象が転んだ

たかがブロク、されどブロク

GW中に起こりうる?”最悪のシナリオ”〜プーチンの過信と西側メディアの楽観的推測

2023年05月03日 13時09分59秒 | 戦争・歴史ドキュメント

 西側メディアの情報を鵜呑みにすればだが、このままロシア軍は敗走し、壊滅状態となり、狂ったプーチンは失脚する。
 民法のお昼のTVニュースでも、”ウクライナ軍が頑張って川を渡った。ロシア軍はじりじり後退している。専門家も(西側から多大な最新の武器供与を受けた)ウクライナが大反撃に転じる”と、あたかもロシアの敗北が決定したかの様な楽観ぶりである。
 そういう私も「クリミア奪還と・・」でも書いたが、”クリミア大橋”という収束値が見えてきた事で、一時のロシア軍の勢いに陰りが見え始め、ウクライナの必死の反撃が(ひょっとしたら)有効に転じるのではと思っていた。
 しかし、早く戦争が終わり、食料や生活必需品の値上げが早く収まってほしいという一庶民としての切望があったのも事実である。


防空システムの破綻!?

 西側メディアが盛んに報じるように、ロシア軍の損耗はウクライナを大きく上回るかもしれない。しかしここに来て、”ウクライナの防空体制がやがて破綻状態に近くなる”という機密分書が漏れたが為に、ウクライナ有利の状況が覆りそうな雰囲気になってきた。
 つまり、ロシアにとって”クリミア大橋”が命綱ならば、ウクライナにとっては”防空システム”こそが命なのである。
 陸上戦での歩兵部隊や砲兵隊では損耗が著しく多いロシアだが、保有する莫大な数の長距離爆撃機とその超破壊的な性能を考えれば、ウクライナの防空システムはとっくに破壊されてもおかしくはない。
 しかし、今まで持ち堪えれたのは、ウクライナ軍の必死の頑張りでもあり、西側の高性能な武器供与のお陰でもある。故に、ロシア軍は撃墜されるリスクを恐れ、自慢の爆撃機を飛ばしていないとされる。
 しかし、そんな防空システムにも限界がある。つまり、ロシア軍からしたら陸上戦で仮に負けたとしても、空から無差別に爆撃すれば、一気にウクライナを叩けると踏んでるのだろうか。
 事実、アメリカは(対ミサイル)防空システムの”パトリオット”の提供なども報じられたが、パトリオットを持ってしても長距離爆撃機が無差別に落とす爆弾群は撃ち落とせない。ウクライナ軍の救世主になった”ジャベリン”なども地上戦の対戦車兵器で、ハイマースやスティンガーを持ってしても高い高度を飛ぶ爆撃機に対しては通用しないと。

 そんな中、ウクライナのゼレンスキー大統領は4月30日、”この戦争での主要な戦闘が控えている”と述べ、ウクライナ軍による大規模な反転攻勢の開始が近い事を示唆した。これは明らかに、ロシアの対独戦勝記念日(5/9)を意識したものだ。
 ウクライナのレズニコフ国防相は4/28の会見で”準備は最終段階にある”と述べ、国防省情報局は反攻の成功に自信を見せながらも、”露軍が反攻に備えてミサイルを溜め込んでる”と警戒感を示した。
 ロシア軍はゼレンスキーと習近平の電話会談(4/26)に時を合わせるかの様に、(30日夜から1日未明にかけ)戦略爆撃機11機から首都キーウや西部などの広範囲に巡航ミサイル18発を発射したが、ウ軍は15発を迎撃した(読売)。
 一方で、ウクライナには不穏な情報も出回っている。CIAから(ゼレンスキーを含めた)横領に関わる官僚リストを渡され、2月にそのリストからの10人を辞職させた。レズニコフ国防大臣も辞任と報道されたが辞任になっていない。更に4月には、米国からの支援が到着してすぐに、ゼレンスキーと一緒になって追加の支援を求める有様だ。
 こうしたバイデンの”黒い”支援に対し、トランプは”横領してる者に支援を継続すれば、米国のイメージが下がる”と言い放った。こうしたバイデンによるウクライナ支援の継続は困難になりそうな雲行きだが、事実、今年に入り、米国内の大手銀行が2つも破綻(資産総額は31兆円と28兆円で歴史上2番目の規模)し、早くも米政府の債務不履行が噂されている。

 そこで今日は、ゼレンスキーと習近平の電話会談から眺めたロシア=ウクライナ戦争について書きたいと思います。


最悪のシナリオ

 ゼレンスキー大統領は4月26日、中国の習近平国家主席とロシアによるウクライナ侵攻後初めて電話会談を行った。会談でゼレンスキーは、”あらゆる国が武器の供与を含めてロシアへの軍事協力を自制する事が重要だ”と強調した。
 以下、「”ロシアへメッセージを伝える”ため」より一部参考です。

