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ネタバレ感想「森へ行きましょう」 川上弘美

2020-08-26 | 小説・漫画他

日経新聞夕刊に連載されていた小説です。新聞ではイラストを皆川明さんが担当されていたそうで、単行本だと見れないのが残念!

全部ネタバレで書いていますので、注意です!

留津とルツという、同じ人間なのだけれど、別のパラレルワールドで生きているお話なのです。
赤ちゃんの頃から60歳くらいまでの長い間を描くのですが、結構身近なお話なので、読んでいて友達の話を聞いているような楽しさがありました。
後半になると上記の2人とはまた別の「るつ」が数人登場してきたりします。

留津は女子中高から女子大へ進み、文学サークルで林君と知り合い好きになって、一晩だけキスされたことはあったものの、何も進展しないまま卒業して交流が途絶える。
しかし就職後、はたと決意して留津から久しぶりに電話をし、また会う様になり、お泊り旅行に行くのだが、ゲイであることを告げられショックを受ける。

その後、友達の木村巴の紹介で、うるさい浪費家のお姑さんタキ乃がいるお金持ちな家の一人息子神原俊郎(ケチだし、機嫌を損なわない様にと、やたら面倒な男!)と26で結婚し、虹子という娘が出来、夫や姑に気を使いながらずっと専業主婦として暮らしていくのです。
子供に手が離れた頃、学生時代の文学サークルの先輩八王子からの電話で、彼と会う様になって精神的不倫?をし、ちょっとしたワープロを使っての編集のアルバイトなどを経て、自らの小説を出版に至るが、八王子先輩は離れて行ってしまう・・・という人生です。

ルツの人生は結構長い間、研究職の仕事をしながらずっと独身でいて、48で結婚するという人生です。(なんと相手は留津と同じ俊郎! しかし俊郎は一度結婚歴有りのバツイチ 姑問題で1年で離婚していました。)

ルツは結婚するまでの間、色々な男性と付き合っています。そんな長い年月の間、ゲイの林くんと飲み友達なのが良いなあと思いました。
こういうちょっとお酒飲みながら、小料理やお寿司やらを食べて気のおけないおしゃべりができる友人って素敵で、川上作品には度々出て来ますよね。

ルツの彼氏
岸田映
二年ほど妹繋がりで知り合ってから穏やかに交際していたが、十年以上交際していたセレブの木村巴とルツを振って結婚しちゃった。(この木村巴は留津の学生時代の親友 あちらのエピソードでは巴と交際してるものの全くキスもしてこなくて、なんなんだ?と謎に思う関係であった)

次に交際したのは、ルツが結婚したいと初めて思った佐東心平でしたが、彼は結婚願望が全くなく、二股(いや、この男なら三又もありえる)かけていたことが後に解る。
女にもてる状況を好んでいる男
女にもてることは~ その女を真に好きでない場合に限る
女のことを適当にいなすことのできる男
確かに。これは女性にも当てっはまることかも。

この後、10歳年上の教授と不倫の熱い関係を長く続けるも別れ、その後知り合ってプッシュされたのが俊郎です。父親の会社が傾いて金銭的に苦労したせいか、やたらと倹約家で、コンビニでビール買わない!とかたくなだったり、寿司屋に行かないとか、ケチ過ぎて、ちょっと、、、、
なんでルツこんなのと結婚しちゃったの? あ、そうだ、結婚というものをしてみたかったから、なんだった。

ラストは、ルツが飼っている犬「虹」が一番横にいる存在で、夫のその存在は「西荻佐知子」だって、、、
文学サークルで一緒だった一個下の留津の後輩で、かつて八王子先輩に片思いしてたらしい女性。後に中年になってからメンバーで集まる様になってから交流が復活していた女性です。

この本を読みながら、作者の実体験が含まれているんだろうなあと思いました。
以前より、川上さんはきっと不倫経験者なんだろうな〜と感じていましたが・・(勝手な私の想像)

印象に残った処は、留津がたまに会って食事とお茶をするだけで、肉体的な事は何もしてはいない大学時代の八王子先輩。
彼と会った後は、帰宅して服を全部脱ぎ捨て、鏡のなかにいる自分を見ると、別の女がそこにいて、の描写とかがやたらリアルでエロティックなのですよ。

そうそう、以前読んだ川上さんのエッセイ本で、ロシアに行く前に検査の結果、悪い結果で手術して入院を・・・って書かれていたので、すっごく心配していましたが、その後予後が良いみたいで本当に良かったです。

2009年に離婚して、その後俳誌『澤』を主宰している小澤實という俳人と2013年頃かしら・・再婚したそうです。
離婚、再婚をここ10年位の間に経験されていた事も知り、なかなかに小説同様ドラマチック。

森へ行きましょう 2017/10/11 川上 弘美
内容(「BOOK」データベースより)
1966年ひのえうまの同じ日に生まれた留津とルツ。少女から50歳を迎えるまでの恋愛と結婚が、ふたりの人生にもたらしたものとは、はたして―日経新聞夕刊連載、待望の単行本化。

川上弘美さんの他の本の感想
「某」
「七夜物語」「光ってみえるもの、あれは」
「古道具 中野商店」「此処彼処」「なんとなくな日々」「溺レる」
「天頂より少し下って」「夜の公園」
「ハヅキさんのこと」「どこから行っても遠い町」「真鶴」「風花」
神様2011
これでよろしくて?
センセイの鞄
「パスタマシーンの幽霊」「ざらざら」感想
「窓の灯」と「ニシノユキヒコの恋と冒険」 感想
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2 コメント

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Unknown (わぐま)
2022-08-29 15:42:02
お~~~すごい丁寧に書いてますね^^
1つ1つの話が短いせいか。読みながらごっちゃになってました。↑を読みながら、そうそう!って(笑)
精神的な不倫相手?の八王子先輩との逢瀬、エロかったですよね^^ 一応、法律では浮気では無いけど、コレって充分な浮気だろ~~~って思ってた。
姑のタキ乃のキャラの濃さ!
こんな姑、絶対にイヤよね!!

パラレルワールド、面白かったです。
後半にいろんな「るつ」が出てくるのも良いですよね^^
URL、本当にありがとうございます。
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わぐまさん☆ (latifa)
2022-08-29 19:10:17
わぐまさん、こんにちは!
ここ数年、恐ろしいほど記憶が消えて行ってしまうんです・・・
昔から忘れっぽかったんだけど、書き残しておかないと、どんな内容だったのか殆ど忘れてしまうので、気が向いて余力がある時はあらすじ書く様にしようと思ってるんです。

そうそう、ごっちゃになりますよね。
読むの凄く大変だった。
何度も前の方のページに戻って確認作業したり。

姑のタキ乃
こんな人は嫌ですよー、無理無理
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