薬害エイズを忘れない!

1500名の被害者を出した薬害エイズ事件が一応の終結を見て早10年。「薬害エイズってなあに?」と言う若者が増えています

リポアトロフィー

2006-11-21 08:24:41 | HIV治療情報
前の記事と重なる部分もありますが、補足する意味で我慢して呼んでみてください。


1) 抗HIV 薬を長期間内服している患者で、リポアトロフィーと呼ばれる体脂肪の分布異常(腹部内臓脂肪の増加と、手足・顔面の皮下脂肪の減少)が生ずることがあります。
2) 明確な原因は不明ですが、脂肪細胞のミトコンドリアDNA 量の減少が認められることから、ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NRTI)のミトコンドリアDNA ポリメラーゼγ 活性阻害が一因と推測されています(難しいですね)。
3) d4T の使用者でリポアトロフィーの頻度が高いことはこの仮説と符合しますが、PI(プロテアーゼ阻害剤)の使用との関連も示唆されています。
4) HAART 開始後数ヶ月ほど経てから徐々に明らかとなり、報告・定義により異なりますが25~75%の症例に発症するとされます。
5) 高度のリポアトロフィー例は頬のこけた特有の顔貌を呈し、美容上の観点から患者には苦痛となります(「えらくげっそり痩せたじゃないか。悪い病気があるのでは?」「スカートやノースリーブのシャツを着ると、えらく細くなったね、静脈が浮かび上がって見えるよ・・などと言われるので着るのを避けています」など他人から色々言われますからね)。
6) d4T をABC(アバカビル=ザイアジェン) またはAZT に変更することで、他覚的にも自覚的にもリポアトロフィーが改善するという報告もあり、リポアトロフィー症状が特に強い場合ではNRTI(ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤)の変更を考慮したほうがいいという考え方もあります。専門医によく相談してみてください。ただしその場合、今度は新しい薬の副作用が出てくる可能性があります。

リポ・ジストロフィーとはなんじゃらほい?

2006-11-21 08:21:01 | HIV治療情報
リポジストロフィー(Lipodystrophy)
1) はっきりとした共通の定義はまだありませんが、糖・脂質代謝異常外見上の脂肪の分布異常リポアトロフィー)とをあわせて一つの症候群と考えられています。
2) 代謝異常の程度により、動脈硬化の促進による脳血管障害や心疾患発症の危険性が増すため、抗HIV療法を一時中断せざるを得ない場合があります。
3) また、脂肪の分布異常による外見の変化については、日常生活にも影響する深刻な問題となっています。基本的には、「顔や手足の肉(脂肪)がそぎ落ちて、体幹部(おなか周り)に内臓脂肪が付くというタイプが多いです。ですから、モデルさんとかは顔つきが変わって仕事に差し支えたり、女性は猛暑でも長袖・長いパンツでやせ細った手足を見せないようにしたり、大変です。日本人でもバッファローバンプになる人がいます。
4) ACCの日本人男性患者179名を対象にした調査では、腹部の脂肪蓄積が46%、頬のこけが30%に見られ、併せて中性脂肪値の上昇や尿酸値、脂肪酸値、C-ペプチド値の上昇も見られました。
5) また、発生のリスクファクターとして、プロテアーゼ阻害剤の長期使用とBMI>25が考えられています。(出典:Halen Fraser, et al; Prevalence Survey of Lipodystrophy in Japan. 14th Japan AIDS Conference, 2000.)

私も(肝硬変による腹水もあるけど)「顔はげっそり、手足は今にも折れそうで(ナヨナヨ)、腹回りだけがっしりお肉=脂肪」といった感じになってしまいました。
ああ、これでますますお嫁の貰い手がなくなったわ・・・(;_;)