鴨川日記

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医療討論番組を振り返って

2005-11-19 23:08:18 | 医療問題 目次と要約
 このブログでは医療制度改革を一つのドラマ(プロジェクトあるいはプロセス)としてこの2ヶ月間ウォッチしてきた。論点を明確にするために目次や要約も作っていきたいと思う。今日はまず、討論番組を振り返る。

 10月、11月に幾つかの、医療制度改革に関する最近の討論番組をダイジェストしてきた。討論するということは、とても良いことだ。『この社会では誰も完全な知識や知恵を備えているとは限らないが、民主主義とは、討論することを保障し、様々な価値観や背景を持つ人々の総意として最善の道を歩む制度』と、どこか本で読んだことがあるが、まさにその通りだと思う。

 討論番組では、それぞれの人が自分の立場、背景、知識などをもとに主張しあい、もっとも赤裸々な姿がテレビの前に示される。聞き流しているだけでは、その中のほんの一部しか記憶に残らないが、書いて記録してみると、興味深い。何よりも、政府の諮問会議や、官庁での議論もこのように展開され、政策が決定されるのだろうと実感させてくれて(テレビの前とはずいぶん違う雰囲気の会議もあるだろうが)、それによって、国民一人一人もしっかり議論に加わるべきだと教えてくれる。

 一番に例示して申し訳ない気もするが、討論番組を通じて谷垣財務相は、「医療の問題は殆ど理解しておらず、財政的見地からだけ見解を述べていること」が明白だったし、多くの財務官僚、財政諮問会議の委員も似たようなものだろう。そのような人たちに「お金が足りないから医療費は抑制する」と言われても国民の立場として納得できるものではない。消費税論議における中川政調会長ではないが、ここでもまず改革ありきである。元厚生大臣として津島雄二氏や坂口力氏がそれなりの見識を持っておられることは心強く感じた。

 もちろん、見識だけでは政治は進まず、理不尽なパワーゲームや、表面的な数字あわせや理屈だけで流れ作業的に進むこと、既得権益をめぐる様々な駆け引きもあるだろうが、これだけ情報公開が行われるようになり、テレビでの議論も本音での議論がされると、合理的であるかどうか、人を説得できるかどうかは大事なポイントになる。

 今までにダイジェストした番組は以下の通り。

10月9日(日)  報道2001 (10月10日の日記)
 総額管理、高齢者保険制度、診療報酬下げ、混合診療などをめぐって、規制改革・民間解放推進委員会の八代尚宏氏、日本医師会副会長櫻井秀也氏、津島雄二氏、坂口力氏、管直人氏が出席して白熱の議論が繰り広げられた。
 
10月9日(日)  たかじんのそこまで言って委員会 (10月10日の日記)
 これはやしきたかじんが主宰の討論番組というよりは関西ローカルのトーク番組。本田宏(医療制度研究会幹事)を招いて宮崎哲弥氏や橋下徹弁護士などが素人の立場から議論を展開。医者は儲けすぎているかという議論、混合診療や株式会社の医療への参入などが気楽なトークで話し合われた。

10月23日(日) サンデープロジェクト (10月24日の日記)
 司会の田原総一郎の他、5つの政党から論者(久間章生、坂口力、仙谷由人、小池晃、阿部知子、このうち坂口、小池、阿部は医師)が出て討論。厚労省の試算見通し自体が年々変化していることが指摘された。日本の医療費が国際的に見て低い水準であることも議論された。終末期医療の問題も言及があった。

11月13日    日曜討論 (11月13日の日記)
 谷垣財務相を囲んで、千葉、東大、慶応の学者が討論を行った。過去の塩川財務相の言葉「母屋(一般会計)でおかゆを食べているのに、離れ(特別会計)ではすき焼きを食べている」という言葉が印象に残った。日本の医療がGDP比でみると高くないという議論がされたが、この番組ではとにかく谷垣氏が医療の重要ポイントに踏み込まず、とにかく一般会計の中で社会保障費が急速に増大していると官僚答弁を繰り返したのが目立った。

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