 中国からロシアに色々な物資などが流れてると報道されてるが、ゼレンスキーは”実のある会談だった”と評価した。
 しかし何故、習近平はこのタイミングでゼレンスキーとの電話会談を受けたのか?
 ゼレンスキーの背後にはアメリカがいる訳で、習近平から見ると”ロシアに武器を送るな”と言われる事は明白である。つまり、こういう事が判ってて、なぜ会談したのか?
 一つは、習近平は”ロシアにこれ以上ウクライナを攻撃して欲しくない”という本音が見え隠れする。
 先日、米国防総省の機密文書が一兵卒によって外に漏れ出てしまう事件があった。一部は改ざんされてる可能性があるものの、米国防総省は”文書自体は本物”と早い段階で認めた。
 その中には”遅くとも5/3までにはウクライナの防空体制は破綻が始まる”と書いてある。

 西側から高性能の兵器が数多く供与されてはいるものの、ウクライナの防空能力の多くは旧ソ連時代に開発された対空ミサイルだ。今はそれら兵器の”交換部品がない”との噂がある。故に、最悪の場合はだが、5月中にロシアの大規模爆撃が行われれば、ウクライナの防空システムは破綻し、軍隊だけじゃなく民間人に莫大な被害が出ると。
 一方で、この電話会談には”習近平が中国代表団をウクライナへ送る”というもう1つの隠れた事実があるが、これこそが中国のロシアへのメッセージである。
 中国の代表団がいる所へ、プーチンは本当に爆撃するのか?
 事実、ロシアがこれ以上酷い事を行うと、台湾有事もやりにくくなる。故に、習近平はゼレンスキーを使って、ロシアに”これ以上無残な現実をつくらないで欲しい”というメッセージを送った。
 ゼレンスキーもその事情をよく理解して会談した節があり、これは米CIAや英MI6などのインテリジェンス情報がゼレンスキーの元へ十分に入っている証拠でもあると。

 今後の展開として、ロシア軍はミサイルよりも長距離爆撃機から爆弾を落とす攻撃が多くなると予想される。つまり、ミサイルの前の時代に戻る様な事を敢えてやる。
 即ち、今までとは異なる局面になる事を、米国防総省が既に懸念し対策を練ってる現実がある。だが、ここで米英らが直接介入する事があれば、間違いなく第三次世界大戦が勃発する。つまり、プーチンは核を使う。
 一方で、ロシアのガバナンス(監視・統制)が破綻してしまい、軍の情報がプーチンに上がっていない怖さもある。確かに、”ウクライナの防空体制がやがて破綻する”という情報が軍から上がってれば、プーチンはこれ程までに”核だ核だ”と言う必要はなかった。
 ウクライナの防空体制の破綻も心配だが、ロシアのガバナンス破綻も、プーチンの独裁以上に怖く、恐ろしい。
 しかし、統率を欠いたプーチンが混乱して核を使えば、放射性物質が偏西風でロシアに向かう。それも含め、ロシア=ウクライナ戦争の局面が全く変わってしまう。
 それが日本の連休中に、しかも憲法記念日ごろから始まりそうだとして”隠れた懸念”になりつつある。
 以上、ニッポン放送からでした。


最後に〜情報漏洩と裏ストーリー

 以上は、あくまでもロシアとウクライナの中間から見たシナリオで、中国はウクライナに万単位で工作員を投入し、情報収集に努めてきた。故に、ゼレンスキーの希望というより、(状況をよく知る)習近平が”ロシアへの歯止めの為に電話会談をした”という声もある。
 つまり、西側メディアが報じる様な”どちらが有利でどちらが不利か”という単純な二項問題ではない。つまり、(数学と同じで)状況や条件によっては局面が大きく変わる。
 ゼレンスキーは5月攻勢を示唆してるが、これが実現すればロシアに対する奇襲となる。逆も真なりで、それを逆手に取ってロシアが5月攻勢をかければ、それこそが西側への奇襲となる。
 一方で、漏れ出したペンタゴンの機密文書には、ウクライナの攻勢は”5月ではなく8月頃にズレこむだろう”とあったが、この時点で反攻を発表する事は手の内を明かす様なもので矛盾さえ感じてしまう。
 しかし、これはロシア側も判ってる事で隠してもあまり意味がない。むしろ大々的に発表する事で、ロシア兵の士気が下がればそれだけでも効果的ではある。が、”裏のストーリー”として、一連のアメリカによる情報漏洩がある。
 事実あの事件で、欧米側のウクライナ支援が揺らいでる事が浮き彫りになった。ゼレンスキーとしても、西側の支援が功を奏してるという明白な成果を見せないと、支援の在り方が揺らいでしまう。
 しかし今後は、欧州側から”停戦交渉”を仕向ける声が強まってくる可能性もなくはない。

