
今月の5日(米国時間)に行われたアメリカ大統領選挙。最終的には312対226でトランプが完勝したが、得票率では50%(76,553,204票)対48.3%(73,937,285票)と世論調査同様に拮抗した結果となった。
「ショボ過ぎた大統領選」に寄せられたコメント返しにも書いたが、これから4年間、何かある度にTVニュースやSNSなどであのハゲ爺とお化けみたいなファーストレディの顔を拝む必要があると思うと、ただそれだけで憂鬱になる。
それに、トランプは大統領に再君臨した今でも4つの容疑で起訴されてる犯罪者である事には変わりはないし、今回の再選がなかったら、監獄行きは確定だったろう。
この4つの容疑の中でも、20年大統領選では、トランプ陣営(共和党)が”揺れる選挙区”と呼ぶ7つの州で選挙結果を覆そうと、”偽の選挙人”を作り出した。
彼らは、公文書に似せた偽の選挙人名簿を作るなどして、11月の大統領選で正式に選ばれた筈もない”偽の選挙人”を12月14日の選挙人団投票に送り込もうとしたのだ。
トランプを含め、関与した者の一部は、公文書偽造などの罪で起訴され、その捜査は今も続いている(BBC.com)。
そこで、今日は正式に大統領が決まるまでのシステムとカラクリを紹介する。
不誠実な選挙人と選挙人団投票
某フォロワーの記事に、”トランプを大統領とは認めた訳じゃない”とあった。
確かに、正式にはだが、選挙人の総数538人による12月の”選挙人団投票”により大統領が決定する。
「ショボ過ぎた大統領選」でも書いたが、有権者は大統領候補(又は政党)ではなく”選挙人”をに投票するが、アメリカ全土で選ばれる選挙人の集まりを”選挙人団”と呼ぶ。
大統領選は全有権者の票の総数で決まる訳ではない。(殆どの州で)その州ごとの集計により過半数の票を得た候補(政党)が、各州に割り振られた”選挙人団”全員の票を獲得し、勝敗が決まる。故に、総得票数で上回っても選挙に負けるという矛盾が発生する。
例えば、記憶に新しいのが2016年の大統領選で、トランプはH・クリントンより300万票近く少なかったが、獲得した選挙人はクリントンが232人でトランプが306人だった為に、トランプが勝利した。
2000年にも、J・W・ブッシュ(共和党)が総得票で54万票以上、アル・ゴア(民主党)より少なかったが、獲得選挙人はブッシュが271人、ゴアが266人で、ブッシュが大統領になった。
因みに、この2人の他に総得票数で負けて大統領になったのは3人だけで、それも19世紀での事である。
以下、「大統領を選ぶ”選挙人団”とは、どういう仕組みか?」より大まかに纏めます。
そこで疑問に思うのが、勝利した政党が選ぶ選挙人は”自分の州で勝った候補に必ず投票する必要があるのか?”という事である。
大統領候補を擁立する各政党は、大統領選の投票日前に自党の選挙人を登録。11月の有権者投票による選挙結果を州選挙委員会と知事が認定し、勝った党が登録した選挙人が12月半ばの”選挙人団投票”で投票する。
この選挙人団投票は通常、各州の州都で行われる。だが、一部の州の選挙人は(理論上はだが)一般有権者の投票を無視し、どの候補に投票するかを自分で選ぶ事ができる。
但し、実際には選挙人は自分の州で最多得票した自党の候補に投票するのが通常だ。一方で、選挙人が一般有権者による投票結果を無視し、自党候補以外に投票した場合は”不誠実な選挙人”と呼ばれる。
実際に16年の選挙では、7人の選挙人が”不誠実な選挙人”になったケースがある。
つまり、民主党の5人はクリントン以外に、共和党の2人はトランプ以外に、それぞれ投票したのだ。但し、これでトランプの勝利が覆る事はなかったが、接戦であったら逆転した可能性もなくはない。
因みに、一部の州では”不誠実な選挙人”は罰金を科せられたり、起訴されたりする可能性があるという。
一方で、全くの引き分けや、どの候補も選挙人票の過半数を得られなかった場合には、連邦議会下院が投票し、大統領を選ぶ。但し、この事態になったのは1824年の1度だけで、その時は候補4人が選挙人団の票を取り合う形になり、誰も過半数を得られなかった。
だが、現在のアメリカ政界では民主党と共和党の2大政党が圧倒するだけに、2人以上の大統領候補が引き分けに近い展開になる事は殆どあり得ないとされる。
では、なぜ選挙人団制度が採用されたのか?
