中央図書館で、詩集をパラパラしてきました。
茨木のり子さんの『聞き星』という素敵な詩に出会いました。
「聞き星」とは、「星座表にあらわられない 浮き世の星であるけれど」だそうです。
カウンセラーの仕事の位置は、まさに、「星座表にあらわられない 浮き世の星」なんでしょうね。
私の理想のカウンセラー像とも重なります。
聞き星 茨木のり子
喋りたいことが いっぱい
聞いてもらいたいことが 綿々と
からみたいことが どうしようもなく
そして ひととき 木に凭(モタ)れたいことが
なぜか聞き役ばかりさせられる
それは聞き星という運命の星
なぜか訴えてばかりいる
それも囀(サエズ)り星といういい気な星
聞き星よ 歎かないで
秘密の話で満杯になったとしても
不機嫌のいがいが出すのはよして
あまり甘くない金平糖ぐらいの星にはなって
星座表にはあらわれない
浮世の星ではあるけれど
よく見ると 屑のダイヤのように
昼も夜もかすかに瞬いているのが
「聞即信」とも言いますが、
じっくりと話を聞くことから、
いろいろなことが始まるのだと思います。
あまり甘くない金平糖ぐらいの星、という表現が、
なんか気に入りました。
親鸞『教行信証 信文類』には、《聞(モン)といふは、衆生、仏願の生起本末(ショウキホンマツ)を聞きて疑心(ギシン)あることなし、これを聞というなり》があります。
【落穂拾い】No273で、(聞)関連の言葉をいくつか書いたことがあります。
慈慧さんの教えてくれた「聞即信」も追加させてもらいます。