象が転んだ

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されど大谷”その14”〜二刀流ではなく、外野を守らせるべきだ〜リアル二刀流の咆哮と幻影と危険性と

2021年05月10日 05時18分31秒 | ベーブルース

 大谷の躍動が止まらない。
 見てくれもいいし、スタイルもいい。それ以上にやってる事が凄すぎる。開幕から30試合で「30K&10本塁打到達は1900年以降で初」という、MLB史上稀有の大偉業を成し遂げた。
 ”1900年から最初の30試合で2800人以上の投手が30奪三振を記録し、300人の打者が10本塁打を記録した。ショウヘイ・オオタニはその2つを達成した初の選手だ!”と、MLBスタッツも興奮気味に伝えた。
 
 確かにシーズン序盤という事もあり、今の大谷には力が余り切ってる様に思える。
 ベンチ裏の彼の仕草を見れば明らかだが、かといって先発投手とDHの二刀流は、大きな危険を孕んでる様に私には思える。
 「されど大谷」のブログはこれで14話目を数えるが、私は一貫して”投手としては無理だ”と書いてきた。これは江川氏も同じ意見である。
 メジャーには、野手でも160kを放るのは結構いる。シンカーでMLB最速タイの169kを投げる投手もいる。デグレブ(メッツ)みたいに、160kを超える球をコースに投げ分ける投手もいる。マイナーに行けば、170kを放る未開の怪物もいる。
 それに比べれば、大谷の100マイルは制球がバラバラで、ホームベースでお辞儀してる様にも思える。投げ方もサイドに近く球質も軽いし、奪三振の大きな原動力になるスプリットは指に血マメを作る。

 ”オオタニは外野を守るべきだ”と、かつてのチームメイトのシモンズが言ってたが、まさにその通りである。大谷の脚力と肩や腕力を考えれば、投手よりも外野の方が適任なのかもしれない。
 それでもマッドン監督は”リアル二刀流”に拘り、数字だけを見れば、大成功してるかのようにも思える。
 因みに二刀流とは、かつてベーブ・ルース(1895-1948)が投手と外野手を兼任したもので、投手とDHをリアルと呼ぶのは少し大袈裟すぎるかも知れない。
 それに彼が評価され始めたのは、投手をやめて50本以上の本塁打を打つ様になってからだ。当時、ニグロリーグでは二刀流は当り前の様に行われてたから、評価に値しなかったのかも知れない。


二刀流消滅?

 6日の今季4度目のマウンドは結果オーライも、制球難というマンネリ化した課題の残る内容だった。5回を1安打無失点7三振も6四死球。まるで、4/21(4回を1安打無失点7三振7四死球)の青写真を見てる様な内容であった。
 結果だけを見れば、4試合18回2/3で30奪三振、被安打3で防御率2.41は、順調すぎるくらいの数字だが、四死球が19個と先発投手としては??である。
 この日は初回こそ制球を乱したが、それ以降は立ち直るも、6回に突然制球を乱し、交代した。MAX160kmもチームは4連敗で、地区最下位に落ちた。
 因みに、4/21の4回以下で7奪三振6四球以上を記録し、無失点に抑えたのは史上初だとか。つまり、結果オーライの独り相撲が続いてるのだ。
 以下、「大谷を襲う二刀流消滅」より一部参考です。

 初登板の時はDHを解除し、”2番・投手”で出場し、本塁打も放ったが、今回(4/21)は打席に立たなかった。マドン監督は”何かあれば早めに交代せざるを得なくなる”と説明した。
 スタメンでDHを解除すると、その試合は指名打者を使えない。大谷が長いイニングを投げればともかく、序盤に降板する様だと後の投手や野手のやりくりが困難になる。
 特に大谷はマメが出来やすい上に、4回以降は球威が落ちる様に、体力面も不安を抱える。つまり、今の大谷には先発として最低限の役割を果たす保証がないと判断した、指揮官の苦渋の考慮でもあったのだろう。

