宇沢弘文の数学』(青土社)ほか多数。