「つくつく日記」

NGO代表、空手家、学校の講師とちょっと変わってる私の日々の雑感をお届けします。

「押忍の心」~その1~

2005年05月29日 | 「武道の旅」

5月29日にマニラで極真会館フィリピン支部主催「第5回青少年トーナメント」が開催されました。



フィリピンに詳しい人の中には、フィリピン人と極真空手にピンと来ない方も多いかもしれません。極真空手は顔こそ殴らないものの、素手素足で相手と戦うとてもハードな武道です。

多くのフィリピン人は痛いことを嫌がりますし、空手はボクシングと違って、アマチュアのため、世界チャンピオンになったところでお金が入ってくるわけではありません。月謝を払ってまで痛い想いをすることを普通のフィリピン人ならする人はいませんが、トーナメントを見れば今までのフィリピン人の一般的な概念が変わると思います。

さて、今回のトーナメントは青少年トーナメントと言うことで、いつくかのカテゴリーに分かれています。8歳未満の部、9歳~10歳の部、11歳~12歳の部、13歳~14歳の部、15歳~16歳の部です。13歳~以降は男女別に行われ、12歳未満の部は男女混合で行われます。

通常行われるトーナメントでは素手素足で戦います。ルールはフルコンタクトルールと言い、素手による顔面攻撃を禁止している他はすべての箇所(金的を除く)を素手素足で攻撃することが許されています。勝敗は相手を倒す一本勝ち(KO)か技あり二つでの合わせ一本、もしくは判定で行われます。K-1のルールで顔を殴らないといったらわかり易いでしょうか。

今回、私は審判と昇級審査の指導、そして極真オロンガポ道場のコーチとして参加しました。オロンガポ道場はまだ3年前に出来たばかりの道場ですが、軽量級と中量級でフィリピンチャンピオンを輩出し、そのアグレッシブなファイトスタイルには定評があります。写真はオロンガポ道場の生徒達。



トーナメントに参加するのは3人。12歳の部にはイーグルという男の子。13~14歳の部にはレイアという女の子。14~15歳にアイザという女の子が出場します。イーグルの一番上のお兄さんであるエルシル(31歳)は中量級でチャンピオンになったことがありますし、最近はアジアカップにも参加したつわもので会場をいつも沸かせるファイトをしてくれます。

大会に先立ち白帯~茶帯の昇級審査が行われます。基本に続き、移動稽古、型、体力テストと進み、25人ほどの受験者全員が無事に昇級することが出来ました。そしていよいよ大会が始まります。私は最初審判ではなく本部でトーナメント表の管理をする役回りです。

最初は各階級の1回戦から。14歳未満の部では脛あてにグラブ、ヘッドギアを取り付けて試合を行います。日頃の成果を出すためにみんな頑張って戦っています。試合の本戦は2分。決着がつかなければ延長戦が1分間で、さらに再延長戦が1分。それでも引き分けの場合には体重が軽いほうが勝ちになります。

お父さん、お母さんや道場の仲間の応援で力を出し切った末、勝ったこどもも負けたこどもも最後は握手で試合を終えます。負けたこどもの中には悔し泣きするこも多く、フィリピンではあまり見られない光景です。

明日もトーナメントの続きをお伝えします。