昨年の新型インフルエンザのパンデミック(大規模感染)の際に外国産のワクチンが輸入され使用されました。
その際に安全性についての偏った報道がかなりなされていましたが、実際のところの安全性はどうなのでしょうか?
自分なりに調べてまとめてみました。
資料としたのは厚生労働省の新型インフルエンザワクチンQ&A(PDF)など
大まかな内容についてはこのPDFでわかりやすく説明されています。
輸入ワクチンはグラクソ・スミスクライン(GSK社)製とノバルティス社製の二つが有りそれぞれに違いが有りますが、まず国産ワクチンとの違いで大きく異なるのは以下の点です
まず①について書いていきます。
アジュバンド(免疫補助剤)はワクチンに混合して投与することにより目的とする免疫反応を増強する物質です。
いくつかの働きがあると考えられていて代表的には以下のような作用があると考えられます。
これらの特徴によりアジュバンドを使用したワクチンでは抗原使用量(不活化したウィルス)が少なくなります。
厚生労働省の資料によると国産ワクチンでは抗原量が15μgなのに対してアジュバンドを使用したワクチンの使用量は3.75μgとなっています。
1/4量で済むわけです。
鶏卵一個あたりで作れるワクチンの量が4倍になるとも言えます。
ワクチン製造で最もネックになるのが抗原となるウィルスの培養です。
日本国内ではインフルエンザウィルスの培養に鶏卵を用いていますが、受精卵を使用し10~12日齢のものにウィルスを注入しその後3日間程度鶏卵内でウィルスを増やします。その後鶏卵内からウィルスを抽出・濃縮し、ホルマリン等の薬剤でウィルスを不活化していくわけです。
ワクチン製造には有精卵を大量に入手し、かつ孵卵器で温度湿度を管理するなど多大な手間がかかります。このため増産等への対応は難しいのが現状です。
アジュバントの使用による抗原量の減少はこういった製造上の製薬を減らし、少ない抗原量で大量のワクチンを製造できるというメリットがあります。
また、抗原量が減るということは抗原作成時に使用するホルマリン等の薬剤の残留を減らすことに対しても有効と考えられます。
アジュバント自体の安全性の問題は残ってしまいます。
ただし注意しておくのが今回のものは
「国内では認可されたことのないアジュバンド」
と言う点です。
日本国内においてはアジュバンドを使用したワクチンの使用や認可の件数が極端に低くなっています。
これはワクチン事業そのものがあまり儲からないため参入する企業が少ないのが理由の1つです。
ワクチン事業は他の医薬品に比べ遥かに国の制約が厳しくなっており、また国家の要請でワクチンの製造が行われるのに国は買い上げ等は一切行って来ませんでした。このためすべてのリクスは企業側によせられて、ワクチンを製造しているのは研究所ベースの中小企業というのが現状です。
実際に新型インフルエンザワクチンの国内生産は3社による寡占市場となっています。
近年の少子化や、ワクチン接種に対する過剰な忌避反応などからワクチン市場そのものも減少しているます。
こういった環境下のため、多量の資金や治験例を必要とするようなアジュバントの開発はあまり行われていません。
多少製造コストがかかろうが現状の製造方法を踏襲するほうが競争の無い寡占市場ではリスクが少なくなるためです。
一方、欧州や米国では大手の製薬会社がワクチン事業に参入しており、アジュバントを含めワクチンの開発が盛んに行われています。また少なくとも今回の外国産ワクチンに使用されたアジュバンドの安全性は海外での治験等によれば高いと言えると思います。
日本国内の使用経験が無いわけですから単純に言うのは問題がありますが、今回の新型インフルエンザワクチンに使用されているアジュバントはスクワレン等を用いた油性アジュバントであり、比較的安全性は高い部類に入るんじゃないかな?と考えています。
②③の項目については次回にでも書いていきます。
その際に安全性についての偏った報道がかなりなされていましたが、実際のところの安全性はどうなのでしょうか?
