象が転んだ

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チャーチルまたアンタか?〜「豪華客船ルシタニア沈没の真実」と、もう一つのタイタニック〜

2019年10月25日 06時20分59秒 | 戦争・歴史ドキュメント

 ”第一次世界大戦でドイツの潜水艦が撃沈した豪華客船は、実は数多くの兵器を積んでいた。しかし、イギリスは巧みな世論工作で事実を隠し、アメリカを対独参戦に導いていく。
 1915年5月7日、ルシタニア号はニューヨークからイギリスへの航海中に沈没。僅か18分の出来事だった。
 イギリスは「無実の一般市民を攻撃」とドイツを非難。兵器運搬の事実を否定し、それまで孤立主義をとっていたアメリカで反独世論を高め、戦局を一変させる契機となった。最近の海底調査や乗客の目撃証言などから浮かび上がる真の事実とは?”

 NHKBSの戦争ドキュメントは実に冴えてる。「豪華客船ルシタニア沈没の真実」(History’s Greatest Lies 1915:The Sinking of Lusitania)は、フランスCPB Filmの制作だが、実によく出来たものだと感心する。
 2017年9月に放送された”BS世界のドキュメンタリー”を再放送で見たんですが、新鮮味があって非常に面白かった。タイタニックよりもずっと謎に満ちてますね。
 事実、再放送が7回と、非常に人気の番組である事が判ります。

 以下、トーキングマイノリティさんのブログと”武将ジャパン”さんのコラムを一部参考にしてます。 


チャーチルの陰謀とルシタニア号の沈没

 恥ずかしながら、ルシタニア号はドイツの潜水艦が沈めたアメリカ豪華客船の事くらいの認識しかなかった。勿論、当時の歴史教科書にも同じ様な事が書かれたと思う。
 しかし、これにより多数の民間のアメリカ人が犠牲になり(139人の米国人の内、129人が死亡)、激怒したアメリカがドイツに宣戦布告し、ヨーロッパ大戦が第一次世界大戦に広がったとされます。 

 しかし、実はこのルシタニア号は英国の船であり、単なる民間の客船ではなく、何と173トンもの武器弾薬も積んでいた。
 当時は戦時下だったが故、他の民間船も仮装巡洋艦に仕立て上げられ、ドイツ側もルシタニア号は武器を運搬していたと反論し、英独双方でもプロパガンダ上で競い合った。
 1198名とされる全犠牲者の内、約100名は子供だった為、英国マスコミは”子供を殺せるのはドイツだけ”と喧伝した。

 しかしこの出来事には、当時海相だったウィンストン•チャーチル(1874−1965)が深く関与していたのだ。その頃の英国はガリポリの戦い(1915-1916)で惨敗した為に、兵器や食料を米国に依存してた。
 事実、ルシタニア号沈没の3ヵ月前、チャーチル宛の手紙には不遜な内容のものが多かった。
 ”出来るだけ多くの中立国の船舶を自国海域に引き込む事だ。トラブルが多い程よい、特に米国の参戦は重要となる”

 当時の米国のハウス大佐と英国外交官グレイ卿の会話記録が残ってる。
 ”もしドイツ軍が米国旅客船を沈めたらどう反応するだろう?”(グレイ)
 ”怒りの炎が米国中に広がり、我々を着実に戦争へ導くだろう”(ハウス)

 実際にアメリカは参戦する事になるが。第二次世界大戦時もチャーチルが米国参戦を盛んに画策してた事は、よく知られている真実だ。”チャーチルの陰謀と無能、その1”でも述べた様に、ヒトラーに戦争を吹きかけ、アメリカを第二次世界大戦に誘い込み、原爆を日本に投下するように仕向けたデブ親父の事。
 薄々は感じてたんですが、第一次世界大戦もこのチャーチルの仕業?だったんですかね。
 でもここまで来ると逆にアッパレですが、チャーチルのしわざにしちゃ、少し出来過ぎの感もしなくはない。


国威発揚の犠牲になったルシタニア号

 英国では既に、暗号解析によりドイツ潜水艦の動きは筒抜けだった。現にルシタニア号を沈めたUボートは本国ドイツに打電を繰り返し、潜水艦の航行は英国に探知されていたのだ。
 暗号解析を行っていたのは海軍の諜報機関で、ドイツ潜水艦の動きを掴んでいたにも拘らず、一般船舶に警告を発しなかったのは、諜報組織の存在を敵側に隠す為だった。
 勿論、ルシタニア号にも警告は発せられなかった。
 つまり、戦時に軍部は敵に勝利する事が最重要で、民間人救出は二の次なのだ。

 これに関しては、5/1にNYを出港したルシタニア号の被害を最小限に抑える為、4/22にドイツ大使館は新聞にわざわざ、以下の様な警告文を掲載した。
 ”イギリスとそのあらゆる同盟国の国旗を掲げた大型船は、それらの海域において攻撃対象となる”

 船長のターナーは、乗客を落ち着かせる為、ルシタニア号がいかに高速(最大25ノット)であるかを説明し、Uボート(最大13ノット)に追いつかれ、攻撃される心配はないと話した。
 因みに当時は、国威発揚の為に客船の大きさとスピードを競合った。特に英国とドイツは一歩も譲らなかった。
 ルシタニア号は当時、世界で最大&最速の豪華客船であり、ドイツにとっては目の上のたんこぶでもあったのだ。
 しかし、ターナー船長にも慢心があった。燃費が悪すぎるとの理由で速度を21ノットに落としていた。魚雷の速度は21ノット以上は出るのにだ。 


