ライブドア支持派,とくに堀江社長のキャラクターに魅力を感じている人の発言には,ライブドアとニッポン放送を含めたフジサンケイグループとの事業提携が両者にとって意義のあることと本気で考えている,と思えるものが多い。テレビや所信表明などでの堀江社長の発言を信じてのことと思う。
この状況,当の堀江社長は苦笑しつつながめているのではないだろうか?
堀江氏がハッピーな文学青年だったらまだしも,氏は冷徹な経営者である。敵対的買収をしながら,事業提携であなたもわたしもハッピーよと本気で思っているわけがない。
堀江氏の目的は,友好的な事業提携ではない。それなら,敵対的買収などせず普通に交渉すればいい。目的は,あくまで自身の意思が通るようにフジサンケイグループに対する強制的影響力を獲得することである。
その手段として,ニッポン放送の経営権奪取を目指しているわけだが,堀江氏本人が「想定内」と発言しているように,ニッポン放送側が第三者割当増資で対抗してくることと法廷闘争になりうることはシュミレーションされていたことと考えられる。
支配権をめぐる法廷闘争でのポイントはもちろん多数あるが,ここでのポイントは,敵対的買収がニッポン放送の株主価値にとってプラスであることをアピールすることである。しかし,今回のような方法(時間外取引)で買い集め,時間をかけず一気に支配権を握ろうとした場合,現経営陣が買収者と交渉を行い株主価値を最大化するためにはどのような方法をとればよいかという代替案を検討する時間的余裕を与えない強圧的な買収であると批判されるおそれが生じる。
この批判が現実となった場合,敵対的買収が株主価値を毀損する可能性があると認定されかねない。つまり,法廷闘争上不利になりうる要素なのである。そこで,ライブドア側としては,このような批判をかわすため,交渉しようと提案した・代替案検討の機会はあったと印象づけなければならない。現にライブドアは,2月8日の記者発表の時点でも,提携交渉の呼びかけを行っており,それ以後も呼びかけは一貫して継続している。しかし一方,双方にメリットがあるという提携の具体的内容については,公表すると真似されるとして抽象的な計画を軽く語っているに過ぎない。
こうしてみると,結局,事業提携についての提案は法廷戦術の一環としてなされていると考えるのが自然だと思うが,いかかだろうか。
実は現在,ライブドアは,企業戦略上大きな壁に突き当たっている。
ライブドアは本来,ホームページ作成などのサービスが本業であった。しかし,成長速度を考える場合,こうした事業では急成長は見込めず,将来限界がくることが予想されていた。そこで,旧ライブドアを買収し,ポータル事業をコアとした総合インターネット企業のようなものを目指すことに方針転換したといわれている。しかし,現在もポータル事業は,ヤフーは言うに及ばず,楽天などにも遠く及ばない。
ヤフーは,ポータルの代表格であるし,楽天はネット通販という明確なコアコンピタンスが存在し,存在意義が明確である。これに対して,ライブドアは,特徴が明確ではなく,ポータルとして比較すると見劣りすることは否めなかった。そこで,考えられた方針が金融・証券事業への参入である。すでにマネックス証券やイートレード証券,松井証券など,多くの企業が事業を行っていたが,ポータルと連動させれば成長の可能性はまだまだ見込めた。そして,この方針は成功したといってよいと考えられる。実際,現在,ライブドアの売り上げの大半はこの分野からあがっている(昨年度前期連結売上高の53%)。それでも,ポータル事業をコアとして考えると,やはり限界がある。所詮,利用人数が限られた分野だからである。
ポータル事業の拡大にとっては,何より知名度の向上が重要だが,ポータルとしての特徴がないライブドアは知名度が低いのである。昨年の野球参入問題でマスメディアに多数取り上げられたこともあり,知名度は以前よりは遥かに大きくなっているが,好奇心でポータルに訪れることはあっても,定着率は低く,ポータル事業はやっと黒字がでた程度に止まる。堀江社長としては,ポータルをコアにしたいのだろうが,現在のコアはM&Aになってしまっている。これでは安定した成長は望むべくもない。
今回の買収騒動は,堀江社長のあせりの裏返しととらえることができなくもない。あわよくば,ニッポン放送をおさえることで,ラジオ,テレビ,新聞,音楽,それらのコンテンツにライツが容易に利用でき,ライブドアのポータルに誘導できる。現在の停滞を一気に解消できなくもない。
しかし,敵対的買収で,被買収企業と軋轢を生んでしまってはどうしようもないと思うのだが。堀江社長は,強盗とまでいわれた五島慶太にでもなろうとしているのだろうか?
