久し振りに、凄い映画を見た。タイトルからしてピンと来た。カバーデザインも実にいい。
アカデミー賞6部門で計7つのノミネートとか、主演女優賞(Fマクドーマンド)と助演男優賞(Sロックウェル)を受賞とかが霞む程、素晴らしかった。 ここずっとハリウッドを毛嫌いしてたから、DVDを借りる事すら億劫になってたが。これを見た途端、我が映画魂に火がついた。
作品の出来が如何に凄いかは、ウィキの長々として紹介を見れば、明らかだ。
ミズーリ州のとある田舎町で、娘がレイプされ、その後焼かれ殺害された。こう書けば、何処にでもある復讐モノに過ぎないと。 しかし、ミズーリ州の貧しく閉鎖的な人間関係の中で生きる白人を、この作品は実に繊細に描いてる。
”白いゴミ”とまで蔑まれる、この田舎町の白人は、差別的で暴力的、女性を侮蔑し、閉鎖的なコミュニティの中に属するとある。
貧困層が蔑まされるのは、何時の世もどんな人種も同じであるが。蔑む側が裕福層であるというのが一番許せない事だが。
私から言わせれば、成り上がった白人こそが”白いゴミ”なんだが。どうも裕福な白人に対しては辛辣になリます。
しかし、そんな彼らの闇に潜む陰鬱と葛藤を、この作品は見事に表現してる。
ただ、この様なマイノリティの憐れな白人モノも、ハリウッドは得意としてきたが。この作品の特異性は、後半からこの復讐劇の様相が変わっていく所にある。
さてと、大まかなあらすじをです。
母親のミルドレッドにとって、女手一つで育ててきた娘の死は耐え難いものであった。しかし、時が経つにつれ、彼女はレイプ殺人犯の手掛かりを何一つ発見できない警察に不信感を抱くようになる。それはやがて、警察への怒りへと変化していく。
ミルドレッドは、あるアイデアを思いつく。町はずれの道路沿いの殺害現場に、3枚の広告”スリービルボード”を立てるのだ。
メッセージは、”娘はレイプされて焼き殺された”と”未だに犯人が捕まらない”と”どうしてウィロビー署長?”の3つ。
勿論、警察側はブチ切れる。地元住民も騒ぎ立て始める。署長のウィロビーは何とかミルドレッドを説得し、慰めるも、首を縦に振るはずもない。
ウィロビーが膵臓癌の末期症状である事を知った上での、警察へのアテツケであり、復讐でもあったのだ。
やがて、ウィロビーは死に、ミルドレッドは孤立無援となる。
”スリービルボードがなかったら、署長は死なずに済んだ。あの女が殺したんだ”と。
これには、ウィロビーの部下であるディクソンも、流石にキレた。元々、レイシストで悪名高い警官でもあったが。
彼は、広告屋を脅し、屋上から突き落とし、助手にも暴行を加え、その上ミルドレッドの友人をマリファナ所持容疑をでっち上げ、逮捕した。
しかし、その現場を副署長に目撃されたディクソンは、呆気なく解雇される。
そんなある日、3つの看板が放火され、ミルドレッドの復讐は終りを迎えるかに思われた。復讐には報復が付きもんです。
彼女はウィロビーの死に同情するも、看板を燃やしたのが、警察の仕業だと勘違いし、何と警察署に放火する。
実は看板に放火したのは、彼女の元夫のチャーリーだった。彼もまた彼女の事を根に思ってた。”お前があの時娘を追い出さなかったら、娘は死なずに済んだ”と。
復讐が報復を呼び、再び復讐を呼び醒ますんですね。
しかしその時、警察署内にいたのは、心を改めたディクソンだった。彼は死んだ署長の手紙を読み、今回のレイプ殺人の捜査に本気で取り組もうと改心してたのだ。
彼はこの事件の資料を守ろうと逃げ遅れ、顔に大火傷を負う。 偶然、その場を通りすがった小人(ジェームズ)はディクソンを救助し、警察には”彼女は自分と一緒にいた、火事とは関係ない”と、ミルドレッドを庇う。
お陰で何とか逮捕を免れたミルドレッドだが。ここで、大きな味方が現れた。憎き元警官のディクソンだ。
警察を解雇された彼は、独力でレイプ犯を探そうとしてた。そして偶然、ある飲み屋で犯人らしき男の居所とDNAを得て、警察に情報提供したが。結果はシロだ。
ミルドレッドはここにて初めて、ディクソンと和解する。
ディクソンはその男が犯人でなくとも、ミルドレッドの娘を殺した同類の、レイプ魔である事に感づいてた。
彼がその男を捕まえる為にアイダホに行くと言うと、ミルトレッドも同行すると言う。
二人は意気投合し、アイダホへ向かう。
彼女は警察署に放火した事をディクソンに告白する。
”あんた以外に誰がいる?”とディクソンにあっさり返され、男を殺すかについては、”その時に決めようぜ”と語り、物語は幕を閉じる。
前半の主役がミルドレッドなら、後半の主役はディクソンである。娘を殺された母親の復讐から、元警官の悪を許さない正義の融合へと、展開が変わっていく。
”白いゴミ”と蔑まれた彼らにも、プライドと意地と正義はある。復讐が正義へと変わる時、二人の友情は、冷え込んだ田舎町に一つの希望を与えてくれる。
因みに、原題は「Three Billboards Outside Ebbing,Missouri」で、ミズーリ州郊外のエビング(架空の町)に立てられた3つの看板となるが。”Ebbing”には”衰退する”という意味もあり、衰退するもう1つのアメリカの景色と物語でもあろうか。
小人が出てきたり、元旦那に放火されたり、最後は犯人でもない男を捕まえにいく。
随所随所に落としどころを用意してます。
転んださんのブログにあるように、Ebbing という言葉が鍵みたいですか。衰退する片田舎の寂しくもユニークな物語ですかね。
続編が見たくなってきました。
あらすじから推定して、ミルドレッドって、レイプされる年齢の娘の母親にしては、ずいぶん若い印象だけど、いくつくらいかな?
paulさんの勘も鋭いです。
Ebbingという言葉には最初から引っ掛かってました。架空の街という事ですが、それだけではない様な気がします。
衰退とか減衰とかの意味ですが、こういった残忍なレイプ殺人も貧困層の白人や土地もやがては忘れ去られる運命にあるのでしょうか。
そういう意味でのEbbingでしょうか。
別に込み入った展開でもなく、ユーモアに溢れる作品かと。
ミルドレッドは頑固なオバサンです(笑)。年齢的には40から50位かな。
丁度、村形さんとビコさんのお母様を足して2で割った様な、頑固一徹な才気溢れる女性ですかな。
是非、ご覧下さい。レヴューお待ちしてます。
(口調が伝染してますホイ!)
映画の解説がお上手すぎましたので、
もう十二分に分かった感じです
ので、もうこの映画は観なくても、
ダイジョ~だいじょ~
ダイジョウⅤ!😅
今まで呑んでました。
スッカリ酔ってます。
何だか急に寒くなりましたね。
Vivaさんも風邪ひかないようにです。
この映画は見た方がずっと面白いですよ。
少し解説がややこし過ぎたので伝わるのかと、心配でしたが。読んでくれて有難うです。