川上弘美さんの小説を読むのは、ちょっと久しぶり。
感想は残してないのだけれど、エッセイみたいのは読んでいました。
「某」は、内容とか表紙の絵がとてもソソられたので、図書館の順番を首を長くして待っていました。
コロナでの図書館閉鎖もあって、届くまで半年以上かかりました。
最初のうちは、最高に面白いなーーとワクワクして読んでいたのですが、途中から、段々、なんだか、違う方向に行ってしまったような感じというか・・・
★以下、ネタバレです★
丹羽ハルカ(人に無関心な女子高校生)
→春眠(性欲旺盛な高校生男子)→
この2人は隣のクラスで、共通の知り合いも色々いる。
→山中文夫(高校の事務員 ガールズバーで出会ったリカが好きになるが、特に性欲が湧かない。後で気がつくが、リカはハルカに似ていた 自己愛に過ぎなかったのか?)
ここまで最高に面白かったです。高校繋がりで、それぞれの人の立場で見えるものや様子が違っているのが!
先生や看護師の水沢さんへの印象や対応も違っていて。
このまま、その後も高校繋がりの人間になって、看護師さんと先生との交流も続いてくれたらなあー
→マリ(山田という夜逃げした過去のある男と同棲生活を送り、彼が病気で亡くなる迄の15年だかの長い間、マリでいた (占い屋・物語を売る仕事) この占い屋に看護師の水沢さんが、突然行方不明になったマリの行方を問いに来ていた
この後、病院の先生や水沢さんが、ほとんど登場しなくなる。彼らとの関わり合いが無くなってしまって残念・・・
→ラモーナ(カナダに行って、香川さんという自殺未遂を起こす女性と知り合いになり、彼女の悲しみが肋骨の痛みとして感じるようになる 津田さんという男性から声をかけられ、何ものでもない存在の同胞が世界のあちこちにいることを教えてもらい、同胞のアルファーとシグマと知り合いになる
→片山冬樹(肉体派、良く働く かつて誰かを殺した事があるらしく悪夢をよく見る アルファーとシグマはカップルになり、妊娠したらしいシグマが、出産らしきものをしたところ、赤ちゃんではなく、2人のシグマが産まれてしまい、悩んだ末アルファーが片方のシグマを殺す)
→ひかり 高橋さんと鈴木さんという同胞の友人の間に産まれたらしい子供みのり その赤ちゃんと共に生きてみたいと思って、ひかりは幼児時代、1年ごとに変体をくり返してきた。 そうやって、みのりとひかりは一緒に育ってきた。
しかし、ひかりは途中で(10歳くらい)変化することができなくなった。
みのりとひかりは、愛し合う様になり、一緒に楽しく暮らす様になったが、何者でもない存在を狙う人間にひかりが刺されて死んでしまう。
前半4つ★半以上だったのだけれど、後半が置いてきぼりを食らった感じだったので、トータル3つ★半かな。 でも川上弘美さんの、ちょっととぼけたような言葉使いや、不思議な雰囲気は好きだし、また今後も新作を楽しみにしています。
某 2019/9/12 川上弘美
内容 あらすじ
ある日突然この世に現れた某(ぼう)。
人間そっくりの形をしており、男女どちらにでも擬態できる。
お金もなく身分証明もないため、生きていくすべがなく途方にくれるが、病院に入院し治療の一環として人間になりすまし生活することを決める。
絵を描くのが好きな高校一年生の女の子、性欲旺盛な男子高校生、生真面目な教職員と次々と姿を変えていき、「人間」として生きることに少し自信がついた某は、病院を脱走、自立して生きることにする。
大切な人を喪い、愛を知り、そして出会った仲間たち――。
川上弘美さんの他の本の感想
「七夜物語」「光ってみえるもの、あれは」
「古道具 中野商店」「此処彼処」「なんとなくな日々」「溺レる」
「天頂より少し下って」「夜の公園」
「ハヅキさんのこと」「どこから行っても遠い町」「真鶴」「風花」
神様2011
これでよろしくて?
センセイの鞄
「パスタマシーンの幽霊」「ざらざら」感想
「窓の灯」と「ニシノユキヒコの恋と冒険」 感想
そうなんですよねー。
おっしゃる通り、途中からの「哲学的」な処が、ちょっと私は苦手だったんです・・・。
中でも、愛とは?、部分は、特に・・・。
でも、基本的に川上弘美さんの小説とか文章は好きなので、今後も新作を読むのを楽しみにしています。
先日、小田原へ行った時、ずっと川上さんの「真鶴」を思い出していました。
作家さんが見る風景と自分のの違いにションボリです(笑)
おお、こにさんは後半面白かったんですね。
あーー解ります。私も自分の中の「真鶴」のイメージと、彼女の小説のイメージがかなり違っていて、あわわ・・・ってなりました。
そういうことって、ありますよねー。