静かな場所

音楽を聴きつつ自分のため家族のために「今、できることをする」日々を重ねていきたいと願っています。

淡月梨花の歌(佐藤春夫・詩/大中恩・曲)

2013年09月21日 23時51分09秒 | その他(邦人作品)
懐かしいレコードを某オークションで入手しました。


大中 恩/淡月梨花の歌(佐藤春夫・詩)

合唱:コールMeg


指揮:大中 恩


ピアノ:三浦洋一




 40年近く前、私が合唱高校生だったころから数年間、毎日のように聴いていたレコード(テープ)です。同じ市内のI高校の音楽室にあったものをカセットにダビングさせてもらい、毎日、聴き倒しておりました。「海の若者」「秋の女(おみな)よ」「花笛」などは自分たちも歌いました。でも、それらの曲以上に惹かれていたのが、この「淡月梨花(たんげつりか)の歌」でした。
 書きようによっては、赤裸々なジェラシーの叫びみたいになる内容ですが、韻を踏んだ抑制の箱に封じ込められ、それでも、ちらちらと垣間見える心情はスリガラスを通して淡く見える炎のようです。その「詩(うた)」が、シューベルトみたいな分散和音の伴奏に乗って甘美にセンチメンタルに歌われていきます。当時のコールMegの艶やかな声質が、この曲の美質と見事に調和しています。


淡月梨花の歌(佐藤春夫)


かなしく白くうつくしく
わが心こそ そぞろなれ

あわでむなしく過ぎにける
汝がむかしこそ 憾みなれ

夕月あわき梨花にして
汝が立てるこそ せつなけれ

ああ かかる日に君をみて
かたりし人ぞ 嫉ましき


 大中恩さん初期の名作。って言うか、私たちが合唱に熱中し始めた1973年以降の作品よりも、1950年代から60年代半ばの作品の方が、私は好きだし完成度も高いと思っています。
 当レコードは1960年代半ばの録音。たぶん「全盛期」のコールMegだと思います。プロの合唱団や、昨今の機能的なテクニックを駆使するアマチュア合唱団には技量としては及ばないかも知れませんが、この独特の声質は魅力的です。なんと言うか、大人の艶、多様な色彩、響きそのものに心情が反映しているかのような絶妙な抑揚・・・・。
 コールMegを実際に聴いたのは5回ほどありますが、私が聴いた70年代も、まだ、この響きは健在でした。

 それにしても、合唱と疎遠になって、もう何十年・・・・近ごろの邦人作品も作曲家も全然知らない私です。



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