昨日、レコードを引っ張り出してCD-Rにコピーしながら聴いていました。懐かしいムラヴィンスキーの凄演・・・・シューベルトの「未完成」。「ウィーンのムラヴィンスキー」という4枚組に収められています。1978年、ウィーンでの2公演のライヴですが、音はイマイチ不鮮明で、もしかしたらアルトゥス盤同様、指揮者からは絶対に見えない所にマイクを設置していたのかも知れません。しかし、演奏はいずれも当時は衝撃的なものでした。
昨日はチャイコフスキーの5番と「未完成」を聴きましたが、その印象は今でも変わりません。「特異」とも思える外観ながら、やはりこれは楽曲に内包された世界を鋭く深くえぐり出した孤高の演奏と言いたい。
この演奏が行われる8ヶ月前に、彼らの来日公演を二日間、聴くことができました。レコードを聴きながら30年以上前のコンサートを思い出していました。
プログラムは以下の通りでした。
10月6日19時開演【大阪フェスティバルホール】
ワーグナー/「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲
同/歌劇「ローエングリン」第1幕への前奏曲
同/歌劇「タンホイザー」序曲
ブラームス/交響曲第2番
10月8日19時開演【大阪フェスティバルホール】
ウェーバー/歌劇{オペロン」序曲
シューベルト/交響曲第8番「未完成」
チャイコフスキー/バレエ音楽「くるみ割り人形」抜粋
以下は、本当にお恥ずかしいのですが当時の日記より・・・・。
1977年10月6日(木)晴れ
10時前から和声をY先生にみてもらった。あんまりやっていなかったので早く終わった。11時~2時までpfの練習をした。T先生の授業は尺八系の楽器、NaiとかCavalのTapeを聴いて、非常に興味深かった。特にイラン、アラブの音楽は美しかった。
今日、何と言っても書かなければならないのはムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルのことだ。ムラヴィンスキーのなんと風格のあることか!彼の指揮は、以前TVで見た時と動きは同じだが、身体から発する厳しい雰囲気は生でないと分からない。弦の美しいこと、金管の強烈な威力など圧倒的であったけれど、何よりもムラヴィンスキー独特のピアニッシモの持続とさびしいような歌わせ方が感動的であった。「マイスタージンガー」前奏曲の冒頭などティンパニの強烈な一撃で始まり、途方も無い緊張のうちに終わった。ブラームスの2番もすばらしく、久しぶりに音楽に引っ張りまわされた感じである。
今日の演奏に比べると、先日のトーマス教会合唱団はおろか、ベームでさえ生ぬるく思える。(中略)8日も楽しみである。
10月8日(土)雨
朝、1限目から行った副科声楽は休講。一度、下宿に戻ってから昼過ぎに大阪へ。今日はムラヴィンスキーの2日目。フェスティバル・ホールのエスカレーターのところでムラヴィンスキー氏とばったり出くわした。約1分くらい、彼の素顔を見つめながらロビーの方へ上がった。突然の出来事に、しばらくボーゼンとしてフラフラ歩き回った。
演奏の内容は、今までのオーケストラ体験中、最高、最大と言うべきもので滅茶苦茶に感動した・・・・(途中、あまりにもオハズカシイ文なので省略)・・・・
それくらい厳しいものを感じた。すごい「未完成」だった。何とダイナミックの差が豊かなのだろう・・・またまた、オハズカシイので省略・・・・死ぬまで忘れない。
今日はいろいろと買い物をした。「枯れ木と太陽の歌」の楽譜、ワーグナーのスコア2冊、中古4枚。財布の方がさびしくなってきた。明日の朝、家に帰る。
・・・と、本当にお恥ずかしいのですが、でも、当時の自分の感じ方が、それなりに分かると思ったのであえて載せました。トーマス教会合唱団と比べてどうとか、ベームは生ぬるいとか、もうこのころから「比較」してどうこう言うような聴き方してたんですね。たぶんインパクトの強い弱いで格付けしてたのでしょうね。でも、こういう聴き方がずぅぅぅっと続いてきたのです。
とにかく、この二日間は本当に「衝撃的」でした。今は解体されてしまった大阪フェスティバルホールの2階最前列で、あの柔らかく豊かな響きの場所で、このコンビの演奏を浴びるように聴きました。客の入りは、二日間ともそんなによくなかったです。空席が目立ちました。私の数席離れた場所で、カセット・デンスケを膝に(あるいは隣の空席だったかな?)ワンポイント・ステレオマイクを手にしている人もいました。特に二日目の「未完成」と「くるみ割り」は、何と言っていいか分からないほどの衝撃でした。日記で言及していないのは、なんと書いていいか分からなくて、「もう、いいや!」と思ったからだったと記憶しています。そして、今でもそんな気がしています。あのもの凄さは、とても私の貧しい筆では書き表せないです。海外オーケストラ来日公演記録抄さんのHPに、当時の来日公演について詳しく記されています。私の印象とかなり重なる文章もありますのでご紹介させていただきました。
演奏についての感想は、LPの他曲、それとアルトゥス盤をも一度聴いてから挑戦してみます。
次回のムラヴィンスキー記事に続く・・・・
昨日はチャイコフスキーの5番と「未完成」を聴きましたが、その印象は今でも変わりません。「特異」とも思える外観ながら、やはりこれは楽曲に内包された世界を鋭く深くえぐり出した孤高の演奏と言いたい。
