教科書採択を考える会ブログ

愛媛県松山市内の中学の歴史教科書が「育鵬社」版に変わるのを機に発足した会です。教科書比較の学習会も行っています。

第1回学習会 「45 黒船来航の衝撃」

2016-02-24 12:07:59 | 学習会
2015年12月8日に、第1回の教科書学習会が教育会館(愛媛県松山市北持田町131-1 松山東警察署北側)で開かれました。

参加者は23名。

講師は、元中学校社会科教師のFさん、テーマは「明治維新」(育鵬社 p160~ 東京書籍p154~

学び舎p158~)でした。


育鵬社の幕末の記述を読むなかで、次の2点が問題点として指摘されました。

◯開国後の混乱の中で人々の生活が困窮し、一揆や打ちこわしが江戸時代を通して最大件数になったことが充分に記述されていない

◯それらの人々のたたかいが、武士たちの運動とあいまって倒幕へ大きな影響を与えたが、そういう記述もみえない

この2つの観点から、育鵬社・東京書籍・学び舎の教科書を読み比べてみると、大きな違いがありました。

育鵬社…庶民の生活の大変さは描かれず、「世直し一揆やええじゃないかの騒ぎが各地で起こりました」と簡単に4行だけの記述です。

東京書籍…開国の経済的影響で、「生活に行きづまる民衆が増え大規模な世直し一揆、打ちこわしやええじゃないかの騒ぎが起こり、幕府の権威を低下させることになりました」と、1ページ以上にわたって書かれています。

学び舎…「ドルと小判 ー開港と人びとの生活ー」という項を設けて、開港によってどれだけ人々の生活が苦しくなったかを、資料で分かりやすく説明しています。
打ちこわしや世直し一揆、ええじゃないかの騒動も具体的に描かれ、幕府の支配が崩れていったという記述もされています。


参加者の感想のなかから、他の教科書と比べて育鵬社版の教科書は、幕末だけでなく、どの単元においても人々の生活の様子が充分描かれていない、また、歴史を動かす者としての民衆の動きやたたかいの記述が不十分であるという意見が出てきました。

育鵬社版では、庶民の生活についての記述は少ないが、著名な人物や肖像画を多く載せており、人物を浮き彫りにしているという感想も出ました。

また、外国人から見た日本人の長所だけを列記しているページがあり、もっと多面的な記述であるべきだという指摘もありました。

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