王将フードサービスで過労によりうつ病にされたことに対して損害賠償を請求している裁判が1月29日に京都地裁であり、POSSEのメンバーで傍聴してきました。
過去の裁判傍聴記録はこちらをご参照ください。
11月12日、「餃子の王将」の労災裁判を傍聴してきました。
この裁判では、原告の男性は未払い残業代とうつ病になったことへの慰謝料を求めています。
一方の会社側は、①実際の労働時間は原告側の主張している時間より短かった、②そもそもうつ病は発症していない、仮にうつになっていたとしてもすでに治っており今は働けるはずだ、ゆえに③損害額は原告の請求した額より少ない、という主張をしています。
今回の弁論では、まず原告側の弁護士が会社側に対し、労基署の指導・監督の内容を明らかにするよう求めました。ある事業所で労災が認定された場合、労基署がその後調査に入って労基法違反がないか確認するのが最近の傾向になっているからです。もし労基署からの指導の内容が明らかになれば、店舗内での労基法違反の実態が明らかになります。前回の弁論では労基署の指導の有無についてさえ「回答しない」という姿勢でしたが、今回は指導があったこと自体は認めました。しかし、その内容を開示することについては「必要と考えていない」と会社側は回答したため、裁判所の方から指導の内容を提出するように求めることになりました。
また、店舗では1日10時間分の労働時間しか申告できないようになっていることが労災記録の調書で判明していますが、原告側の弁護士はこの点について反論があるかどうかを会社側に対して質問しました。会社側はうつ病の発症に対しては異議を唱えましたが、その就業実態については「現時点では」という留保を付けつつも、「これ以上の主張の予定はない」と答えました。提訴からすでに1年近く経過しているにもかかわらず「現時点で予定はない」という主張からは、会社側としても長時間労働が常態化していたという主張に反論することは難しいと考えている、と思わざるを得ませんでした。
なお、原告側は、原告の男性の健康状態(うつ病で現在も働ける状態ではないこと)を示すために、男性のカウンセリングを行ってきた産業カウンセラーの意見書を提出する予定だそうです。この意見をもって「うつ病はすでに治っている」という会社側の主張に反論していくとのことです。
今日は裁判所から和解の提案もあったのですが、会社側は和解に応じる意向はないようでした。
次回は4月16日(水)午前11時30分から京都地裁の208号法廷で開かれます。京都POSSEは今後も支援を続けていきます。みなさまもぜひ支援をよろしくお願いします。
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