この演奏が行われる8ヶ月前に、彼らの来日公演を二日間、聴くことができました。レコードを聴きながら30年以上前のコンサートを思い出していました。
プログラムは以下の通りでした。
10月6日19時開演【大阪フェスティバルホール】
ワーグナー/「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲
同/歌劇「ローエングリン」第1幕への前奏曲
同/歌劇「タンホイザー」序曲
ブラームス/交響曲第2番
10月8日19時開演【大阪フェスティバルホール】
ウェーバー/歌劇{オペロン」序曲
シューベルト/交響曲第8番「未完成」
チャイコフスキー/バレエ音楽「くるみ割り人形」抜粋
以下は、本当にお恥ずかしいのですが当時の日記より・・・・。
1977年10月6日(木)晴れ
10時前から和声をY先生にみてもらった。あんまりやっていなかったので早く終わった。11時~2時までpfの練習をした。T先生の授業は尺八系の楽器、NaiとかCavalのTapeを聴いて、非常に興味深かった。特にイラン、アラブの音楽は美しかった。
今日、何と言っても書かなければならないのはムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルのことだ。ムラヴィンスキーのなんと風格のあることか!彼の指揮は、以前TVで見た時と動きは同じだが、身体から発する厳しい雰囲気は生でないと分からない。弦の美しいこと、金管の強烈な威力など圧倒的であったけれど、何よりもムラヴィンスキー独特のピアニッシモの持続とさびしいような歌わせ方が感動的であった。「マイスタージンガー」前奏曲の冒頭などティンパニの強烈な一撃で始まり、途方も無い緊張のうちに終わった。ブラームスの2番もすばらしく、久しぶりに音楽に引っ張りまわされた感じである。
今日の演奏に比べると、先日のトーマス教会合唱団はおろか、ベームでさえ生ぬるく思える。(中略)8日も楽しみである。
10月8日(土)雨
朝、1限目から行った副科声楽は休講。一度、下宿に戻ってから昼過ぎに大阪へ。今日はムラヴィンスキーの2日目。フェスティバル・ホールのエスカレーターのところでムラヴィンスキー氏とばったり出くわした。約1分くらい、彼の素顔を見つめながらロビーの方へ上がった。突然の出来事に、しばらくボーゼンとしてフラフラ歩き回った。
演奏の内容は、今までのオーケストラ体験中、最高、最大と言うべきもので滅茶苦茶に感動した・・・・(途中、あまりにもオハズカシイ文なので省略)・・・・
それくらい厳しいものを感じた。すごい「未完成」だった。何とダイナミックの差が豊かなのだろう・・・またまた、オハズカシイので省略・・・・死ぬまで忘れない。
今日はいろいろと買い物をした。「枯れ木と太陽の歌」の楽譜、ワーグナーのスコア2冊、中古4枚。財布の方がさびしくなってきた。明日の朝、家に帰る。
・・・と、本当にお恥ずかしいのですが、でも、当時の自分の感じ方が、それなりに分かると思ったのであえて載せました。トーマス教会合唱団と比べてどうとか、ベームは生ぬるいとか、もうこのころから「比較」してどうこう言うような聴き方してたんですね。たぶんインパクトの強い弱いで格付けしてたのでしょうね。でも、こういう聴き方がずぅぅぅっと続いてきたのです。
とにかく、この二日間は本当に「衝撃的」でした。今は解体されてしまった大阪フェスティバルホールの2階最前列で、あの柔らかく豊かな響きの場所で、このコンビの演奏を浴びるように聴きました。客の入りは、二日間ともそんなによくなかったです。空席が目立ちました。私の数席離れた場所で、カセット・デンスケを膝に(あるいは隣の空席だったかな?)ワンポイント・ステレオマイクを手にしている人もいました。特に二日目の「未完成」と「くるみ割り」は、何と言っていいか分からないほどの衝撃でした。日記で言及していないのは、なんと書いていいか分からなくて、「もう、いいや!」と思ったからだったと記憶しています。そして、今でもそんな気がしています。あのもの凄さは、とても私の貧しい筆では書き表せないです。海外オーケストラ来日公演記録抄さんのHPに、当時の来日公演について詳しく記されています。私の印象とかなり重なる文章もありますのでご紹介させていただきました。
演奏についての感想は、LPの他曲、それとアルトゥス盤をも一度聴いてから挑戦してみます。
次回のムラヴィンスキー記事に続く・・・・
以前、姉が「復活」を歌った(大学の活動としてです)と書きましたが、その時自分が全く、無関心だったのが悔やまれます。今なら大フィルどうだった?って聞いたかも・・。
音楽をただのメロディとしてしか聞かず、オーケストラの音楽は各楽器の様々な音の集合体である、と認識したのはつい最近。
当時の親父りゅうさんの日記の感想の瑞々しさが羨ましいです。
お身体のほうはいかがでしょうか。
お大事になさってくださいね。
若い時の気恥ずかしくなる文章は、自分は実は愛着があって、日記帳も捨てずにあるという訳ですが、あまりにも赤面モノの部分は、すでに破り捨てた箇所もあったりします。
しかし・・・実は、あんまり変わってないんじゃない?いやいや、前の方がマシ?って声無きツッコミを恐れているってこともあります。
おかげさまで体調は順調に快復しています。
2月、職場復帰の予定です。