「パスタマシーンの幽霊」「ざらざら」感想 川上弘美

両方ともかなり好きでした。「クウネル」の連載小説をまとめた本だったんですね、「ざらざら」とは姉妹編。両方とも４つ★半～５つ★

今まで川上さんの本は、２冊しか読んだことがなくて、普通な印象だったのですが、もしかして川上さんのこと、ちゃんと解ってなかったのかもしれない・・・って「パスタマシーンの幽霊」を読んで思って、次に「ざらざら」も読んでみたけれど、やっぱり川上さんの文章、かなり好きかもしれないと思いました。
凄い突出した才能というか、月並みですが素敵な文章を書く人なんだ、って今更気がついたという感じです。これから、ちょこちょこ他の本も読んで行こうと思いました。今まで読んだ本が、たまたま私にす～っと入って来なかっただけだったのかも。

そもそも「パスタマシーンの幽霊」は、内容は全然知らなかったのだけれど、タイトルが妙に引っかかって、面白そうだな～と思って読んだんです。で、ちょうど同時期に子供が学校で川上さんのお話を習っていて、それに出て来るおじさんが妙に可愛くて友人の間で評判なんだ～と言うのを聞いたので、それも読んで見て・・というかんじで、ここ１週間の間に川上作品を立て続けに読んでしまったのでした。

「パスタマシーンの幽霊」
もう図書館に返却しちゃったので、細かくタイトルと内容を思い出せませんが(^^ゞ　どれもほのぼのと、温かいお話ばかりで、好きでした～～。ちょっと不思議なお話や、日常な恋愛や日々の暮らしの中での気持ち・・みたいなのも有って、温かいミルクティー等を飲みながら、ほっとした時間に読める本です。

中でも私が特に好きなのは、ベランダに木を育てている地味なOLと、コロボックルの山口さんのお話。
一番ガツンと来たのは、タイトルは忘れてしまったのだけれど、大人の私と文通している遠くの田舎に住むイトコだったかな・・・の１０代の女の子。お父さんが近々再婚予定なのだけれど、その相手の女性は長年その女の子にも良くしてくれてとても素敵な女性。その女の子は、何故再婚するのがイヤなのか？という理由がS○○だと言うんです。そんな事も知らない幼い頃か、もうそんな事はありふれた事と思えるほど大人になってからだったら良かったのに・・・と言うのが、凄く解るわぁ～と思った・・。

「パスタマシーンの幽霊」2010-04-22
「修三ちゃんの黒豆」「道明寺二つ」は、おかま改めゲイの修三ちゃんと杏子の、「ざらざら」から続くシリーズになっている。それと、小人の山口さんを挟んで３話がスピンオフしながらつながっている。

海石　染谷さん　銀の指輪　すき・きらい・らーめん　パスタマシーンの幽霊　ほねとたね　ナツツバキ　銀の万年筆　ピラルクの靴べら　修三ちゃんの黒豆　きんたま　お別れだね、しっぽ　庭のくちぶえ　富士山　輪ゴム　かぶ　道明寺ふたつ　やっとこ　ゴーヤの育て方　少し曇った朝　ブイヤベースとブーリード　てっせん、クレマチス
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「ざらざら」は手元にまだあるので、幾つか印象に残ったのを抜粋しておきます。

「パステル」
晴彦さんという母方の売れない作家だった叔父さんのお家にドロップの様に、一足づつ干してあった、いろいろなパステルカラーの靴下・・・というのが、風景だけでもうやられちゃいました。その靴下を履いて書いていたんですね＾＾

「えいっ」
ふられた彼氏のボタンを、お裁縫箱（私も好きだった！）にためている友達

「月火水木金土日」
籠おばさん＾＾

「桃サンド」「卒業」
女の子が女の子への、ちょっと特別な感情

「ときどき、きらいで」
はだかエプロン＾＾

「草色の便箋、草色の封筒」
年の離れた遠い親類の少女漫画家のいすずさんに、残酷な質問を色々してしまう高校生の私に、いすずさんは真面目に一つ一つ返答してくれた。その質問の中の一つに、S○○は１５年していない、と言う・・。その日から、気まずくなって暫く間が開き、その後、いすずさんから手紙を受け取ります。そこに「わたし、ちょっと傷ついちゃったんですね。恥ずかしながら～～～私は恋は苦手だけれど、やっぱりきれいなものは好きだから、きれいな漫画を描くべくがんばります」と書かれていて、パリのうすむらさきのカルネが１０枚入っていた・・っていうのが、なんだか少し哀しげで、でもなんだか愛おしいような、可愛らしいような、やっぱり淋しいような・・・とにかく、なんか切ないお話だったな。
その他のお話も、全部好きでした。

「ざらざら」2006-07-20

川上さんって、お花に例えると、カラー。動物に例えると鶴のようなイメージだな。すらっとした、はかなげな美人ってルックスだけれど、文章も、すっきり簡素だけど美しいって感じ。川上さんって、男女両方から、きっとモテた（る）んだろうなぁ～って思う。

「窓の灯」と「ニシノユキヒコの恋と冒険」　感想