http://saigai.gsi.go.jp/2012demwork/checkheight/index.html
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3年ほど前、ウォーキングを始めた頃のことです。ある朝、高さ20m ほどの崖の横にある坂道を、何人かの人がウォーキングして下ってくるのを見かけました。何があるんだろう?と思って坂を登ってみると、崖の上からコンコンと水が湧き、流れ出しているではありませんか。
「こんなところに水の流れが」と驚いたものです。それが愛知用水との出会いでした。
愛知用水 ‐ 高さ20mの崖上の湧きだし口(出口)
場所は愛知郡東郷町。和合ゴルフ場の裏手になります。
和合コースは中日クラウンズの会場。あの石川遼が2年ほど前に世界最小ストロークを記録したゴルフ場です。
見晴しが良く、野鳥との出会いも豊富な愛知用水沿いの道は、その後、折戸川と共に 私の”お気に入りウォーキングコース” の一つとなっています。
ところで、「崖の上からコンコンと水が湧いて・・・」と書きましたが、水流の入口は、出口から直線距離にして240 m ほど離れたもうひとつの崖の上。入口と出口の間には県道 218 号線、田んぼ、細い農業用水があり、愛知用水はトンネルでその地下を潜っているのです。
入口に行くと、「和合第二サイホン」と書いてあります。
「サイホン」という呼び方に違和感があり、少し調べてみました。
谷や道路や別の川の流れを横切って用水を通すとき、空中を渡すのは水道橋と呼ばれています。ローマやニームの壮大なスケールの水道橋を思い出す方もいることでしょう。反対にトンネルで地下を通すのを「サイホン」あるいは「逆サイホン」と呼ぶことがあるようです。
上図上が本来のサイフォンです。閉じた配管の中が水で満たされているとき、配管の途中が入口より高くても、入口、出口の圧力(気圧)差で水が流れる、というのがサイフォンの原理です。途中の閉じた配管をいったん水で満たす必要があり、配管上部の空気をポンプで抜くなどの特別な工夫が必要になります。しかし、下の場合は入口の水面より高い場所が配管にはなく、入口に水を流せば「水は低きに流れる」という単純な原理で自然に流れていきます。特にサイフォンとか逆サイフォンというほどのことはないようにも思えます。
それにしても、「崖の上から突然滔々たる水の流れが始まる」ことに少しばかり驚き、感動しました。
愛知用水にはいくつか不思議に思っていることがあります。そのうちの一つが下の写真の "571.0" という数字です。
50m ごとに数値が記してあるのですが、なぜか数値の単位は 100m になっています。つまり、"571.0" というのは 57.1km を示しているようなのです。愛知用水は兼山というところで木曽川から取水しているのですが、57.1km はこの取水口からの延長距離と推察されます。
なぜ km 単位でなく、 100m が単位になっているのでしょうか?
愛知用水は知多半島先端部まで流れ、農業、工業用水として利用されています。先日訪れた佐布理池はその溜池の一つで、そこに「水の資料館」があり、愛知池についても様々な展示や説明があります。そこのスタッフの人にこの疑問をぶつけてみました。その方もはっきりしたことはわからないようでしたが、「長い距離を小さな勾配で流すため、50m か100m という短い距離毎に勾配測定をした名残りではないでしょうか?」とのことでした。
愛知用水の日の出と、"サイフォン" の動画を YouTube に投稿しました。
投稿して知ったのですが、notosanchi さんが同じような動画を一昨年7月にすでに投稿されていました。