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5月17日(木)、大阪地裁であったダイキン工業雇い止め裁判を傍聴しました

2012-05-25 10:14:29 | 京都POSSEの活動報告です!


5月17日(木)に、大阪地裁であったダイキン工業雇い止め裁判を傍聴しました。
本裁判は、2010年の8月末で、203人の有期間社員が期間満了を理由に雇い止めされたことに対し、雇い止めの不当性と雇用継続を求めて争っているものです。詳しくは過去のブログ記事もご参照ください。

2011年「4月28日 ダイキン工業雇い止め裁判を傍聴しました」
http://blog.goo.ne.jp/kyotoposse/e/0d3ea2d00a74f841d4abcdbad7e168f1

2011年「7月14日(木)ダイキン工業雇い止め裁判を傍聴しました。」
http://blog.goo.ne.jp/kyotoposse/e/e1710085731b25d9eeecedf6fc6c7381

2012年「4月5日(木)、ダイキン工業雇止め裁判を傍聴しました。」
http://blog.goo.ne.jp/kyotoposse/e/9f3f6b001ab1f46e45e25215105906ca


今回は原告のうち3人への証人尋問が行われました。

まず第一の論点、労働実態と元々の契約について。
仕事内容の指示、残業、休日出勤やラインの移動、道具の支給までダイキンの指揮命令下にありました。なかでもAさんは、最初の面接時からダイキンの職場長にリフト操作を見せるというテストを受けています。

次に第二の論点、直接雇用になったときの期間をどう決めたかということと、2年半である理由について。一方的に有期間雇用契約を提示されたときについては、まず請負会社から仕事をもらえないかどうか3人とも確認しています。このとき、いまは仕事がないとの回答を3人とも聞いています。3人は、たとえ一時的にも収入が途絶えるのは生活上厳しかったので有期契約を飲むしかなかったといいます。また、生産ラインに合わせたリフト操作など、円滑な生産に何年もの熟練が必要で、教育にも半年以上かかります。雇い止めすることは生産の観点からも合理的ではないので、2年半で切られることはないだろうと3人とも語りました。Bさんはダイキンの正社員に聞いても同じ意見で、実際に切られたときは正社員も驚いていたと言います。2年半では雇い止めされず、子会社をつくってそこで雇用したりするだろうと組長(それぞれのラインのリーダーでダイキンの社員)も話しています。契約の説明でも、契約書の契約社員として入社するというのは建前で、請負会社からダイキンへと個人情報の引渡しをするための同意書であるとダイキン側から言われていました。

したがってこれまでの裁判通り、第一の論点について偽装請負は明らかであり、第二の論点についても全く正当な理由はありません。このあたりは被告側代理人もほぼ触れてはきませんでした。ただ、賃金を請負会社が管理していたこと、そしてラインの移動などについてのダイキンの組長からの指示は請負会社の上司と相談して決めた内容であったとしか主張しませんでした。

そこで、第三の論点にのみ話が絞られてきます。(なぜか裁判長も第一・第二の論点には全く言及しませんでした)
被告側代理人の主張としては、最大2年半の契約だと分かって契約したのだから文句を言うなということでした。つまり、「正社員登用制度があったのに登用試験を受けなかったり、雇い止めされはしないだろうというのは契約上ありえない期待に過ぎないのだから雇い止めは適法である」ということです。原告らが訴えた解雇の不合理性には待ったく触れられませんでした。

特に争点とされたのは正社員登用制度についてです。
正社員登用制度の試験内容としては、まず仕事と関係のない一般教養を問う筆記試験(中学校の5教科)があり、後に面談があるというものでした。筆記試験は社会人としてのモラルを測るという名目で行われ、普段の業務に必要な能力とは全く関係のないテストでした。2年半の間に5回行われたこの登用制度の運用は恣意的で不平等なものでした。まず、ダイキン社員から面談の練習などの支援を受けられる人とそうでない人がいました。組長の発言の中で、「今回は○○だから、お前は次回以降に受けろ」というのがあり、職場ではダイキン社員から支援を受けている人だけが通るものだという雰囲気だったのです。今回証言したBさん、Cさんはそうした理由で試験を受けることを見送っています。Aさんは5回とも試験を受けていますが、確実に合格したと思う場合でも筆記試験で不合格だったり、よく知る同僚のなかでさほど頭の良くない人が合格したりと、試験自体に不信感を抱いています。合格基準も、点数も開示されていませんでした。(試験用紙に点数について聞くことはできないとある)


最後に、原告らの訴えです。

「仕事に誇りをもって長年ダイキンで働いてきた。正社員を指導したり残業も進んで引き受けた。雇い止めには納得ができない。失業保険の仮給付も差別待遇を受け、裁判も諦めようと思ったが、支援のおかげでなんとか続けられている。もう若くはないが、ダイキン工業には雇い入れてほしい」

「偽装請負時にはいつクビが切られるかと不安だった。労働局の是正指導で状況が良くなると思ったが、状況はさらに悪くなった。ダイキンは自分たちに仕事の引き継ぎをさせ、クビを切ることにした。このことは屈辱と言うほかない。今はアルバイトで食いつないでいる。(有期雇用化以前は年収400万円ほど)今の世の中で、希望をもって生きていける判決を望みます」

「半年、1年半、2年半でクビを切られるようでは希望がありません。今は飲食のアルバイトで時給は900円ほどで年収は200万円を切るほどしかない。契約社員の時は時給1350円で年収は380万円だった。私の老後も心配ですが、子どもが将来社会に出るときが心配です。どうか希望のある判決を」


今回の傍聴人数も予定人数を大きく上回り、抽選となりました。すべての人が不安定な雇用に生活を振り回されることのない社会を作っていくためにも、偽装請負時代から連続している雇用責任の回避をこの裁判で質していくことは重要です。次回には結審ですが、POSSEは最後までダイキン裁判を支援していきたいと思います。

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