静かな場所

音楽を聴きつつ自分のため家族のために「今、できることをする」日々を重ねていきたいと願っています。

世界大戦争(映画)

2013年10月12日 21時52分55秒 | 映画、ドラマ
かねてより観たかった映画を観ました(レンタルDVD)。


世界大戦争(1961、東宝)




「日本人は、新しい火薬の洗礼を三つも最初に受けた世界で唯一の民族だ。一つ目は元寇において『てつはう』(火薬)の。二つ目は広島・長崎で原子爆弾の。三つ目は、第五福竜丸が水爆の・・・。」というような台詞も聞かれる、1961年公開の(反戦)映画です。

 戦後の焼け野原から16年が経過し、見事に復興を果たした東京の其処ここで、「ささやかな幸福」と平和のありがたさを実感する人たちが暮らしている様が描かれます。我が子の七五三を祝う夫婦、好きな人との婚約を両親に告げようと相談する男女、保育所に子どもを預ける母親、毎日、決まった時間に路地に来てくれる焼き芋屋台の主人、などなど(間に世界のあちこちで起こる不気味なできごとを挟みながら・・・)。
 いずれも平凡でありふれた「日常」ですが、同時に、それが戦争の惨禍から立ち直った今とすれば、どんなにか素晴らしい毎日であり、喜びに満ちたものであるのか、ということが伝わってきます。
 しかし、世界に目を向けると、国々は二つの大きな勢力に分かれて睨み合いから小競り合い、そして、いつ「戦争」(ボタンひとつで大都市を丸ごと滅ぼすことができるミサイル戦争)に突入してもおかしくない極度の緊張状態へと移行していくのでした。
 そんな情勢の中「戦争を放棄した、たったひとつの国だからこそ言えることは言って、何が何でも争いを回避しなければならない・・・」と、時の政府は尽力します。
 日本政府の努力は功を奏し、何度か危機は回避されましたが、しかし、他国で始まった衝突を機に、ついにボタンは押され、東京にも核兵器が飛来するという事態になってしまうのでした。

 あちらこちらの台詞には製作者たちの「今、この映画をつくらねば」という熱意が感じられます。
 特に、ここに登場する首相はじめとする政治家たちの誇らしい気概と使命感は、観る者に「こういう人に国を任せたいものだ」と思わせずにはいられないでしょう。
 そして、戦後16年で、やっとここまでて立ち直った社会と、人々のいじらしいまでのささやかな「平和な日々」が一瞬に消し飛んでしまう、あまりの不条理にやりきれなさと怒りを覚えずにはいられない、そんな映画でした。
 今の映画と比べるのも野暮ですが、特撮には苦労のあとがしのばれます。核爆発で一瞬に吹き飛ぶ建物をつくるのにウエハースや素麺などてミニチュアを作ったそうです。
 憂いと熱が込められた音楽は團伊玖磨。
 監督の松林 宗恵氏は僧侶でもあったらしいですが、焼き芋屋台の主人(この人は身内を広島で亡くして、売り上げの一部を核兵器反対運動に寄付をしている)がいつもバイブルを持っているなど、なかなか心憎いことをしています。
 そして、当時17歳だった星由里子の可憐なこと・・・・!。




 キャストなど、映画の概要はウィキなどを参照下さい。




世界大戦争 【期間限定プライス版】 [DVD]
クリエーター情報なし
東宝


最新の画像もっと見る

コメントを投稿