ポコアポコヤ

食べ物、お菓子、旅行、小説、漫画、映画、音楽など色々気軽にお話したいです(^○^)

「水曜日の神さま」感想 角田光代

2009-08-18 | 小説・漫画他

「水曜日の神さま」とは角田さんがタイとミャンマーの国境の町、メーサイで買った小さな仏像だそうな。月曜日から日曜日までの7種類があるそうで、角田さんは水曜日産まれなので、水曜日の神様を買って家に飾ってある・・という事だそうです。このエピソードは特に印象に残っていないな。

私は、ラストの3つのお話は今は亡きお母さんのお話が入っていて印象に残りました・・・。「トラウマって・・・」では3才の頃お尻を叩いた事をお母さんが気にしていた・・というお話。 
その中でも、あぁ~これは角田さんの今までの小説の中で何度か使われたな・・・と感じたのが「母が残したかたちなきもの」で書かれている、お母さんがほぼ6年サイクルで、レース編み、料理、キルト・・・等にハマって、その都度作った作品が膨大になり・・・欲しくもないのに、どんどんくれて困ったというエピソード。
最後にお母さんが病床で「全部捨てちゃっていいから・・」と言った事、お母さんは作っている間幸せだったんだっていうのは、その通りだと思ったなぁ。
角田さんとお母さんって、若い頃はあんまりしっくり行っていなかったのかなあ・・・って印象だったんですが、お母さん亡き後は、角田さんから出るお母さんのお話が以前と変わった気がします。懐かしむ様な、感謝の気持ちとお母さんは一生懸命だった、とてもかなわない処がある、って言う様になられた気がします☆

あと、お父さんとの関係も「無音の記憶」で書かれていて、あまり話をしなかったんだなぁ・・2人が並んで歩く様子は、「キッドナップツアー」を思い出したりしました。

さて、この「水曜日の神様」は、主に旅に関するエッセイが大半です。以前から角田さんは旅について一杯書いてい、それを読んで「自分と凄い似てる~~!」(旅のスタイルも、感じた事も、好きな旅行先も)って思っていたのだけれど、今回もしみじみ似てるなぁ~と更にそれを再確認しちゃいました。
予想外だったのは、角田さんもトイレが近かったということ。私も旅先で何が困るって長距離バスのトイレなんですよ!!!
あと、日本円に換算するとたかが数百円の事なのに、現地のお金の単位でしか物事を考えられなくなって、ちょろまかそうとしたり、ぼったくろうとした人に対して本気で怒ってしまうというのも同じ。

角田さんは新人文学賞受賞後1年だか経った24歳の時(1991年)、2ヶ月ほどタイ旅行をしたそうなんです。それが彼女にとっての運命の旅だったそうです(旅の途中でマラリアにかかり死にそうになったり)その旅がきっかけで、旅行に出まくるようになり、旅で得た事を小説に昇華させる・・・というスタイルを初期の頃は続けていたそうなんです。ところが、10年だったかな・・経った頃から、旅と切り離して小説を書いてみるようになり、それが「空中庭園」だったらしい。その後長編を書こうと思って書いたのが「対岸の彼女」。2つとも、彼女にとっては特別な作品なんだろうなぁ。私もその2つは大好き。

そして「運命の旅」
運命の本があるように、運命の旅に出会う人もいる。二十代半ば前後が最も運命の旅に出会いやすいそうです。私もそれ、20代中盤で経験しました。一時期、海外貧乏旅行の為に仕事をしてお金を稼いでいた感じでした。私の場合はタイじゃなくてイスラム圏の国でしたが・・・。でも、私もタイが大好き。最初にタイに旅行に行ったのは、角田さんより4年前の1987年でした。2回目に行ったのは1993年で、ものすごいバンコクの変貌ぶりに驚いたものでしたが、現在はなんと地下鉄まで通っているとな?!衝撃でした。また行きたいなぁ~。