 つまり、ゼレンスキーもプーチンも今こそが正念場であり、結果を出す事が求められている。
 アメリカが敢えて機密情報を漏らしたとの噂もあるが、それだけアメリカの経済基盤が混乱しつつある訳で、いつまでも莫大な武器供与が続く筈もない。
 全てには終わりがある様に、”金の切れ目は戦争の切れ目”になるのかもしれない。
 ロシアーウクライナ戦争の収束値が、クリミア大橋になるのか?防衛システムの破綻なのか?それとも停戦交渉で終わるのか?
 習近平との電話会談では、明らかに3番目の収束点を示唆していた。だが、少なくとも”プーチンの核行使”という連休中の最悪のシナリオだけは避けたいもんだ。
 まさか、憲法記念日の今日(5/3)にピカドンはないだろうが、全ては最悪の備えなのである。



12 コメント

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停戦か?抗戦か? (paulkuroneko)
2023-05-04 10:36:21
ってとこなんでしょうが。
ウクライナ中部の都市ウマニでは高層アパートが爆撃を受け、民間人23人が死亡しました。
これはゼレンスキー大統領が反撃を示唆した直前のことでした。
ロシアはここに来てミサイルの増産を急いでますが、近く大規模なミサイル攻撃が始まる予感もします。
東部ドネツク州のバフムト攻勢ではもたついたロシアですが、9日の対独戦勝記念日に合わせ、何らかの奇襲もあり得るでしょうか。

言われる通り、プーチンもゼレンスキーも明確な成果が欲しい所ですが、西側の支援にも限界が見え始め、一方でロシア軍の損耗や疲弊も大きく、このままの戦況がダラダラ続くけば停戦という痛み分けで終わる可能性も高いですね。 
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paulさん (象が転んだ)
2023-05-04 13:32:26
過去の歴史から見て
ウクライナが今の状態で停戦交渉に持ち込む事はないでしょうが。
ロシアが実効支配するウクライナ南東部を奪還し、クリミア半島に到達した時点で、停戦交渉に持ち込む事は考えられますね。
一方で、アメリカの援助は限界に差し掛かってて、クリミア奪還までは持ちそうにもない。
第二次世界大戦では、ドイツが旧ソ連に一方的に攻め込み、スターリンは徹底抗戦でヒトラーの猛攻を凌ぎ、アメリカが参戦したお陰で世界大戦に発展しますが、疲弊したナチス軍は呆気なく陥落します。
今回はナチスロシア版でプーチンが一方的に攻め込みましたが、ウクライナの徹底抗戦を受け、均衡状態が続いてます。
西側の本格的参戦すらないものの、実質の代理戦争の形となってますが、全面戦争のブレーキの役目を果たしてるのが核兵器です。

5/3の最悪のシナリオは避けられましたが、どんな展開になるのか、予想するのが怖くなってきました。
ただ、ヒトラーとスターリン程には酷くはならないだろうと信じたいですね。
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自作自演 (tomas)
2023-05-04 20:07:59
クレムリンへのドローン攻撃が
大きな話題になってますけど
ロシアが5月に奇襲をかける口実を作るための自作自演の可能性が高いとされます。
不審な人影も確認されてるし、それ以上にクレムリンの上空をドローンが飛べるはずがない。
9日の戦勝記念日に間に合わせる為に本格的な大規模空爆が始まるかもしれないし、それに合わせるかの様にウクライナが反撃をしかえすかもしれない。

CIAの情報漏えいもアメリカの自作自演という噂もあるけど、ここに来てアメリカとロシアの駆け引きがとても複雑になってきましたね。
あしたのジョーじゃないですが<明日はどっちだ>の様相になってきました。 
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tomasさん (象が転んだ)
2023-05-05 10:09:33
自分で書いてて何ですが
全く先の展開が読めなくなりました。
クレムリンへのドローン攻撃は、ロシア国内のメディアもロシア国内から発射されたとの見方をしてますね。
しかしロシア軍幹部はアメリカの仕業だと国内の不満をアメリカに向けてます。

そのアメリカですが、弾薬不足によりロシアの大規模攻撃が困難だとし、更に核を使う可能性も低いと見ています。
一方で、ウクライナの反撃時期については最終調整の段階だとしてます。

