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Fibro Scanって知ってました?

2006-03-13 01:14:45 | C型肝炎治療情報
慢性肝疾患患者の肝線維化がどの程度進んでいるかを知ることは、私たち患者は勿論、医療者にとっても大事なマターです。
「慢性肝炎とは肝硬変の前駆ではなく、肝硬変への道そのものである」なぞと最近では言われるようになりましたし(熊田先生の言い分を勝手に変形させてしまいました)肝臓癌の発癌リスクを予測する上で非常に重要ですし、インターフェロンの可否など今後の治療方針を考える上でもとても重要な情報です(真面目やなあ)。
現在のところ、線維化の評価は肝生検に頼らざるを得ないと一般には言われていますが、血友病患者にとっては非常に危険、健常者にとってもリスクゼロではありませんし、ほんの数箇所?肝生検しても肝細胞の繊維化の進行度の全体的把握は出来ないでしょう(ですから現在ではエコーや胃カメラ、血清グロブリン値などとの組み合わせモニターによって「推測」しているわけですね)。
それに肝臓生検は侵襲的な検査であり、何度もしょっちゅうできるというわけではありません!(自分ではしたことがないくせに、偉そうな・・・)。

そこで本題です。
近年非侵襲的な(肝臓を直接傷めない)肝線維化定量法としてechoSens社からトランジエンド・エラストグラフィー技術(よく分かりません。誰か教えて)を用いたFibro Scan502が開発されたのだそうです。
今回、東京大学医学部附属病院 検査部の杉岡陽介先生チームが、Fibro Scan502を用い肝の線維化の程度を検討したので簡単な報告が出ていました。
以下、ちょっとそっけない報告文を引用しますね。
 
<対象>
当院外来消化器内科腹部エコー検査依頼患者のうち、主に肝疾患のある患者を対象とし超音波所見、血液検査結果(血小板、ALB,AST,ALT,γ-GT,ALP,AFP,AFP(L3),PIVKA・,・型コラーゲン,ヒアルロン酸)との比較検討を行った。

<測定原理> これが「トランジエンド・エラストグラフィー技術」のことらしいです。
プローブから発生される可聴振動の肝臓内における伝播速度は肝の線維化が進んでいると速く、進んでいない場合には遅く伝播される。この原理を用い肝内における伝播速度を超音波により追跡し速度の変化を解析する事により肝の線維化の程度を測定する。この硬さは(KPa)で表される。測定は10回行いその中央値で表した。測定に要する時間は約5分ほどである。(短いでんがな)

<結果>
超音波所見、血小板、ALB、・型コラーゲン、ヒアルロン酸とは相関を示したが、肝機能を示すAST,ALT,γ-GT,ALPとはあまり相関を示さなかった。萎縮の強い肝、腹水が多量にある場合は測定不能であった(ううん、高度な肝硬変状態になると少なくとも今回の検査では有用ではなかったということやね)。

<考察>
Fibro Scan502は肝の線維化マーカーとの相関も良好で(「肝機能を示すAST,ALT,γ-GT,ALPとはあまり相関を示さなかった」というのにどうしてこう言えるのでしょうか????)短時間で非侵襲的に検査を行える事から肝の線維化の測定に有用であると思われる。今後は時系列的に線維化の程度を検査し肝癌発症との関連の長期的な検討やピンポイントでの硬さの評価を可能とするなどの機器的な改善も必要と思われた(そうでしょうとも・・・)。

同じ杉岡陽介先生の別のこれまた簡単報告(ブリーフィングかな)から。同じような内容ですが・・・。

【対象】対象者の説明がやや詳細です。
当院消化器内科腹部エコー検査依頼患者のうち、主に肝疾患のある患者を対象とし超音波所見、血液検査結果(血小板、ALB,AST,ALT,γ-GT,ALP,AFP,AFP(L3),PIVKA2,4型コラーゲン,ヒアルロン酸)との比較検討を行った。また肝生検を過去半年以内に施行された患者においては肝組織のstagingを新犬山分類に従いF0~F4の5段階で評価しFibro Scan値との比較検討を行った。

【測定原理】
プローブから発生される可聴振動の肝臓内における伝播速度は肝の線維化が進んでいると速く、進んでいない場合には遅く伝播される。この原理を用い肝内における伝播速度を超音波(3.5MHz:A波)により追跡し速度の変化を解析する事により肝の線維化の程度を測定する。測定には右肋間からプローブを当て皮膚表面から25mm~65mmの範囲を計測し最低20mm計測できれば定量値として数値化される。この硬さは(KPa)で表される。測定は10回行いその中央値で表した。測定に要する時間は約5分ほどである。

【結果】
1,各肝組織のstagingにおけるFibro Scan値との相関はFibro Scan値が高い程良好であった。
2,超音波所見で内部エコー均一でもFibro Scan値が高く病理診断でもF3~4になる症例があり、肝の内部エコーの評価は肝の繊維化を必ずしも反映はしないと思われた。(肝臓エコーよりも繊維化把握がうまくいく症例があるということか?)
3,脂肪肝で高値傾向を示すのは弾性波の測定に超音波(A波)を利用しており脂肪の音響インピーダンスが低い事に起因するのではないかと考えられた。
4,血小板、ALB、4型コラーゲン、ヒアルロン酸とは相関を示したが、肝機能を示す AST,ALT,γ-GT,ALPとはあまり相関を示さなかった。
5,萎縮の強い肝、腹水が多量にある場合は測定不能であった。

【考察】
Fibro Scan502は短時間で非侵襲的に検査を行える事から従来より用いられている血小板、繊維化マーカーなどと組み合わせる事でより精度の高い繊維化予測ができると期待された。今後は時系列的に線維化の程度を検査し肝癌発症との関連の長期的な検討やピンポイントでの硬さの評価を可能とするなどの機器的な改善も必要と思われた。


ということだそうです。
いずれにせよ、C型肝炎患者にとって繊維化測定手段が増え、洗練されていくのは嬉しいことです。
恐らく不眠不休でデータ整理分析などされた杉岡陽介先生はじめチームの方々のご努力に敬意を表したいと思います。
これからもご尽力をよろしく。






   











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