着物で文化人気取り

諸事情により最近は着物を着る機会が減り、
ネタも様変わり
日々感じたこと、本、映画など
思うままに書き綴っています

隠し剣 鬼の爪

2007-02-25 11:23:26 | 映画
時代小説は嫌いではないが、藤沢周平はまだ読んだ事が無い。 
山田洋次の藤沢周平3部作、「たそがれ清兵衛」、「隠し剣 鬼の爪」、「武士の一分」いずれも観る機会を逃したままだ。
多くの時代小説の中でも藤沢周平にはその作風から特に熱狂的なファンが多いと聞く。 

テレビで「隠し剣 鬼の爪」が放送されたので、観てみた。

さすがは山田洋次監督
評判以上の出来栄えだと思った。

江戸末期、東北の小藩を舞台にある下級武士の物語。
山田監督はとにかく当時の風俗や文化習慣などにこだわり、出来るだけ忠実に再現したと聞く。
武士の歩き方が腕と足を同時に運んでいた、とか、(男性の)用のたしかた、とか、生活に必要な火のくべ方、とか。夜道を歩く時には、提灯の明かりを灯す仕草等々。
驚くほど細かいディテールにこだわっていて、当時の風俗が解り興味深い。
他にも、家の中は昼でも薄暗く撮影されていて、夜でも明々とした、
「水戸黄門」や「暴れん坊将軍」などの時代劇とは全く違うリアリティーを引き出している。


永瀬正敏演じる片桐と、松たかこ演じるきえの身分違いの切ない恋。
現代の何でも有りの恋愛価値観から考えると、
もどかしいほど、じれったいのだけれども、それがまた美しくもあり、
ああ、日本人ってこんなだったんだなぁ、としみじみした感慨を覚える。

時代の大きなうねりは、東北にある小藩にも影響を与え、片桐は藩の命令でかつての
仲間を討たなくてはならなくなる。
上司の命令には絶対に逆らえない下級武士の悲哀。
ラスト近くになってようやく、「隠し剣 鬼の爪」の意味が解る。

気の遠くなるような制作費を使っているわけでも、多くのCGを駆使したわけでもない、非の打ち所の無いヒーローも登場しない、本当に地味な映画だが、
日本人の心にしんしんと何かが響く、しっとりと暖かくそして美しい映画です

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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
決して贔屓目ではなく (Ton)
2007-02-25 21:28:34
わたくしが真田さんの熱烈ファンだと言うことを
差し引いても(笑)
「隠し剣」より「たそがれ清兵衛」の方が
完成度が高いかと思われます。
機会があったら、是非見てみてくださいね!
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観たよ~! (青め猫)
2007-02-26 08:48:19
見たよ~見たよ~!!!
「隠し剣 鬼の爪」
CMで予告流していたから、ちゃ~んとカレンダーに丸印してたくらいだも~ん。
感動~~~~~~!
「武士の一分」はまだ見てないけど、
「たそがれ清兵衛」はちゃ~んと以前テレビで見たよ。
果たし合いに持ち込まれるところは、ストーリーの流れ的には似ていたけれど。。。
テレビに釘付けになちゃったよ~。
そんな時代劇見ていたら、昔の有名な映画レンタルして観たくなってきたぁ~。
「着物女のソコヂカラ」という本が2月に発売されて、それを読んでいたらその中で紹介されている映画を観たくなったw。
着物女のソコヂカラ↓
http://books.yahoo.co.jp/book_detail/31830781
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最近の日本映画 (くりくり)
2007-02-26 21:27:09
秀作揃いだと思います。 

Tonさん、 
やっぱり「たそがれ清兵衛」は観るべきですよね。 
何度かテレビ放映されてるはずなのに、見逃してばかり。
今度DVD借りてきます 

青め猫さん、
良かったですよね~ 
果し合いのシーンは3部作とも、共通した見せ場みたいですね。このあたりで、時代劇の醍醐味を見せ、
エンターテイメント性を演出しているんでしょう。
「着物女のソコヂカラ」あちこちのブログで紹介してあるので、チェック済みです 
紀伊国屋さんでぱらぱらと立ち読みしたのですが、
そのうちBOOK OFFに並ばないかな~なんて
思ってます
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