goo blog サービス終了のお知らせ 

ポコアポコヤ

食べ物、お菓子、旅行、小説、漫画、映画、音楽など色々気軽にお話したいです(^○^)

ネタバレ注意!「逆ソクラテス」伊坂幸太郎

2025-03-31 | 小説・漫画他

久しぶりに読んだ伊坂さん作品、すっごく面白かった!
20年間の集大成というのも納得が行く。
人が殺されたり・死んだり、エロ・グロシーンも無く、小学生が読んでも大丈夫な内容です。でも…4つ★半(なぜ5つ★ではないのかは最後の方に書いていますが、私は引っかかる処があったので・・)

★注意 5年前の作品ですし、以下今日は全部ネタバレで書いているので注意してください★

「逆ソクラテス」
草壁君は担任の決めつけから来る心無い発言もあって、クラスでからかわれている存在。
安斎は担任の意識改革をしようと「逆ソクラテス作戦」を計画。
今後も先生の犠牲者になる生徒を作らせない様にしようという目的と言うのが良いね。草壁君ご本人も、自分を救ってもらうんじゃなくて、自分が救う側になる計画だったから一緒にやる事を承諾してくれたわけで。
転校生の安斎が良いキャラ。「僕は、そうは思わない」と主張、かっこいいね!
カンニングで高得点、計画中止になるが絵画展(美術館から絵を勝手に借りる)、野球の選手に草壁君を褒めてやって欲しいとお願いする。選手はちゃんと約束を守ってくれた。

安斎の住んでいる家がボロかったシーンは切なかった。(父親が犯罪者で長い事収監されていて母子であちこち転々とした暮らしをしていた)、中学に行く時にどこかに転校して行って行方知れず、後年になってクラスメートが目撃した時は、チンピラ風になっていたとの事。
未來 草壁君は野球の選手になっている!(拍手!!)

「スロウではない」
足の遅い少年・少女 イジメで転校してきた高城かれん
司と悠太がゴットファーザーのセリフで会話するのが凄く楽しい。
小学校時代は足が早かったりスポーツが得意な子がモテるは、あるね。(私は違ったけども)
くじ引きでリレーの選手に運悪く選ばれちゃった司と村田花。放課後に転校生の友人かれんのアドバイスで練習したり少しでも早く走れるように努力したりする。

私も娘も運動神経が悪かったのですごーく解る話!
辛いのは小中学校までと自分の経験で解っていたので、嘆く娘に「今だけの辛抱」と教えてあげられたけどね。
私の場合、仲良くなる友達が偶然何故か運動神経が凄く良い子ばかりだったので、鈍い同士で惨めさを分かち合う事が出来なかったんですよね・・・。
ちなみに渋谷亜矢みたいな、勉強もスポーツも出来て、いつも上から目線で発言がキツくてリーダー格の子っていますね。こういう子苦手です。

イジメにあって転校して来たと思っていた高城かれんは、実はイジメていた側で、とても反省していたのね。ホントは凄く足が速いのに隠していた。
未来 悠太とおとなしく運動が苦手だった村田花が結婚しているとは。

「非オプティマス」
筆箱落として先生に嫌がらせする生徒たちと、ぼんやりしている頼りない久保先生。
いつも洗濯しすぎてプリントや生地が薄くなっている同じTシャツばかり着ているタフな福生。
実は貧しかったり放置子なのではなく、父親から買ってもらってお気に入りで自発的に着ていただけっぽい。
後半、久保先生の過去(2年前、恋人が見知らぬ男性が道で落とした物を拾ってあげたことによって車に轢かれ亡くなってしまった)が解る。なんと、その落とし物をした人(事件直後にタクシーに乗って去ってしまった)が教え子の父だった。
でも、その人(教え子の父)は凄く当時の事を悔やんでいて、落ち込みすぎて息子に当たる事も・・・。後悔にさいなまれている事を知った先生は、以後変わるのでした。
ところで先生が持っていた袋の中にあったものとは何だったのか・・・何かよからぬ事を考えていたのだろうか・・・

先生は参観日の時に、誰かが迷惑をかけること、それを止めるのはどうしたらいいか?等についてをみんなの前で語る。
ラスト、遅れてやってきた福生のお母さんが立派な社会人で、意地悪な男子の父親の仕事の大切なクライアントだった事が判明。

