ジニーの、今日も気まぐれな感じで・・・

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東野圭吾 『パラレルワールド・ラブストーリー』 読了

2019年11月16日 06時54分52秒 | 読書
おはようございます、ジニーです。



随分お久しぶりの「読了」の更新です。
今回読んだのは、東野圭吾の「パラレルワールド・ラブストリー」です。

10月には読み終わっていたのですが、なかなか書く時間がなくて
11月になっちゃいました。
11月も中盤になっちゃいました・・・。
お仕事忙しくて、たはは。



さて、言い訳はこのくらいにして。

かねてから気になっていた本作。
タイトルからは何かしらのラブストリーかと思いましたが、
バリバリの理系ミステリーでした。

ある意味で、タイトルで騙された感もありますが、こういう作品は
東野さんしか書けない内容ではないかと感じました。



物語は大きく二つの軸で進んでいきます。
友人の恋人に憧れの感情を抱き悩む主人公の軸。
その友人の恋人であるはずの女性と同性をする主人公の軸。


主人公の名は敦賀崇史、友人の名は三輪智彦。
そして二つの時間軸の中で双方の恋人となっているのが津野麻由子。

一方の軸では、仲睦まじくする智彦と麻由子の恋を応援しつつ、自分の恋心を
押し殺せずに少しずつ暗澹たる想いに蝕まれていく主人公が描かれています。
学生時代からの親友である智彦は、自分に自信を持てずに女性と親密な関係に
なるのは今回が初めて。
舞い上がっているところもありますが、親友である主人公にこの恋を応援
してほしいという素直な気持ちと、大切な親友も含めた3人の関係性を深めて
行きたいという気持ちとで、主人公に接してきます。

しかし、もう一方の軸では、主人公と麻由子が恋人関係となっており
いつも同じ時間を共有していたはずの3人のひとり、智彦は近くにはいません。

あまりにもギャップのある二つの軸が並行して進んでいく物語。
それぞれにパラレルで進むため、読んでいるうちにどちらがどちらの世界なのか
徐々にわからなくなってきます。
全く別の軸の世界のはずなのに、微妙にリンクする事象。
小さな違和感が、パラレルな世界観を相互に、徐々に混ざり合わせていく、
そしてその先にあるのは・・・。

あまり話しすぎるとネタバレになるのでこの辺にしておきます。
とにかく、少しずつ疑問が生じて、その疑問を解消すべく行動するうちに
辿り着く真相が、そこに繋がっていくのかという物語です。


個人的に素晴らしいと感じたのは、主人公と麻由子の出会いとなる場面。
それぞれが乗る電車が並走することで、ドア越しに立つふたりが互いを認識する
という場面なのですが、この時点で刷り込まれたと感じましたね。
パラレルワールドと、電車の並走。
この、ともに横並びを意味する言葉。
無意識に横並びであることが前提となって話が進むという心理的な作用に
なっているのだなと。
シチュエーションから誘導するというのがミステリーの醍醐味でもあり、それを
堪能できる作品だと感じました。

ただ、そんなに簡単な話ではないですが。





安定の面白さですし、良くこういう話を考えてまとめていけるなと
東野圭吾さんの作家としての力量を感じられます。

今更感もありますが、未読の方は是非この世界に浸ってみてください。



コメント (1)
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