 ”二刀流を安定して継続するのであれば、渡米1年目の様に登板日前後は休ませ、3日前から登板に備えて調整するサイクルが必要ではないか”と、Jスポーツの解説者・三井浩二氏は指摘する。
 一方で、打者としては絶好調だ。主に2番で先発出場し、28試合で打率.273、10本塁打、24打点(5/7現在)と、チームの打線を主軸のトラウトと共に牽引する。特にHRはリーグトップ、打点は同4位で、パワーで言えばトップクラス。
 ”マドン監督としても好調が続く大谷を打線から外す訳にはいかず、今後も打者優先での起用になる。登板日前後もDHでのフル出場が続けば、投手としての調整は疎かになり、故障リスクも高くなる。故に、大谷を投打でフル活用するのは決して得策でなくなる”(三井氏)
 

リアル二刀流の弊害

 大谷を投手で起用する事で、他の先発陣へのしわ寄せも生じてる。先発6人制を敷くも、投手によっては中4日でのマウンドを強いるなどローテが変則になる。
 チームは今(5/8)、ア西地区で首位から4.5ゲーム差の最下位である。
 4/30時点のリリーフ陣の防御率4.34はリーグ21位だが、そこそこは安定してはいる。しかし、先発陣の5.97(3勝9敗)はMLB最下位。先発陣の立て直しは最重要課題で、投手として多少不安のある大谷に多くを求める訳にも行かない。

 ”マドン監督は大谷を投打でフル回転させたいというのが本音だが、二刀流がどこまで持つかは不透明だ。7月末のトレード期限までにエース級の補強に動く筈で、先発陣が整えば<リアル二刀流>大谷の負担を減らす為にも、ローテから外す可能性もある”(スポーツライター・友成那智氏)
 以上、日刊ゲンダイからでした。

 案の定、歴代5位の667本塁打、同2位の2112打点の記録を誇る、今季年俸32.7億円(推定)のプホルズ(41)をクビにした。打率は1割台だが本塁打は5本と歴代記録更新へ向け、好調を維持してた様にも思えた。
 先日(5/7)の大谷の投球が安定しないと見るや、先発クラスの金銭補強に動き出したのかもしれない。
 事実、ファウラーの故障で今シーズンの出場が絶望的になり、プホルスは毎日の様に1塁手として出場してきた。代りにウォルシュがファウラーの右翼を守り、絶好調である。
 フロントは”ウォルシュを一塁手として使い、大谷にはDHを打ってもらう。君の居場所はない”と、プホルズを説得したという。
 しかし、球団の本音は”先発を金銭で補強し、外野に大谷を”という魂胆もあるだろう。

 ただ、大谷が投打で活躍するほどに、プホルズが邪魔になるのは明らかだった。プホルズの実質のキャリアは、セントルイスでの12年間で終わってはいた。下手な大型契約はチームを弱体化させるの典型で、イチローのマリナーズもそのいい例だろうか。


大谷の進むべき道 

 流石に、見てる人は見てるなと思った。
 しかし、日本のメディアはNHKも含め、”リアル二刀流”で大盛り上がりだ。
 勿論、素人視点で好き勝手に盛り上がるのは悪くはない。それもプロ野球を楽しむ醍醐味なのだから。
 だが、プロの野球解説者が真顔で”本塁打40本で20勝”と語るのは、全くのアホ臭である。
 もしそんな事したら僅か1年で大谷は壊れてしまうだろう。結局、解説者もファンの視線で幻想を語ってるに過ぎない。

 何度も述べた様に、私は大谷の二刀流は危険過ぎると思っている。
 事実、メジャーでのキャリアは1年目こそ”10登板(4勝)、22本塁打”の偉業を成し遂げ、アリーグ新人王に輝く大活躍を魅せたが、右肘靭帯の部分断裂が判明し、翌2年目は打者(DH)に専念して18HR(106試合)をマーク。
 二刀流復活が期待された2020年。投手としては制球難に陥り、わずか2試合で1回2/3の登板ながら8四球という乱調。右肘の故障が再び発覚し、打者としても44試合で打率1割台(7HR)という不振に陥った。

 これを見てもわかる様に、投手としての大谷は不安要素が多すぎるが、逆に打つ方は実にパワフルで躍動感がある。
 大谷本人の為にもチームの為にも、大谷は外野を守るべきだと私は思う。それに、シーズンを安定して戦い抜く体力をつけるのが、二刀流よりも先決だと思う。
 ”リアル二刀流”というのは聞こえはいいが、幻想にしても余りにも危険すぎる。
 しかし、今の大谷にはそういった”危険な幻想”を払拭しそうな勢いがある。ここは、大谷の躍動と咆哮に賭けてみるとするか。

 かつて、ベーブ・ルースが投手と外野手の二刀流であった頃、”あれはパートタイマーの外野手だ”とバカにされた。
 しかし、ルースは”俺の事をパートタイマーとバカにするが、俺はどのベースでも走者をアウトに出来る”と自らの強肩を自慢した。
 ルースが今の大谷を見たら、何と言うだろうか?