あと、ウイグル自治区についての記載が一杯あって、日付がどれも何年か前なんですよね・・・。私もウイグル自治区のカシュガルはじめ、シルクロードの西域地帯には30年ほど前から憧れ続けていて20代のころは本気で行きたいと計画も練っていた位でした。そのころは、角田さんも書かれていらっしゃるように、色々な人種宗教の人がごっちゃになって平和に微笑みながら暮らしている、なんて素晴らしい場所なんだろうって思っていたのですが、悲しい事に近年は、人種格差などで、それもかつての事となってしまった様ですよね・・・最近では政情不安定だったり、そういうニュースばかりが聞こえて来るのが残念です。

あと、「温泉に行くと疲れる」には爆笑!、「バー以前・以降」は胸の奥がピリっとしたな・・・。「去りつつある恋人を美点など何ひとつないのに嫌いになれないように、私も誰かに肯定されたかったのだ。いいところもないし、ほかの男にはふられようとしているけれど、それでも好きになってもらえる価値はあるのだと、誰かにどうしても教えて欲しかったのだ」こういう経験って結構みんなしているんじゃないかな・・・。

「挙動不審になりがちな」は、角田さんの本が書店に並んでいるか否か?長時間角田さんの本を立ち読みしていた男性、等について書かれていて可笑しかった。

何年か前に出された「いつも旅のなか」と表紙の写真の雰囲気が似ていますね☆
水曜日の神さま (2009-06)


福袋
「くまちゃん」面白かったです
森に眠る魚(ネタバレです 注意!)
何も持たず存在するということ
角田光代さんの小説色々感想まとめ
「三面記事小説」「マザコン」
ロック母
「薄闇シルエット」凄く共感、良かった 角田光代
「いつも旅のなか」「誰かのことを強く思ってみたかった」
「presents」「夜をゆく飛行機」
「恋をしよう。夢をみよう。旅にでよう。」 「恋するように旅をして」の感想
「対岸の彼女」感想と、全あらずじ 
ドラママチ 「太陽と毒ぐも」「12星座の恋物語 」感想
「八日目の蝉」 角田光代 凄く引き込まれて一気読み

コメント (10)    この記事についてブログを書く
« 「パラドックス13」東野圭吾... | トップ | 「ゼリーdeゼロ」 0カロリー... »

10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ゆう)
2009-08-18 17:27:25
おおっ!これは新刊ですか?
早速チェックします♪
返信する
Unknown (なな)
2009-08-18 21:07:10
こんばんは。
私が角田さん好きって思ったのが「対岸の彼女」で次に「空中庭園」を読んだので、そこら辺の事情が書いてあって、なるほどな~って思いました。

お母さんが亡くなられてから書いているエッセイ、
読むたびに私もそれほど遠くないいつか
同じような気持ちになるんだろうなって
胸がざわざわします。
返信する
ゆうさん☆ (latifa)
2009-08-19 08:42:13
こんにちは~ゆうさん
そうなんです。図書館で新入荷しているのを偶然発見!アクションが早かったので、珍しくすぐ回って来たんです。
西川美和さんの「きのうの神さま」とタイトルが似ていて一瞬混同しそうでした
そちらは、もう3,4ヶ月待ってるんですけど・・・・全然回って来ない・・・
返信する
ななさん☆ (latifa)
2009-08-19 08:48:11
こんにちは~ななさん
うわっ!私もなんですよ、確か最初に読んだのが「対岸の彼女」で、もう一発ノックダウンでした。
そして私も空中庭園は次だったかどうかは覚えていないのですが、2,3,4番目くらいと早い段階で読んで、こりゃ~この角田光代さんって作家さんの本は面白い。私と相性が合うわ!と確定したんです