確かに、首都キーフへの攻撃は小規模でウクライナ東部を守るに精一杯という感じで、ジリ貧は免れない気もします。
しかし、プーチンは必ず報復すると軍の士気を高め、予断は許さないですね。
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ワグネル撤退と弾薬不足 (腹打て)
2023-05-06 10:25:17
ロシアの民間軍事会社ワグネルは、半年以上の激戦が続くドネツク州バフムトから10日以降には撤退させると表明したらしい。
理由は弾薬の供給不足で、アメリカ政府の予測が正確なことを世に示したことになる。

ロシアには他にも参戦している民間軍事会社があるけど、規模はワグネルに比べればずっと小さい。
つまりロシア軍上層部に混乱が生じてるのは確かだけど、このままワグネルがすんなり撤退と行く筈もない。
その一方で、クリミア半島の防衛も必要になってきたし、ワグネルか?クリミアか?で意見が別れてるんだろうね。 
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腹打てサン (象が転んだ)
2023-05-06 14:04:10
まさしく
”ワグネルか?クリミアか?”の様相ですよね。
今のロシア軍の状態からすれば、ワグネルを放棄し、クリミア半島の死守を優先するでしょうから・・
でも弾薬不足という展開は、太平洋戦争末期の旧日本軍と同じ状況ですが、仮にこれが原因でロシアが敗れるとしたら本当だとしたら、これこそがプーチンの”笑えない”侵略戦争です。

戦場がロシアが実効支配するウクライナ南東部からクリミア半島へ移り、戦況も今までとは大きく変わっていくんでしょうか。
そういう事も含め、目が離せなくなってきましたね。
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裸の王様 (UNICORN)
2023-05-07 04:09:35
ここに来て
西側の経済制裁の効果がようやく発揮され始めた。
ロシア原油と天然ガスの価格も急落し、今年の1~2月のロシアは約4兆3000億円と記録的な財政赤字を出した。
つまり、弾薬を買うお金がなくなったのだ。
歳入の約半分を原油天然ガスで稼いできた経済モデルは既に成り立たなくなっている。
世界2位の自慢の軍事力はウクライナで無力ぶりを見せつけ、プーチン政権は空洞化しつつある。
かと言って、西側がロシア解体に踏み込もうとすれば、それこそ核戦争が勃発しかねない。

全てには終わりがある
転んださんの好きな言葉ですが、こういう時こそ慎重に動きたい。 
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最高のシナリオ (HooRoo)
2023-05-07 10:22:57
プーチンと裸の王様
には笑ったわ(^^)
結局プーチンのハゲ爺は
自分の妄想の中で戦争をしてたのよ
全く根拠のないことを事実であるかのように盲信してしまった
幻想のように非現実的でも良い意味での空想ならよかったのに

頭が狂った独裁者って
所詮は裸の王様なのね 
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UNICORNさん (象が転んだ)
2023-05-07 10:58:57
逆を言えば
経済制裁が効力を発揮するのに1年以上も掛かったって事ですよね。
当初の専門家の予想では、少なくとも3ヶ月から半年とされてましたから・・
一方で、ロシア軍上層部は半年程で決着をつけると踏んでたんでしょうが、9年前のクリミア半島の無血開城のようには行きませんでした。
つまり、情報戦では西側に大きく差をつけられた結果となり、これが膠着状態だった戦局を大きく変えたとも言えます。
言われる通り、戦争はまだ終わった訳でもないし、いつ終わるかもわかりません。
こういう時こそ西側は慎重に事を進めるべきで、少なくともメディアや専門家のの楽観論に振り回されてはいけないと。

いつも色々と教えて下さってありがとうです。
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Hooさん (象が転んだ)
2023-05-07 11:22:18
非現実な事を思い浮かべる言葉として
空想や夢想、そしてHoo嬢が紹介してくれた妄想と幻想があります。
そういう私も空想癖があり、悪い意味での空想を妄想や幻想だと思ってましたが、妄想は誇大妄想や被害妄想など悪い意味で使われますね。
一方で幻想は”期待”の意味を強く含むとされます。でも、相手に迷惑を掛けたのなら一緒ですが・・
因みに、空想と夢想ですが、意識的か無意識的の違いだそうです。が、独創性という点ではこの2つは有効に働くかも

話は逸れましたが、プーチンは狂った”裸の王様”だったという事に帰結するんでしょうか。
しかし、裸の王様の戦争に付き合わされたウクライナも悲劇には変わりないし、こうした狂った裸の王様を生み出さない為にも、我々は真剣に指導者を選別する必要があります。
少なくとも、カリスマとかリーダーシップとかで選ぶべきではないですよね。

こちらこそ色々と教えて下さって感謝です。
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