フィリピンでは以前、フルコンタクトの空手道場がいくつかありましたが、トーナメントを開催して、人前でノックアウトされた場合、大会後に待ち伏せして襲撃するという事件があったそうです。人前で罵倒されたり、怒られたりするのをもっとも恥とするフィリピンの文化にはあまりそぐわなかったのかも知れません。
もちろん、空手で大切な武道の心や押忍の心もちゃんと伝わっていなかった面もあります。黒帯を取った途端に独立し、自分でどんどん段を上げていく先生にも多く会った事があります。20代後半で6段というのも珍しくありませんでしたし、先生が空手の本とブルースリーという人にも会った事があります。
そんな人たちがきちんと道場を構えて人に教えていたのだから驚きでした。7年前にシンガーポール人のスティーブン支部長がマニラのサンフアン市で極真空手の道場を開き、徐々に活動を広げて行きます。大会には多くの流派が集まり、上記にある先生たちも参加をします。
私がスティーブン支部長に会ったのは1999年、世界大会が東京で行われた時です。当時、ルーマニアでACTIONのプロジェクトをしていた関係から、ルーマニア支部と交流があり、夏季合宿等に参加をしていました。
そして、世界大会に出場するルーマニア選手がうちに泊まっていたため、受付会場のホテルへ連れて行ったところ、フィリピン選手団に出会ったのでした。その後、5年たって再開する事になるのですがその話はまたそのうち。
フルコンタクトの試合は、彼らが今まで行ってきた寸止めの空手ではないので、たとえ黒帯と言えども、極真空手の初心者や中級者にも負けてしまいます。それを見た観客たちは、帯の色ではなく、最後に立っていたものが強いのだと理解をし、自分もやってみたい!となるそうです。
こうして、現在はマニラに5つ、地方に7つの道場を持つまでに成長したのです。
さて、次回はトーナメントの続きです。