里村専精師の「浄土真宗にようこそ」(No029)をお届けします。
浄土真宗にようこそ(029)
仏像について再び思います。
NHKでもガンダーラ発生を公言されていますが、まだ早いし言い過ぎです。
仏像は、もともと彫刻された時には菩薩像だったはずです。
ブッダの因位である菩薩の形だから、仏像というものの髪・髭・衣装が派手なのです。
大乗仏教を推進したサンガの影響から、菩薩像は生み出されました。
それもインド内陸部の発生が自然です。
ガンダーラはむしろインド仏の模倣だということは、その後の選択からも判明します。
中国・朝鮮半島・日本と伝達された仏像は、一体もガンダーラ仏を本尊としていません。
北伝仏教だけではなく、東南アジアの仏像までが、インド仏を継承しています。
北伝の場合は、ガンダーラを経由して仏像は伝えられました。
なのに中国以降の仏像で、ガンダーラ仏は一体も本尊の扱いを受けていません。
インド仏こそ選択されたのであって、ガンダーラ仏は意図的に外されているからです。
たとえば竺法護や曇無讖、そして玄奘三蔵たちにもその選択があったからです。
ガンダーラは確かに幾つもの傑作を生産しています。
けれども、連綿として本尊としての仏像はインド仏が採択されています。
ここから見直しても、ガンダーラ仏はインド仏からの模倣だと考えられます。
それに、顔がギリシャ的だとか・石像制作にたけていたとかが言及されます。
実際にはガンダーラ地方の人たちの顔が、あの仏像そっくりなのです。
石像制作の技術は、ギリシャだけではなくて、インドの同時代の彫刻にもありました。
たしかにギリシャ人もヤバナと呼ばれて、ガンダーラには存在していました。
カニシカ大王の時代、マトゥラまでその勢力が及んでいたということですが、
それならマトゥラの菩薩像から、有名なカニシカ王の舎利壺も制作されたとも言えます。
ガンダーラ優先の説は、あくまでも保留です。
中国に渡ったインド人・そしてインドを旅した中国僧たちも、インド仏を採択しました。
この事実こそ、歴史を貫く事実ではないでしょうか。
何よりも、多くのサンガがブッダを確実に見つめていたのですから。
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