黒砂台鍼灸あん摩治療院

鍼灸院の日常日記

多剤耐性菌対策に古い抗生物質?

2010-10-26 16:14:35 | 西洋医学について
Yahoo!ニュースを見ていたらこんな記事がありました。

60年前発見の抗生物質復活、多剤耐性菌に効く

 主要な抗生物質が効かない多剤耐性菌の増加を受け、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会は25日、60年前に日本で発見され、その後使われなくなっていた抗生物質コリスチンを、多剤耐性菌への使用に限って復活させる方針を決めた。
 すでに英グラクソ・スミスクライン社が臨床試験を始めているといい、優先的に承認審査を進める。
 コリスチンは1950年、福島県内で採取された土壌細菌から発見された抗生物質。大腸菌や緑膿(りょくのう)菌などに効果があるが、過剰投与すると神経障害や腎臓障害などの副作用がある。70年代まで盛んに使われたが、その後は使われなくなり、90年代に国内での製造が終了。承認も取り消された。
 だが、今年に入って、多剤耐性菌のアシネトバクターのほか、ほとんどの抗生物質を分解するNDM1酵素を持った大腸菌などが国内にも出現。多剤耐性緑膿菌も数年前から確認されていることから、これらに効くコリスチンを独自輸入する医療機関が増え、日本感染症学会などが早期承認を求めていた。

読売新聞 10月26日(火)1時48分配信

こういったことはこれから少しづつ増えてくるのではないでしょうか。
特にこの“コリスチン”はβラクタム系の抗生物質とは異なり、細胞膜を直接障害するタイプなので効果は期待できそうです。また耐性の獲得にも時間がかかるのではないでしょうか。
問題は記事中にもあるとおり、副作用ということでしょう。神経毒性や腎毒性が高いというのは使う際に慎重に見極めながら行う必要性がありますし、なにより多剤耐性菌のリスクが高い高齢者などはすでに腎機能が低下している場合も多いので。
安全性の問題もありますし、“多剤耐性菌に限り”の復活承認なので乱用等は無いでしょう。何よりも多剤耐性菌の対抗手段をもってもっておけるというのは大事だと思います。

しかしこういったものをすでに独自輸入に動いている医療機関があるとのはなし、恐れ入るばかりです。