「アンスポーツマンライク」
バスケットボールに情熱をかける少年たち。
無差別殺人を起こそうとした男を公園で阻止するが、それから数年後、再度彼らを狙って男が復讐に銃を持って現れ、また阻止する。

あと、熱血指導についても触れています。 厳しく怒鳴りつけて教える教師って昔は普通にいて、徐々に変わりつつあるのかな・・・。そういうの大嫌いです。
以前バレーボールの益子直美さんが書いた「監督が怒ってはいけない大会~」という本を読んだのですが、自分が怒鳴られて練習してきた為にバレーが好きじゃ無く苦痛だった過去から、自分が監督になったら怒鳴らない指導をすると決意していたのに、つい怒鳴ってしまう時もあったり・・という内容でした。

「逆ワシントン」
ラストの電気屋さんの店員が、あの2度も殺人行為をしようとした男だった! バスケの試合の放映が流れていて、ユーチューバーの駿介が出ているのを見て泣く・・・。(感動!と、微妙な気持ちがミックスしました。凄く良いラストの〆です。)伊坂さんは優しいなぁ・・・と思いましたよ。

ただ、犯罪を犯した人が数年後でまたシャバに戻って来る。そういう人を改心させる(再犯をしないようにさせる)には、どうしたらいいか?と考えると、その人が幸せになってもらうのが良いだろう。周りの冷たい対応ではなく、寛容に接して、人生をリスタートできると思わせる。そうなんだけど、この犯人って相当な人ですよね。最初の事件の後、恨みを募らせ復讐に再度銃を持って現れている。今回彼が起こした2度の事件では太ももを撃たれたコーチ以外は犠牲者はいなかったけれど、許容範囲を超えるレベル!と、私は思ってしまうんですよ。
それなのに、その危険な命を狙われている切羽詰まった状況なのにも関わらず、駿介の彼への発言や対応が思慮深いもので、びっくり!担任の先生を見舞った時に行った先生の言葉を覚えていたからなんだろうけど・・・


印象に残ったところ

何故イジメたらよくないのか? 
君がイジメで酷い事をしていた事を回りがずっと覚えている。将来、君にいじめられていた子が「あんなことをされた」と暴露されて困るかもしれない。やったことが将来自分に返って来るかもしれないから、というのはその通りだな!と思った。
今はSNSで人物捜索特定や過去を暴露!等が出来るようになったし。
東京オリンピックの時に有名なアーティストが過去にいじめの加害者だったことで騒動になりましたよね。

磯憲先生がいい人だった。
ガンで病気で寝ていて、バスケ仲間がお見舞いに行くシーンがあったけど、どうやらその後も数年経っても亡くならずに年を取られていて(「スロウではない」の司が久しぶりに会っているシーン)、それも嬉しかった。
あとがきで、伊坂さんも小学校時代にとても良い先生(磯崎先生)に出会っていたことが書かれていました。

逆ソクラテス 2020/4/24 伊坂 幸太郎 (著)

伊坂幸太郎
「逆ソクラテス」
「ペッパーズ・ゴースト」
「クリスマスを探偵と」
ネタバレ「アイネクライネナハトムジーク 」
「首折り男のための協奏曲」
「死神の浮力」
「ガソリン生活」
「残り全部バケーション」
「仙台ぐらし」
「PK」
「バイバイ、ブラックバード」
「3652」
「マリアビートル」それほどまでには・・・ 感想
「オー!ファーザー 」「砂漠」
「SOSの猿」
「あるキング」
「モダンタイムス」「週末のフール」
「ラッシュライフ」「フィッシュストーリー」
「ゴールデンスランバー」
「グラスホッパー」「アヒルと鴨のコインロッカ―」「死神の精度」感想 
「チルドレン」「重力ピエロ」感想
コメント (10)    この記事についてブログを書く
« 相鉄横浜ネイビーブルー電車... | トップ | ネタバレ「カメオ」松永K三蔵 »