20 コメント

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プホルズ去って (tokotokoto)
2021-05-10 12:41:01
今のエンゼルスは元気百倍って感じで。
全く別のチームみたいで、ここまで変わるのかな。
大谷も凄いけど、ウォルシュも凄い。彼もマイナー時代は二刀流だったとか。
峠を越えたプホルズと大型契約を結んだフロントの凡ミスとも言えるけど、早い時期から追い出したかったのか。
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tokoさんへ (象が転んだ)
2021-05-10 23:42:13
ウォルシュはさすがフロントの期待通りで、今日もサイヤング投手のバウワーから価千金の2ベースを放ちました。パワーは大谷がやや勝るかもですが、センスや能力はウォルシュが上ですね。
でも、プホルズと大型契約したフロントの商売センスのなさは致命的でした。これからに期待しましょう。
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期待と不安 (#114)
2021-05-14 05:04:57
昨日の初打席での三球三振には
明らかに疲れが見えてた

昨日の投球ですが
大谷にしては珍しく4シームに伸びがあり
渡米して最高の投球でした
肩が重かったのもその理由でしょう

ただ絶好調のときに大怪我する
というのはよくあることで
それだけが心配
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#114さん (象が転んだ)
2021-05-14 05:40:24
最高のピッチングでしたね。
大谷を全面見直しましたよ。凄い4シームで惚れ惚れしました。

ただ難しい判断ですが、完投できたかも。でも、スタミナも切れかかってたし、と言ってもリリーフの不安を考えれば大谷と心中でも良かったかな。
まさに大谷アッパレ劇場でした。
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ボストンでも大谷劇場 (tomas)
2021-05-15 10:02:51
凄いホームランでした。
逆方向でグリーンモンスター超えですよ。
あの外角のナックルカーブを泳ぎながら片手一本で。
転んだサンの予想も心配も外れそうですね。
本塁打王と脱三振王の2冠というやつを見てみたいです。
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tomasさん (象が転んだ)
2021-05-15 13:48:46
恐るべきパワーとスキルでした。
昨年が屈辱のシーズンだっただけに、今年は思う所があるんでしょうか。体調も体力も今の所は万全なようです。

後は、この勢いと好調がどこまで続くかです。私的にはもうそろそろ谷が来るのかなと思ってますが、怪我だけは絶対に気をつけてほしいですね。
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再び大谷劇場 (tomas)
2021-05-17 08:09:37
またまたやりました。
辛辣で過激なボストンファンも沈黙の逆転2ランです。
昨日今日と少し疲れ気味かなと心配したんですが、そんな不安を払拭するような豪快な一発でした。
5月もこのまま突っ走りそうな勢いで、こうなったらオールスターで大谷の三刀流を見てみたいです。
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tomasさん (象が転んだ)
2021-05-17 12:22:10
普通の球場だったらファウルかもです。
しかし大谷は何かをやってくれる男ですよ。
MVP3回のトラウトよりもずっと存在感があります。
多分、前半近くはこのままの調子で行きそうな気もしますが、三振が多いのと打率が低いのが気になります。

ただ、ボストンやヤンキースのオーダーを見ると大半がラテン系で、黒人すら珍しい。時代も野球も変わるもんですね。
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ウンビリバボー (tomas)
2021-05-18 21:27:01
ここまで打てば、異論の余地はないでしょう。
悪球打ちで、170キロの打球速度。全盛期の松井よりも遥かに上ですよ。

米メディアもスーパーマン扱いです。
やっぱり、二刀流は大正解だったんですよ。
転んだサン、どう反論します?
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tomasさん (象が転んだ)
2021-05-18 23:16:19
私がブログにしてから、パフォーマンス全開ですね。
5月は多分この調子で行くでしょうか。ただ、5月に入ってから打率が落ち込んでるのが気にはなります。
松井を凌ぐスーパーマンには変わりはないんですが、せっかくの才能を長持ちさせる為にも、慌てず騒がずですかね。
という事で、自説は曲げませんよ。
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