早くにご両親がお亡くなりになってしまったことは残念ですが、角田さんのように家族もの(しかもドロドロした)を書く作家さんとしては、両親に気兼ねせず遠慮なく書けるようになった・・・っていうのはあるかもですね・・・。
返信する
Unknown (ゆう)
2009-09-08 11:51:17
こんにちは。
この作品の最初の旅先で病気になった・・というエピソードなんですが・・
清志郎の「忌野旅日記」という作品のあとがきで「忌野中毒」と題して角田さんが寄稿されておられます。
その中で、死ぬかもしれない病気にかかり、清志郎の歌に助けられて生き延びた・・みたいな感じでした。このエピソードの時のことだろうに、このエッセイ集ではキヨシロウのキの字もありませんでした(爆)
さすが作家だなぁ、なんて、妙に感心してしまいました(笑)
返信する
ゆうさん☆ (latifa)
2009-09-09 09:15:31
こんにちは~ゆうさん
ええっ!!
>清志郎の「忌野旅日記」という作品のあとがきで「忌野中毒」と題して角田さんが寄稿されておられます。
 そうなんですか?!さっそくその本を、本屋さんに行って探してみたいと思います。そうっか~、角田さんは大好きなキョーシローの本の、栄光のあとがきを担当させてもらえるという快挙に出てたんですね~
どんなに嬉しかっただろうな~!

で、うははは!そのあとがきに書かれていたのと、この本に載っていたエピソードは、若干違っていたんですね。
それにしても、そのあとがきと、こちらの本のエピソードと両方を読む人って、そうそういないだろうし・・・。ゆうさん、面白いお話聞かせてくれてありがとうございます~
返信する
Unknown (ゆう)
2009-09-11 15:09:21
何回もコメントすみません・・

『瀕死の双六問屋』というキヨシロー著の本のあとがきも角田さんですよ♪
これは、文庫だけ?だと思いますが。
よかったら立ち見でもしてみてください(笑)

どんぐらい角田さんがキヨシロウの事好きか、よーくわかります(笑)特に旅日記のほうは(笑)
返信する
ゆうさん☆ (latifa)
2009-09-12 08:45:06
こんにちは~ゆうさん
何をおっしゃいます!何度だって大歓迎ですよ~

『瀕死の双六問屋』の文庫版
うわ~~っ、そうなんですか?!それにしても、ゆうさん、すごい!!きょーしろーの本も一杯お読みになっているんですね。
そうかぁ~ きょーしろーのご存命中に、既に角田さんは、そんなに何度も接触する機会があったのね~。
こちらも立ち読みしてみますね!!
情報ありがとうございます
返信する
Unknown (時折)
2009-10-29 07:59:52
おはようございます。
またTBさせていただきました。
男のマニアックな角田ファンとして、私は、角田さんの今は亡きお父さんの話に一番興味をそそられてしまいました。
>2人が並んで歩く様子は、「キッドナップツアー」を思い出したりしました。
なるほどっ。あの作品、角田さんのねじれた父親=男性観を探るのに、実は大切な作品だったかもしれませんね。
返信する
時折さん☆ (latifa)
2009-10-30 09:17:53
こんにちは~時折さん~

角田さんファンだなんて嬉しいです!私も見てのとおりの角田さんファンです。
先日、1週間くらい前、NHKで夜10時半頃から、太宰治について角田さんが話す・・というのを偶然チャンネル回していたらやっていたんです。時折さんはごらんになられたかな・・・。いやぁ~やっぱり角田さんは凄いっ!!と改めて感じました。すごい角田さんの言う言葉には説得力とパワーがあるな~と思いました。(太宰と思春期に夢中で好きになってたロックは似ている、という事を言ってたんです)

時折さんの去年度の読書本のベスト10の1位に『三月の招待状』、2007年度は2位に「庭の桜、隣の犬」が入っていたのを見て、うわ~っ^^と嬉しくなりました。 私も両方楽しく読みました。 私が角田さんで特にお気に入りなのは「対岸の彼女」と「八日目の蝉」です。

TB残念ながら何故かダメだったようです・・・せっかく飛ばしてくださったのに・・・
返信する

コメントを投稿

小説・漫画他」カテゴリの最新記事