10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (苗坊)
2025-03-31 19:27:48
こんばんは。
私もこの作品はとても好きです。
いじめが絡んでくるので読むのに躊躇する場面もありましたが、最後は痛快でさすが伊坂さんだなと思いました。
返信する
Unknown (水無月・R)
2025-03-31 21:26:14
latifaさん、こんばんは(^^)。
私自身の中にある〈思い込み・決めつけ〉に気をつけなくちゃいけないな、って思いました。
それに気づかせてくれた伊坂さんに、感謝ですね。

https://aosyo6.seesaa.net/article/202205article_4.html
返信する
ラスト (こに)
2025-04-01 07:54:38
良かったですね♪
殺し屋シリーズも面白いけれど、こんな優しい伊坂さんも大好きです。
返信する
苗坊さん☆ (latifa)
2025-04-01 08:14:29
苗坊さん、こんにちは!
良いお話でしたね、
読んだ後味も気持ちが良かったし、今辛い状態でいる子供が読んで、将来に希望を持てるようなお話だったと思いました。
返信する
水無月・R さん☆ (latifa)
2025-04-01 08:17:59
水無月・R さん、こんにちは!

>〈思い込み・決めつけ〉に気をつけなくちゃ

私も自分自身をふりかえって、気を引き締めなければ!と思いました。
大人が読んで、そこをみんなが気をつければ、次世代の若い子たちの成長過程に良い影響が出ますよね。
良いお話でした♪
返信する
こにさん☆ (latifa)
2025-04-01 08:21:49
こにさん、こんにちは
こにさんちで感想を既に検索していて、これから書き込みしようと思ってた処だったのです。ありがとうございます

伊坂さんのこういった作品、大好きです。
読み終わった後、またもう一度読み返したり、伏線確認?等、楽しませてもらいました。
返信する
Unknown (わぐま)
2025-04-01 10:02:37
ちは^^ 今日は寒いね~~~
我が家は、今晩はおでんです♪
(多分、今季最後のおでん)

う~~~やっぱり覚えて無いゴメン!
「ぼくは、そう思わない」の言葉だけは、ハッキリと覚えてる。
日本って自己主張する人が少ないよね・・・なので、しっかりと自己主張する私はこの国では異質で・・・。だから「ぼくは、そう思わない」が嬉しかったのよね。
思い込みや決め付け。怖いことですよね
時々、自分は大丈夫か?と思うようにしてます。
あ~再読したくなっちゃった。余裕があったら、再読します^^
コメント、ありがとね~~~♪
返信する
わぐまさん☆ (latifa)
2025-04-01 18:52:49
わぐまさん、こんばんは
わー、おでんですか、いいなー。あったまりますね。家は豚の角煮です(圧力鍋を回すとお部屋が温まるので)

あらー、、残念。
忘れてしまいましたかー。
5年前ですもんね。。。

私は、この本を何で今更リクエストしたのか?も覚えてないんですよ。多分1,2か月前だというのに。夫が言うには新聞に載ってた気がするって言うんですけど・・・

そうなのよね、日本はやんわり、なあなあ文化だから、率直に意見や感想を言う人って少ないのよね。

私は、わぐまさんの様にストレートに本音で言う人好きですよ!
つまらなかったとか、自分の好みじゃなかったとかって、そういう意見を言う人って少ないよね・・。
でも、そういう意見を言ってくれる人って凄く貴重だし、そういう人は信頼できると思ってます。
返信する
Unknown (べる)
2025-04-03 22:47:54
私も細かいことは全然もはや覚えていないのですが・・・(^^;)、
『僕は、そう思わない』の言葉はとても良く覚えてます。
どのお話も、伊坂さんの子供への愛と優しさが詰まっていて
大好きな作品でしたね~。デビュー20周年記念作品だった
そうですが、それに相応しい作品でしたね。
ということは、今年はデビュー25周年になるんですかね。
そういえば、確か5月に新刊出るんですよね。楽しみですね!
返信する
べるさん☆ (latifa)
2025-04-04 09:58:40
べるさん、こんにちは
わー、やっぱり5年前だと記憶が曖昧になっちゃいますよね。
読むのが遅過ぎちゃったな・・・。
みなさんと感想を分かち合うのには、やっぱり1.2年位じゃないと難しいのね、、残念

25年ですかー。
20年位前は盛んに伊坂作品を読んでいたのですが、ここ数年ご無沙汰していて・・・でも、本作は凄く気に入りました。

新刊が出るんですね。情報ありがとうございました
返信する

コメントを投稿

小説・漫画他」カテゴリの最新記事