合衆国憲法が1787年に起草された当時、国土の広さや信頼できる通信技術がなかった為に、一般有権者による全国的な投票は実質的に殆ど不可能だった。
が故に、憲法の起草者らは”選挙人団”制度を作り出したが、特に人口に占める奴隷の割合が特に高かった南部の州がこの制度を強く支持した。
つまり、奴隷は投票できなかったが、人口の一部としては数えられた為、南部の諸州は多くの選挙人を割り当てられ、(間接的にだが)国政へ参加する事が出来た。
この選挙人団制度の長所と短所として、まず長所は①候補者は人口の少ない州も重視する事になる②候補者は全国を遊説して回る必要がなく、重要な州に集中できる③何か問題が生じて再集計が必要になった時、選挙当局は問題を限定し易いし、全国的な再集計でなく、1つの州だけでの作業で済む。
欠点としては、①全国的に最多の票を得た候補が負けることがある②一票が無意味だと感じる有権者もいる③どの政党を支持するかがコロコロと変わる”SwingState(揺れる州)が過大な影響力をもつ。
殆どの州は歴史的に、大多数の有権者がどの党を支持するかが大方決まっている。が故に、候補者はそれ以外の”揺れる州”となる接戦州や激戦州と呼ばれる一握りの州に選挙活動を集中させる。
今年は、ペンシルヴェニア(選挙人19人)、ノースカロライナ(同16人)、ジョージア(16人)、ミシガン(15人)、アリゾナ(11人)、ウィスコンシン(10人、ネヴァダ(6人)の7州だったが、この殆どをトランプが勝利し、完勝の大きな後押しとなった。
以上、BBC.comからでした。
トランプ再選で世界はどう変わる
勿論ありえない話だが、今回のトランプは312対226と民主党候補のハリスに86の選挙人の差を付けて圧勝した訳だが、これをひっくり返すには、共和党が選んだ少なくとも86人の選挙人が全て”不誠実な選挙人”になる必要がある。
つまり、犯罪者が大統領になった事実を覆すには、これ程の悪を実行する必要があるのだ。
前回の大統領選ではトランプ陣営は16人もの”偽の選挙人”を送り込んだらしいが、86人には遠く及ばない。
そう考えると、余程の事があってもトランプ大統領の再選は正式に確定であり、世界はこの4年間をトランプ政権で我慢する必要がある。
ここからが本題だが、トランプ再選で世界はどう変わるのか?
トランプは今回の選挙戦で負ければ収監される筈だったが、国民の欲求に応えたポピュリズム(大衆迎合主義)のシナリオを必死に描き続け、その為には”アメリカ1st”を貫く必要がある。そして、今や世界の秩序はアメリカ中心に回る可能性が出てきた。
今回の選挙で、再三トランプが主張した1つに”関税”がある。議会の承認を必要としない関税率の変更はトランプ政権にとって主要な武器になるが、①中国に60%②その他の国に10~20%③メキシコの自動車産業に200%以上とある。
勿論、これらの関税がそのまま実行されるかは不透明で、モルガンスタンレーは中国への60%と他国の10%の関税が課されれば、米国消費者物価指数は0.9%上昇すると予想し、ドイツ銀行はアメリカの成長率がマイナスになると予測する。
以下「トランプ再登板で日本人の生活は・・・」より一部抜粋です。
アメリカ経済の立て直しとして、インフレ収束を公約に掲げたトランプだが、そう簡単に関税を上げる訳にもいかない。関税が大幅にUPされれば輸入品は高くなり、”インフレ→金利上昇→ドル高”に振れ、その効果は薄らぐ。
だが、今回のトランプは前回と異なり比較的景気の良好な状態で政権を引き継ぐ形になる。確かに、ロシアのウクライナ侵攻やコロナ禍の影響からインフレになったものの、株式市場は連日史上最高値を更新し続け、高い成長率や低い失業率を維持している。
ただ、ここ2年程度は好景気を保てるだろうが、関税を大幅に引き上げればインフレを招き、金利高になり、景気が急速に失速する可能性もある。
一方で、今回のトランプの経済政策には”減税”にも注目する必要があるが、今回は法人税率を現状の21%から15%にまで引き下げると公約。これら減税のコストは10年間で約5兆ドル(約770兆円)とされ、大型減税は景気を押し上げる可能性も高いが、財政悪化も招く。
更に、トランプは常々金利をもっと下げるべきだと主張するが、関税・減税・低金利が揃えばインフレが再び猛威を振るう可能性もある。
一方、アメリカ国民はインフレに嫌気が刺し、トランプ氏を選択したのだが、その政策はインフレを誘導する皮肉な結果になりかねない。
その上、トランプが強く主張する”移民制限”も労働力不足を招き、賃金上昇が予想される。つまり、トランプはインフレ撃退を主張するが、その政策は全てインフレに結びつく矛盾も大きく孕む事となる。
また、アメリカ以外の国にとって高い関税により大きな打撃を受け、加えてドル高が加速し輸入インフレを招くし、日本もドル高円安に苦しむ可能性が高い。
戦争は回避できるのか?
