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象が転んだ

たかがブロク、されどブロク

たかがルース、されど大谷、その3。〜イチローから大谷へ、天才は引き継がれるのか〜

2018年05月08日 13時00分57秒 | ベーブルース

 昨日、”負の要因〜大場政夫編”にアクセスして下さった方々、どうも有難うです。過去のバックナンバーにアクセスが集中すると、ホントに嬉しいもんです。ロベルト・デュランもよろしくです。フィギュアスケートの羽生選手についてもブログ立てるつもりです。これもよろしくです。


 さて、全米中の大騒ぎ?になってる大谷ですが。シアトルではブーイングを鳴らされながらも、よく踏ん張りました。ナイスピッチングです。イチローの前でいいとこ見せれて、ホッとしてる事でしょう。

 試合後のコメントも憎いですね。”今まではあまり考えるタイプではなかった。やってきたものを出せば負けないと、そういう単純な部分で勝負してきた。しかし、それだけでは補えない”と。全ての球種を満遍なく織り交ぜ、考えた投球に拘った。


 日本では頑張る事が全てとされる。つまり、努力しないヤツは落第者扱いだ。しかし、アメリカでは結果が全て。結果を残せなければ、無為無能者扱いだし、注目も期待もカネも集める事は出来ない。

 故に、アメリカでは努力そのものより、難題に取り組む為の努力の方向や密度や深さ、それにタイミングが要求される。四則演算を1億題解いても、三角関数の僅か1題には敵わないのと、同じ原理だ。

 しかし、この原理は農耕族の日本人には理解されない。農耕社会は穀物の数が全てであり、単にその数のみで評価される。狩猟民族の場合、仕留めた獲物の質で評価されるのだ。

 
 そういう意味では、大谷も日本では農耕的な考え方に囚われてたのも事実。アメリカに渡り、結果に一喜一憂し、従来のスタイルに迷い苦悩しながらも、球団やチームメイトに支えられ、何とか素晴らしいスタートを切ったのも事実。

 イチローの励ましのコメントにある様に、大谷の圧巻のパフォーマンスより、彼の順応性や頭の柔らかさを高く評価してた。流石に”世界のイチロー”は見る目が違いますな。


 しかし、私めはそうは思わない。全く捻くれてますな(笑)。やはり大谷は100マイル超えのストレートと500フィート近い豪打が、彼の武器だし、代名詞だと思うのだ。 

 ただ、自慢の100マイルもメジャーの標的になりつつあるし、自慢の豪打もクセ玉のチェンジアップに封じ込まれつつあるのも事実。故に、このままの流れから推移すると、大谷のプレースタイルがイチローの様に、小さく纏まる可能性も捨てきれない。


 大谷がイチローのそういった部分を引き継ぐとなると、大谷は大谷でなくなる。ルースなんて夢のまた夢だ。日本でもアメリカでも天才でありたい、傑出した存在でありたいという気持ちは理解できる。日米通算で数字が記録がゴチャ混ぜにされ、揶揄された挙げ句、真の評価も曖昧なまま忘れ去られるのか。デマジオとイチローになると厳しいですな(笑)。


 Aロッドの、サミーソーサの、マクガイヤの、バリーボンズの通算本塁打の数を言える人がどれ位いるだろうか。大衆は忘れる生き物である。どんな偉大な記録も、引退してしまえば過去の産物である。過去という絶対的なフォーマットで消し去られ、風化するだけである。


 しかし、ベーブ・ルースだけは違った。彼の偉業や記録は、時代の流れを持ってしても、消し去る事が出来なかった。それはルース自身がスタイルを変えなかったからだ。
 ルースは記録を重ねる為に、伝説を作る為に、歴史に名を残す為にプレーしたんじゃなく、勿論、結果の為でもなかった。ルースは常に与え続けた、ファンに歴史に時代に。

 彼には目標にする記録も選手もいなかった。ルースそのものがベースボールであった。三振しても失策を犯しても、グラウンド外で揉め事を起こしても、全てが絵になった。

 ルースが二刀流だったという事は、全く些細な事で、最初からどうでもよかった。実際、ルースは二刀流を嫌がった。”両方やるのはキツい、打つだけに専念させてくれ”と、でも周りが球団が監督がそれを許さなかった。


 事実、彼が全米で注目される様になったのは、ヤンキースに移籍し、二刀流から解き放たれてからだ。当時、二刀流というのはニグロリーグでは当たり前だった。捕手を含めた内野手の4人でローテを回すというのも、当然のように行われてたのだ。

 かつて”ダブルデューティー”と呼ばれた二刀流は、選手層が薄いニグロリーグでの苦肉の策だったのだ。『大リーグを超えた草野球』又は『
黒人野球のヒーローたち』(共に、沢山和夫著)を参照にですよ。

 
 故に、大谷も二刀流に拘る必要なんてどこにもない。メジャーの強打者がカスリもしない100マイル投手か、50本を打つ日本人メジャーか。私めはそういうのを期待するんです。

 でも、二刀流に拘れば、両方共台無しになる可能性が大きいと。いや、確実に駄目になるかも。投げる方でも打つ方でも、致命傷が見え隠れするのも事実。特に投げる方がです。


 paulさんのコメントにあった様に、投げる方では、大谷は典型のサイドハンダーで、ボールの出所が見やすい。身体の回転で球速を稼ぐから、球質が軽く伸びもなく、100マイルですら打者の脅威になってないと。その上、モーションが大き過ぎる為、制球にもバラツキがある。 

 そして、打つ方だがストレート系には滅法強い大谷だが、ここに来てチェンジアップを多投され、自慢の豪打が封じ込まれつつある。それでも何とか当ててヒットにしてる辺りは、神業としかいいようがないのだが。


 事実、ルースも大谷同様にストレート系に滅法強かった。相手投手は引っ張らせまいと外角低めの直球を集めたが、全てルースの餌食になった。 

 その後、ルースの弱点である徹底したカーブ攻めにあったが、僅か1年で克服した。


 しかしだ。大谷は打つ方でも3割を優に超え、投げる方も制球に多少難があるが、悪くはない。球団の”大谷プロジェクト”は、順調に展開してると言っていい。指のマメも足首の怪我も大事に至らずに済んだ。これはホントにラッキーな事だ。


 勿論、大谷はルースにはなれなくとも、イチローを超えるパワーリーガーに成長して欲しいし。松井の30本を超える本塁打を打ってほしいという期待もある。

 しかし、『幻滅』のリュシアン•ド•リパンブレにならないとも限らない。出ましたな、ここでバルザックですか(笑)。どうも、私には大谷の脆さと稚弱さが見え隠れするんですが。


 フィギュアスケートの羽生に匹敵する天才だが、いやそれ以上かもですが。羽生には、ラスティニャクみたいな心臓の図太さがあるんです。またまた、バルザックですか(笑)。

 でも、”大谷劇場”はまだまだ始まったばかり。”されど大谷”ブログを続ける為にも、無理は禁物ですが、ある種の冒険も必要かと。天才が花を咲かす為には、強いハートは絶対不可欠なんです。という事でココマデ。



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