12月19日、ダイキン工業雇い止め裁判を傍聴してきました。

2013-12-19 20:21:14 | 京都POSSEの活動報告です!

 12月19日、14時から、大阪高裁でダイキン工業雇い止め裁判控訴審の結審がありました。

 この事件は、2010年の8月に「有期間社員」だった原告ら(=控訴人ら)が期間満了で雇止めされたことについて、雇止めの不当性と職場復帰を求めて争っている裁判です。

 2010年8月、ダイキン工業は203人の「有期間社員」を雇止めし、後日新たに240人近くを同じ仕事に雇いました。この「入れ替え」は、人員削減の必要性からではないことは明らかです。「入れ替え」が行われた背景には、ダイキン工業が行っていた偽装請負があったと考えられます。偽装請負とは、会社が雇用責任を負わず、長年にわたって安く労働者を使うために、契約上は請負なのに実態は派遣労働者のように会社が指揮命令を出すという違法な働かせ方のことをいいます。

 雇止めされた204人は、「有期間社員」になる前は長い人では17年もの間、偽装請負の状態で正社員と同様に働いていました。労働局に偽装請負という違法な状態について指導されたダイキン工業は、その「是正措置」だとして直接雇用に切り替えると言いつつ、有期契約の「有期間社員」か仕事をやめるかの2択を提示したのです。それで有期の契約を結んだところ、2年6か月までとされ、以降の更新はしないと雇止めされてしまいました。

 2012年11月1日の地裁判決では、「有期間社員」の契約だけに注目し、有期契約と分かって結んだのだから、違法性は無いとして原告が敗訴していました。今裁判は、この判決を不服として高裁に訴えた控訴審です。


 今日は、労働者側と会社側の双方から最終意見陳述がありました。

 原告側弁護士の主張は、この「有期間社員」の契約は偽装請負だった5~17年の雇用を引き継いだものであるということです。

 原告の4人は、長期間、違法な状態ながら無期契約で雇用されてきました。その引き継ぎとしての「有期間社員」契約だったのだから、雇用継続の期待が存在し、雇止めをするのは違法だということです。その理由として、有期の条件を付けて直接雇用契約させたこと自体、会社の違法行為の責任逃れのためであって、また他に選択肢がなかったことから無効と言える。また、有期雇用契約は形式上有効としても雇用が続くという期待が存在したのだから、雇止めは違法である、と陳述しました。

 また、今日は原告4人全員が裁判に来られていました。雇止めされてから、アルバイトでなんとか生計をつなぎながらずっと裁判をたたかってきたので、全員がそろうことは なかなか難しく、久しぶりに全員そろったとのことでした。

 今日はそのうちお一人が代表として、法廷の場で「ダイキンがおこなったことは、私たち労働者の生活や家族のことをまったく無視した人間の使い捨て以外の何ものでもないと思う」「私たちは、壊れた部品の交換や消耗品のように取り換えられるのではなく人として扱って欲しい」と陳述されました。

 一方のダイキン側の主張は、期間の上限についても合意して有期雇用契約を結んだのだから、更新するかどうかは会社の専権事項であり、違法性はないということでした。

 今日の最終意見陳述で議論は終わり、次回が判決となります。
 判決言い渡しは、3月7日の15時から大阪高裁で行われます。


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 有期雇用という雇用形態は、期間が満了すれば継続更新は会社の自由になります。実際には不当な解雇でも、どんな理由であっても、期間の終わりが来れば会社はいくらでも労働者の首を切ることができるのです。これは、不当な行為についての責任逃れをする会社と、会社の不当な行為に対し声を上げられない労働者とを生み出す温床になっています。

 このダイキン裁判は、この有期雇用契約を利用して偽装請負の責任逃れをし、今も有期雇用で労働者を安く使い捨てているダイキン工業の責任を問い、有期雇用制度の問題性を問う点で大きな意味をもつ裁判だと考えます。

 京都POSSEは、地裁の裁判の時から傍聴をしてきました。最後まで傍聴支援を続けていきたいと思います。また、裁判所がいい判決を下してくれることを願っています。


 詳しい経過については、過去のブログもご参考ください。
2011年4月28日 ダイキン工業雇い止め裁判を傍聴しました
2011年7月14日 ダイキン工業雇い止め裁判を傍聴しました。
2012年1月12日 ダイキン工業雇い止め裁判を傍聴しました
2012年4月5日 ダイキン工業雇止め裁判を傍聴しました。
2012年5月17日 大阪地裁であったダイキン工業雇い止め裁判を傍聴しました
2013年11月12日 大阪高裁のダイキン工業雇止め裁判を傍聴しました。


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