トランプが繰り返し公約したのが”戦争収束”発言である。”ウクライナ戦争を24時間で解決する”と約束し、”私が大統領であればロシアはウクライナに侵攻しなかった”とも言い放った。
イスラエル支援政策に関しても、トランプは元々イスラエルに強い支持を示し、”中東紛争も解決してみせる”と豪語する。特に、イランに対しては、より強硬な姿勢を貫き、イスラエルとイランが対峙すれば派兵する可能性もある。
更に、日本や韓国、NATO諸国に対し”相応の防衛費を負担すべき”と主張し続け、台湾に対しても相応の負担を求めようとする。また仮に、中国が台湾を侵攻する事があっても、静観する可能性すら匂わせてるのだ。
一方、トランプはウクライナに対しても”全面的譲歩”を求めるつもりだが、最近も定期的にプーチンと連絡を取り合ってるとの噂もあり、選挙戦で大きな貢献をしたイーロン・マスクもプーチンと定期的に直接連絡を取り合ってると報道されている。
こうしたトランプのロシア寄りの姿勢はヨーロッパに大きな脅威を与え、更に経済的な負担も大きなものになる筈だ。
第1次世界大戦時、アメリカは孤立主義(モンロー主義)を貫き、欧州の戦争に一定の距離を置いてきたが、最終的にはナチスドイツに追い詰められ、参戦した。
故に、トランプの掲げる”アメリカ1st”は形を変えた孤立主義ともいえ、欧州諸国は防衛費増大を迫られる上、10%の関税を強いられれば経済的にも苦しくなる。だが、孤立主義に近い”アメリカ1st”は最終的にアメリカに増幅されて返ってくるだろう。
中東も一触即発の状況にあるが、その背景には米露が絡んでる訳だが、トランプ政権がこれらを収束させられるかは全くの不透明である。
日本が最も懸念する台湾有事だが、トランプの一声で中国の台湾侵攻が現実のものとなるかもしれない。また、メキシコの自動車産業に対して200%の関税をかけるとトランプが主張するのも、メキシコに進出する中国の自動車工場が標的だが、日本の自動車産業も巻き添えを食う恐れがある。
つまり、トランプが公約した”戦争回避”が実現するのか?それとも火に油を注ぐの事になるのか?これまた不透明である。
トランプ再選により、日本とアメリカの関係も大きな転機を迎える。特に、日本に直接的影響を及ぼしそうなのがドル高円安に振れてしまう事で、トランプ自身はドル安を希望してるが、ドル安と矛盾する経済政策が多い為にドルが独歩高になり易い。
仮に、円安が進めばインフレになり、円高になれば輸出産業が打撃を受ける。そこに関税10%を課せられれば、日本の対米貿易は大きな影響を受ける。
更に”日米地位協定”が見直され、防衛費増大を強制されれば、日本の財政面に歪みが生じる。その上、国民民主党が主張する”103万円の壁”が実現すれば大きな減収となり、日本政府の財政危機が一気に表面化する恐れもある。
最後に、最も大きな懸念がトランプの年齢’(78歳)で、耄碌が指摘されたバイデン前大統領と同様に、ボケや老いが露呈するかもしれない。正しい判断力が今後4年間維持できるのか?これまた不透明である。
しかし、今や共和党内部はトランプを取り巻く強硬右派が幅を利かせ、彼らにコントロールされてしまう可能性もある。
トランプは戦争回避の姿勢を貫くものの、今後のロシアや中国の動き次第では、好戦的な強硬右派に押し切られ、戦争に突き進む可能性もある。
また仮に、トランプが公約通りに政権を押し通した場合、インフレと円安が強まるだろうし、日本人の生活も大きく変化する可能性がある。だが、日本にとって最大の恐怖は東アジア地域で戦争が起きてしまう事だが、そうならない事を祈るばかりだ。
以上、東洋経済Onlineからでした。
最後に
我ら日本人が一番恐れるのが戦争である。だが、その前に、トランプが再選した事で、世界の秩序が崩壊するかもしれない事はもっと深刻である。
”アメリカ1st”なんて今や幻想に過ぎないし、”アメリカを中心に自国愛を叫ぶ”のなら、自国も世界も益々混乱するであろう。
一方で、経済畑のトランプは基本的にはだが”戦争しない人”だ。台湾有事も見て見ぬふりで、自国に火の粉が降らない限り、戦争に参加する事はないだろう。
つまり、”アメリカ1st”とは”自国さえ良ければいい”という孤立主義の事だが、自国と世界を危険に晒す”ご都合主義”とも言える。
勿論、全米の有権者たちはその”アメリカ1st”を信じ、トランプに投票した訳だが、その選択が超大国アメリカの分断を生み、これまで自由主義と民主主義を牽引してきたアメリカの崩壊を加速させるとしても何ら後悔はないだろう。つまりは、全てが織り込み済みなのだ。
ともあれ、このハゲ爺がニクソンみたいに任期途中で罷免されるのか?共産党内部の超右翼勢力により潰されるのか?アメリカ政府内でクーデターが起きるのか?