ドイツ側から見たルシタニア号の真実

 一方、ドイツ海軍のU−20は快調だった。ここ3日間で3隻の英国船舶を沈め、ルシタニア号は4隻目となる筈だった。
 先述の様に、英国側はこの事をルシタニア号に知らせてはおらず、お陰で、待機するUボートに自ら近づく格好(エサ)となった。
 しかしこの日は霧が深く、U−20はドイツに帰還する予定だったのだ。
 これを不運というより悪運と言おうか。

 ルシタニア号を700mの射程に収めたU−20は魚雷を一発見舞った。魚雷の軌道に気付いた乗組員がメガホンで絶叫するも、燃費の悪い操舵室の轟音でかき消され、回避出来ずに命中してしまう。悪運は重なるもんだ。
 しかし、魚雷が命中すると呆気なく自慢のルシタニア号は沈没した。船底で2度の大爆発を起こし、隔壁の扉が閉められなくなったのだ。3度悪運は重なった。
 その上、人数分が乗れる救命艇を積んでいたにも拘らず、殆どが亡くなった。死者1198人という、タイタニックと同規模の大惨事となったのだ。
 この僅か18分の悲劇には、U−20側も驚いた。シュヴィーゲル艦長は以下の戦闘詳報を残している。
 ”通常では起り得ない様な大爆発と強い爆風があった。2度目の爆発は魚雷命中後と思われる。ボイラーか石炭か火薬の爆発だろうか?船は即座に右舷に転覆し、急速に沈んでいった。水蒸気が爆発し、船は沈んだ。
 船首に金色の文字で「ルシタニア」と書かれているのが読み取れた。煙突は黒く、船体は灰色に塗られ、船尾に旗は掲げられてなかった。
 我々はすぐに離脱した。助かろうとしている群衆に向かって2発目の魚雷を発射するなど私には出来なかった”

 つまり、魚雷を命中させてから相手がルシタニア号だった事に気づいたのです。


大論争の陰に 

  この2度目の爆発が後々まで大論争を引き起こす原因となった。ドイツ側は”火薬を積んでいたからこそ、あんな速さで沈んだのだ”と主張。これを英国側は否定し、残虐非道だと罵ります。
 今日の研究では、ターナー船長の判断ミスが少なくとも5つあったとされる。その中でも致命的だったのが、アイルランド海峡をわざわざ通ってしまった事だ。狭いのでジグザグ航行が出来ず、魚雷の絶好の標的となってしまった。

 ただ英海軍側にも落ち度はあった。前述した様に警告はしてないし、現場海域近くで英国海軍の巡洋艦ジュノーが作戦行動中だったが、U−20を捕捉できなかった上、救助すらしなかったのだ。
 当時こうした大型の英国船は、”Uボートと遭遇したらぶつけて沈めてしまえ”と命令を受けてた。実際、オリンピック号がUボートに体当たりし、沈めている。
 この事はドイツ側も知っており、ルシタニア号が前方から近づいて来た為に、無警告での攻撃となってしまったのだ。 

 ルシタニア号沈没の調査委員会では、客船は2発の魚雷により沈没、武器弾薬は積んでなかったというのが英国政府の公式発表だった。 
 英海軍相のチャーチルは、それに異を唱えた目撃者の証言を封殺し、新聞には彼らをドイツのスパイと書き立てた。船長のターナーさえもドイツのスパイとレッテルを貼られた。

 1970年代にルシタニア号の搭載貨物を調査した米人ジャーナリストによれば、”弾薬は毛皮と偽って登録されていた”という。一方、歴史家ローレン•ビールは”プロパガンダと陰謀論は常に隣り合わせなのさ”と吐き捨てた。 
 インド初代首相ネルーは著作「父が子に語る世界歴史」中で以下の様に述べてる。
 ”戦争を通じ、イギリスが嘘とデマの宣伝にかけて優等賞に値するものであった事に疑問の余地はない”
 番組では”今なお、ルシタニア号残骸の周りには謎と憶測が渦巻いてる”と締め括る。
 以上、Gooブログと週刊武春からでした。

 長くなったので今日はここまでですが。次回は、ルシタニア号の悲劇の謎(後半)とアメリカ参戦の本当の理由について書きたいと思います。
 歴史は繰り返されるといいますが、タイタニックが沈没したのが1912年4月ですから、ルシタニア号の悲劇の僅か3年前の事です。
 そのタイタニック号の悲劇の僅か2年後には、カナダの豪華客船エンブレム号が沈没し、1012人の犠牲者を出します。

 僅か4年間で、1000人超の犠牲者を出す豪華客船の沈没が3度続いた訳です。偶然もここまで来ると、少し怖い気もしますね。 
 これらも不運と言えばそれまでですが、英米独の各国の政治的策謀が絡み、悪運が重なって大きな悲劇を生んだんですね。 
 亡くなった方のご冥福を祈ります。



4 コメント

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チャーチルお前もか (hitman)
2019-10-25 08:19:59
という事はルシタニア号の沈没がアメリカ参戦の原因じゃなかったという事?
では一体何が原因なの?
まさか?アメリカの自作自演とか?
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hitmanさんへ、その2 (象が転んだ)
2019-10-25 11:38:01
ルシタニア号の悲劇はアメリカ参戦の要因に過ぎませんがね。アメリカ大衆の世論はこれ位じゃゆるぎませんでした。傾く事はあっても。

でも戦争って色んな要素が絡み合って、最後は単純な原因で起きるんですね。続きをご期待です。
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チャーチルだけじゃない (#114)
2019-10-25 13:58:12
チャーチルだけじゃなくアメリカも一枚絡んでるさ
無差別攻撃のドイツだってもっと悪い
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#114さん (象が転んだ)
2019-10-25 17:52:57
確かに
一枚だけじゃなく二枚ほど絡んでますかね。

ドイツのU-20も結構な数の船舶を沈めてます。アメリカも相当に警戒はしてたんでしょうが。
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