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この状況,当の堀江社長は苦笑しつつながめているのではないだろうか?
堀江氏がハッピーな文学青年だったらまだしも,氏は冷徹な経営者である。敵対的買収をしながら,事業提携であなたもわたしもハッピーよと本気で思っているわけがない。
堀江氏の目的は,友好的な事業提携ではない。それなら,敵対的買収などせず普通に交渉すればいい。目的は,あくまで自身の意思が通るようにフジサンケイグループに対する強制的影響力を獲得することである。
その手段として,ニッポン放送の経営権奪取を目指しているわけだが,堀江氏本人が「想定内」と発言しているように,ニッポン放送側が第三者割当増資で対抗してくることと法廷闘争になりうることはシュミレーションされていたことと考えられる。
支配権をめぐる法廷闘争でのポイントはもちろん多数あるが,ここでのポイントは,敵対的買収がニッポン放送の株主価値にとってプラスであることをアピールすることである。しかし,今回のような方法(時間外取引)で買い集め,時間をかけず一気に支配権を握ろうとした場合,現経営陣が買収者と交渉を行い株主価値を最大化するためにはどのような方法をとればよいかという代替案を検討する時間的余裕を与えない強圧的な買収であると批判されるおそれが生じる。
この批判が現実となった場合,敵対的買収が株主価値を毀損する可能性があると認定されかねない。つまり,法廷闘争上不利になりうる要素なのである。そこで,ライブドア側としては,このような批判をかわすため,交渉しようと提案した・代替案検討の機会はあったと印象づけなければならない。現にライブドアは,2月8日の記者発表の時点でも,提携交渉の呼びかけを行っており,それ以後も呼びかけは一貫して継続している。しかし一方,双方にメリットがあるという提携の具体的内容については,公表すると真似されるとして抽象的な計画を軽く語っているに過ぎない。
こうしてみると,結局,事業提携についての提案は法廷戦術の一環としてなされていると考えるのが自然だと思うが,いかかだろうか。
実は現在,ライブドアは,企業戦略上大きな壁に突き当たっている。
ライブドアは本来,ホームページ作成などのサービスが本業であった。しかし,成長速度を考える場合,こうした事業では急成長は見込めず,将来限界がくることが予想されていた。そこで,旧ライブドアを買収し,ポータル事業をコアとした総合インターネット企業のようなものを目指すことに方針転換したといわれている。しかし,現在もポータル事業は,ヤフーは言うに及ばず,楽天などにも遠く及ばない。
ヤフーは,ポータルの代表格であるし,楽天はネット通販という明確なコアコンピタンスが存在し,存在意義が明確である。これに対して,ライブドアは,特徴が明確ではなく,ポータルとして比較すると見劣りすることは否めなかった。そこで,考えられた方針が金融・証券事業への参入である。すでにマネックス証券やイートレード証券,松井証券など,多くの企業が事業を行っていたが,ポータルと連動させれば成長の可能性はまだまだ見込めた。そして,この方針は成功したといってよいと考えられる。実際,現在,ライブドアの売り上げの大半はこの分野からあがっている(昨年度前期連結売上高の53%)。それでも,ポータル事業をコアとして考えると,やはり限界がある。所詮,利用人数が限られた分野だからである。
ポータル事業の拡大にとっては,何より知名度の向上が重要だが,ポータルとしての特徴がないライブドアは知名度が低いのである。昨年の野球参入問題でマスメディアに多数取り上げられたこともあり,知名度は以前よりは遥かに大きくなっているが,好奇心でポータルに訪れることはあっても,定着率は低く,ポータル事業はやっと黒字がでた程度に止まる。堀江社長としては,ポータルをコアにしたいのだろうが,現在のコアはM&Aになってしまっている。これでは安定した成長は望むべくもない。
今回の買収騒動は,堀江社長のあせりの裏返しととらえることができなくもない。あわよくば,ニッポン放送をおさえることで,ラジオ,テレビ,新聞,音楽,それらのコンテンツにライツが容易に利用でき,ライブドアのポータルに誘導できる。現在の停滞を一気に解消できなくもない。
しかし,敵対的買収で,被買収企業と軋轢を生んでしまってはどうしようもないと思うのだが。堀江社長は,強盗とまでいわれた五島慶太にでもなろうとしているのだろうか?
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意見を読ませて頂きました。
僕も、堀江社長は仲良く提携するのが、目的ではないと思う。
提携を求める前に、TOB中に時間外取引を行っている。それにもかかわらず、提携したいというのはおかしいと僕は思います。
いろいろ意見はありますが、なぜ、堀江社長が支持されているか少し分かったようにおもいます。ありがとうございました。