はたまた、トランプと共にアメリカが地獄に堕ちるか?国民がトランプを追い出し、生き残る道を独自に模索するか?それもひとえに国民の選択に掛かっている。
トランプが打ち出した公約の多くは明らかに矛盾している。が故に、我ら日本人はじっと堪えて、この危険なハゲ爺を監視するしかないのだろう。
牢獄にでも入ってたほうがって思うけと
しぶといのよね〜このクソハゲ爺が
髪の毛も含めて
失いものは何もないから
バカみたいに強気でいられるのよ
お金さえあれば犯罪者でも
大統領になれること証明したようなものだけど
バイデンも対ロシア政策でドジったから自業自得なんだけどね=_=
早かれ遅かれ
トランプ爺は共和党の極右勢力に飲み込まれるとは思うけど
そうなったらアメリカも日本も終わっちゃうのかな
あと2年が限度でしょうね。
公約も矛盾するものばかりで、中国はトランプ政権の方が対峙しやすいかもです。
台湾有事は勿論、ロシア-ウクライナ戦争もプーチンはまず引かないから、それなら”ウクライナの半分でも持ってけ”となるでしょうか。
お陰で中東戦争に全勢力をつぎ込み、イスラム族を全て壊滅する気でいるでしょうね。
勿論、トランプ政権が全て極右に支配されたらの話ですが・・・
トランプ再選は一種のカンフル剤にはなるだるけど、それは一事的なものですぐにアメリカ経済は混乱に陥るだろう。
ロシア-ウクライナ戦争も転んだサンが指摘してる通り、プーチンもゼレンスキーも一歩も引かないだろうから、”好きにしろ”って事で背を向けるでしょう。
イスラエル-ハマス戦争も武器を提供するだけで”後は勝手にしろ”と高見の見物でしょうか。
結局はトランプという人はカネの力で大統領に成り上がった人だから、全てはカネ次第。
アメリカに大金さえ転がりこめば、世界はどうなってもいい。
もっと言うと、自分が世界の富を牛耳れば、他はどうでもいいのだろう。
こんな事態になったら、アメリカは確実に分裂するから、トランプ帝国は呆気なく崩壊し、共和党の極右と民主党が真っ向から対立する。
となると現代の南北戦争が勃発しても何ら不思議はない。
アメリカの有権者は”最後の抵抗”ではなく、”最後の賭け”に出てトランプに投票しました。
この賭けが裏目に出る可能性は高そうですが、アメリカ国内で何らかの紛争や内乱が起きる事は必至のような気がします。
トランプの再選が決まったばかりですが、既に”こんな筈じゃ”とか”ハリスの方が良かった”と後悔する有権者が多いでしょうか。
特に、マスク氏と一緒に総合格闘技を観戦するトランプを見てると、先は長くはないだろうなと思います。
トランプが24時間以内にプーチンを説得できず、ロシアウクライナ戦争が終結しなかった場合、共和党の極右勢力がトランプに見切りをつけ、最悪は米露間の全面戦争に発展することも考えられますね。
つまり、トランプの公約はプーチンにソデにされる公算が強いですから、米露戦争になればイランはイスラエルに、中国は台湾に攻め入りやすくなります。
要はトランプがプーチンとゼレンスキーの間に入り、どうやって両者を説得するかですが、これが出来ない限りトランプ政権は最初の一歩で躓くことになります。
現実的に見ればですが、プーチンが老トランプを見切る形になり、両者は決裂し、アメリカはウクライナに背を向け、イランの方に舵を切るのか、裏を突いてロシアと対峙するのか。
少なくとも中国との台湾での直接対決は避けたいところでしょうね。
トランプ陣営は今は様々な策を練ってる最中でしょうが、どんなサプライズがあるのでしょう。
同じ様に、トランプ陣営も練りに練った政策があるとも思えません。
つまり、最悪は”鳴かぬなら殺してしまえ”の単純な論理で突っ走るかもですね。
一方でトランプは”24時間以内にロシア-ウクライナ戦争を終結してみせる”と豪語してますが、それが出来なかった場合は極右の台頭又は暴走という事も覚悟すべきでしょうか。
勿論、そんな単純ではないかもですが、思うほどのサプライズはないと思います。
とにかく、トランプ政権に振り回され、惑わされない様に慎重に様子を伺うしかないのでしょうね。