自分なりに調べてまとめてみました。
資料としたのは厚生労働省の新型インフルエンザワクチンQ&A(PDF)など
大まかな内容についてはこのPDFでわかりやすく説明されています。
輸入ワクチンはグラクソ・スミスクライン(GSK社)製とノバルティス社製の二つが有りそれぞれに違いが有りますが、まず国産ワクチンとの違いで大きく異なるのは以下の点です
①国内で使用経験の無いアジュバント(免疫補助剤)が使用されている(両社製品とも)
②ワクチン作成に用いるウィルスを鶏卵ではなく細胞培養法で作成している(ノバルティス社製で使用)
③国産ワクチンは皮下注射が多いが、外国産は筋肉注射(両社製品とも)
②ワクチン作成に用いるウィルスを鶏卵ではなく細胞培養法で作成している(ノバルティス社製で使用)
③国産ワクチンは皮下注射が多いが、外国産は筋肉注射(両社製品とも)
まず①について書いていきます。
アジュバンド(免疫補助剤)はワクチンに混合して投与することにより目的とする免疫反応を増強する物質です。
いくつかの働きがあると考えられていて代表的には以下のような作用があると考えられます。
・抗原となる不活化したウィルスを不溶化することで長期間留まれるようにして免疫細胞への暴露時間を長くする
・投与箇所に炎症を起こすことでマクロファージを投与箇所に集め、抗原を貪食しやすくする
・T細胞、B細胞の活性を上げる
・投与箇所に炎症を起こすことでマクロファージを投与箇所に集め、抗原を貪食しやすくする
・T細胞、B細胞の活性を上げる
これらの特徴によりアジュバンドを使用したワクチンでは抗原使用量(不活化したウィルス)が少なくなります。
厚生労働省の資料によると国産ワクチンでは抗原量が15μgなのに対してアジュバンドを使用したワクチンの使用量は3.75μgとなっています。
1/4量で済むわけです。
鶏卵一個あたりで作れるワクチンの量が4倍になるとも言えます。
ワクチン製造で最もネックになるのが抗原となるウィルスの培養です。
日本国内ではインフルエンザウィルスの培養に鶏卵を用いていますが、受精卵を使用し10~12日齢のものにウィルスを注入しその後3日間程度鶏卵内でウィルスを増やします。その後鶏卵内からウィルスを抽出・濃縮し、ホルマリン等の薬剤でウィルスを不活化していくわけです。
ワクチン製造には有精卵を大量に入手し、かつ孵卵器で温度湿度を管理するなど多大な手間がかかります。このため増産等への対応は難しいのが現状です。
アジュバントの使用による抗原量の減少はこういった製造上の製薬を減らし、少ない抗原量で大量のワクチンを製造できるというメリットがあります。
また、抗原量が減るということは抗原作成時に使用するホルマリン等の薬剤の残留を減らすことに対しても有効と考えられます。
アジュバント自体の安全性の問題は残ってしまいます。
ただし注意しておくのが今回のものは
「国内では認可されたことのないアジュバンド」
と言う点です。
日本国内においてはアジュバンドを使用したワクチンの使用や認可の件数が極端に低くなっています。
これはワクチン事業そのものがあまり儲からないため参入する企業が少ないのが理由の1つです。
ワクチン事業は他の医薬品に比べ遥かに国の制約が厳しくなっており、また国家の要請でワクチンの製造が行われるのに国は買い上げ等は一切行って来ませんでした。このためすべてのリクスは企業側によせられて、ワクチンを製造しているのは研究所ベースの中小企業というのが現状です。
実際に新型インフルエンザワクチンの国内生産は3社による寡占市場となっています。
近年の少子化や、ワクチン接種に対する過剰な忌避反応などからワクチン市場そのものも減少しているます。
こういった環境下のため、多量の資金や治験例を必要とするようなアジュバントの開発はあまり行われていません。
多少製造コストがかかろうが現状の製造方法を踏襲するほうが競争の無い寡占市場ではリスクが少なくなるためです。
一方、欧州や米国では大手の製薬会社がワクチン事業に参入しており、アジュバントを含めワクチンの開発が盛んに行われています。また少なくとも今回の外国産ワクチンに使用されたアジュバンドの安全性は海外での治験等によれば高いと言えると思います。
日本国内の使用経験が無いわけですから単純に言うのは問題がありますが、今回の新型インフルエンザワクチンに使用されているアジュバントはスクワレン等を用いた油性アジュバントであり、比較的安全性は高い部類に入るんじゃないかな?と考えています。
②③の項目については次回にでも書いていきます。