教科書採択を考える会ブログ

愛媛県松山市内の中学の歴史教科書が「育鵬社」版に変わるのを機に発足した会です。教科書比較の学習会も行っています。

第6回学習会まとめ

2016-06-09 15:54:47 | 事務局日記
こんにちは、事務局Hです。

暑くなってきましたね、半袖でも汗をかくようになりました(^^;)

5月17日の第6回学習会で、チューターをしてくださったSさん、Yさんから学習会のまとめをいただきましたのでご紹介します。

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 この学習会では、はじめに、1910年代の世界の出来事を概観しました。そして、この時代をどうとらえさせようとしているのかを比べてみました。

 単元の導入では、育鵬社版は、「歴史絵巻 近代②」で、第一次世界大戦から日本の終戦までを幼稚なイラストで表わしていて、現実味が感じられません。

東京書籍版では、人々の生活の様子が分かる資料を選び、二度の世界大戦を通して人々の生活にも目を向けさせようとしています。

学び舎版では、その姿勢がより明らかで、戦争の惨禍が人類に何をもたらしたかを考えさせ、その中でも特に女性の声や民族運動の高まりについて学ぶことを学習課題としています。


 この三社の学習課題の違いが、第一次世界大戦の記述や資料の選択の仕方にも、大きく表れています。

子どもたちの歴史の見方にも影響してくるのではないかと思いました。

 東京書籍版や学び舎版では、第一次世界大戦の特徴を現す総力戦や塹壕戦の様子、新兵器の使用などの資料が多数提示され、戦争の悲惨さや兵士の様子がよくわかるように工夫されています。

特に、学び舎版では、戦死したドイツの学生兵士の手紙や、戦意高揚をねらったポスターが提示されています。人々が戦争に駆り立てられ、たくさんの被害を生んだ実態がよくわかります。

学び舎版の大きな特徴です。


 育鵬社版では、第一次世界大戦の居術が、p.210とp.213に分断されていて、戦争の特徴をまとまってとらえにくくなっています。

資料一つで、戦争の受け止め方が大きく違ってくることを改めて感じました。


 話し合いの中では、まず、この戦争がなぜ起こったかを考えさせる上で、第一次世界大戦が世界分割をめざす帝国主義戦争であったということをおさえる必要があるという意見が出ました。


 つぎに、日本がこの戦争にどうかかわったかということについて、大事な指摘がありました。

発表者が見落とした資料についての指摘で、話し合いが深まりました。育鵬社版では、「地中海の日本海軍艦隊」と題した資料を載せて、三国協商側で活躍したとしています。

今までの歴史の授業では取り上げていないような出来事を、大きく取り上げています。

この記述は、ほかの二社では全く触れられていないことであり、たった一度の日本海軍艦隊の動きを、このような形で取り上げる育鵬社版の記述の仕方には、疑問を感じました。