ベートーヴェン/交響曲全集
管弦楽:フィルハーモニア管弦楽団
指揮:クルト・ザンデルリンク
録音:1980年、81年
一ヶ月半ほどかかって、このセットをやっと全部聴き終えた。ベトヴェン交響曲全集、いつの間にやら手元に58セットほど集ってるけど、これは、その中でも時々取り出して繰り返し聴きたい演奏だ。
ザンデルリンクって、ディスクはそんなに持っていないけど、どれもすごくいい。
「オーソドックス」という表現は、ちょっと違うと思うけど、いや、これは、極めて「オーソドックス」だとも思える。何だろう、この一音一音が真新しく耳に聴こえる佇まい。
音がそれほど前に出てこず、特に弱音部の静的なことは、単に録音(カッティング)のせいだけとも言えないだろう。フィルハーモニア管も、ベスト・コンディションで応えているようだ。美しい。
そういえば、ザンデルリンクのチャイコフスキーもこんなだった。この人は、こういう本当に深い所で自分の色を出せるすごい職人だ。
「英雄」では、ちょっと手を加えた箇所が多いと思った。ティンパニの追加とか、第3楽章トリオの表情付けは、他の曲でのアプローチとちょっと方向が違うとも感じる。でも、それは些細なこと。
背中でものを言う寡黙な、しかし、恐ろしいほど深々と味わいに満ちた全9曲。第1番の終楽章が盤をまたいでヘンテコな所に入っているけど、まあいいか。買った時はセール中で千円でおつりが来る価格だったけど、今は「正常」な値段に戻っちゃってるね。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます