新歓ブログ第5弾:ブラック企業をなくすには?

2013-10-05 19:02:42 | 京都POSSEの活動報告です!

新歓ブログ第5弾:
ブラック企業をなくすには?

 厚生労働省は今年9月1日、長時間労働や残業代がないなど若者を使い捨てにするブラック企業に関する無料の電話相談を実施し、その結果、約1000件の相談があったと発表しました。また厚労省は、9月を若者の使い捨てが疑われる企業の集中調査月間として、4000社に立ち入り調査を行うことを方針としました。

 行政によるこのような対応は、国としてもブラック企業対策は必要であるという認識を明らかにしたもので、非常に画期的です。しかしブラック企業の問題は行政の取り締まり強化だけでは解決できません。

  そもそも、全ての違法状態に国が介入するのは不可能です。実際の労働現場では、契約書の給料と実際の支給額が違うといった約束違反や、暴言・暴力などのパ ワハラが蔓延しています。しかし、全ての契約違反に国が介入できないのは、全ての詐欺を直ちに警察が介入して是正させることができないのと同じように無理なことなのです。

  もちろん、労働基準法など労働条件の最低限度を定めた法律に違反している場合は、労働行政の警察署である労働基準監督署(労基署)が調査し、是正命令を出し、悪質な場合は経営者を逮捕することもできます。ただし、労基署が介入できるのは最低限度すら守っていない場合のみであって、それ以上のこと、例えば契約違反や長時間労働、自己都合退職の強要などに対しては、そもそも介入する能力を有していません。パワハラが違法だからといって労基署が強制力をもって取り締まれるわけではないのです。


 ではどうすればブラック企業をなくせるのでしょうか。それには、働く人々が労働法と専門機関を活用して、会社に対してブラックな労務管理のあり方の改善を求めていくことが重要です。

 会社で働くということは、会社と雇用契約を結ぶということです。つまり、働く代わりに賃金を受け取るという契約を結んでいることになります。また、そこには直接的に契約に書かれていなくても、当然に守る義務がある内容も含まれます。会社には、人を雇う以上当然の義務として、雇った人が安心して安全に働ける環境を保持しなければいけないことが契約に含まれています。ですから、例えば、パワハラやセクハラをして鬱病に追い込み二度と働けなくさせる行為は、契約書に明記こそされていないものの、明らかに契約違反なのです。ブラック企業は残業代未払い、長時間労働、パワハラ・セクハラなどの契約違反を行っています。ブラック企業をなくすには、このような契約違反の責任を追及し是正させることが必要です。それにはいくつかの方法があります。


 一つ目は、個人的に会社と交渉するというやり方です。しかし、個人的に人事や社長と相談しても状況が改善するケースはきわめてまれです。なぜなら、会社側自身が戦略的にブラック企業であることを選択し、そのようなやり方で利益をあげているからです。もちろん交渉の結果どうなるかは分かりませんが、結局、このやり方は会社が改善するかどうかを運に任せているようなものです。

 二つ目は、行政へ相談することです。ただ、これは前述の通り限界があります。そもそも守備範囲が狭かったり、最低基準以上の範囲は基本的にはノータッチになってしまったりと使いづらい側面もあります。

 三つ目は、弁護士を使って裁判で争うというやり方です。会社の法律違反を司法に訴えることで明らかにし、賠償させるというものです。費用と時間がかかるのがネックにはなりますが、労働法を戦略的に使うという実践の一つです。

 四つ目は、労働組合に加入して会社と団体交渉を行うというやり方です。労働組合は単に憲法で団結権などが保障されているということではなく、現実の労働問題の解決に対して非常に高い能力を有しています。例えば、個人や行政では強制できない交渉も、労働組合が申し入れれば会社は拒否することはできませんし、その交渉の場で不誠実な対応を取ることもできません。そして、交渉のプロである労働組合スタッフと一緒に、会社の違法状態を追求し、責任を果たすよう求めて行くことができます。もし会社が十分に責任を果たそうとしなければ、争議行動やストライキなどの方法を通じてさらなるプレッシャーをかけることもできます。そのような強い力を労働組合は有しています。なにが契約違反でそれをどう是正するのか、どういう人の使い方をしなければいけないのかを、労働組合と会社が新たな約束を結ぶことで、会社のブラックな労務管理に規制をかけていきそれを改善させることができると言えます。


 労働・貧困問題勉強会では、このように、厚労省の取り組みがどのくらい効力を持つかを考え、それも考慮に入れつつ自分たちがどのような取り組みをしていくかを考えていきます。

 少しでも興味を惹かれたらぜひメンバー募集説明会へおこしください。
 京都POSSE 秋の労働・貧困問題勉強会メンバー募集!

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POSSEは若者の労働・貧困問題に取り組むNPO法人です。2006年に設立し、現在は東京・京都・仙台の全国3か所に事務所を構えています。会員は 約250人で、10~20代の学生・社会人を中心に運営中。活動内容は幅広く、年間約1000件におよぶ労働相談への対応のほか、調査活動、被災地での復興支援、政策研究、生活困窮に関する生活相談などに取り組んでいます。活動の内容についてもっと詳しく知りたい方はPOSSEのHPにて色々と紹介していますのでぜひご覧ください。
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