システム担当ライブラリアンの日記

図書館システムやサービス系の話題を中心に。最近、歩き旅の話題も。

大図研会報『大学の図書館』に短文掲載

2020-10-26 19:32:26 | その他
大図研会報『大学の図書館』2020年9月号に
「特集:どうやってシステムの勉強をしてますか?」
という特集があり、寄稿を依頼されて執筆したものが掲載されました。

タイトルは「システム関係の知識習得の振り返りと、少しのアドバイス」。

アドバイスとか少々押しつけがましいかと思いましたが、個人的には良い振り返りの機会となりました。内容は、難しくなく、割と理解しやすく書けたかなと期待。編集委員のWさんのアドバイスにも助けられました。

リポジトリに全文が掲載されています。
http://hdl.handle.net/11094/77274

*発行元のサイト(明示するよう著作権規程に記載あり)
https://www.daitoken.com/

以下にも、本文を貼り付けておきます(空白行を追加してます)。
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システム関係の知識習得の振り返りと、少しのアドバイス
  久保山 健 (くぼやま たけし、大阪大学 総合図書館)

 仕事でいわゆるシステム関係のことに携わったのは、ホームページが始まった頃に職場のホームページ作成や運用をしたり、図書館システムの仕様書を検討したりしたことからです。2005年から数年間は、図書館のシステム全般やネットワークの運用管理もしました(全学ポータルの運用窓口もしていました)。

 本稿では、広い意味でのシステム関係の知識習得について振り返りつつ、苦手意識のある方にアドバイスめいたことを簡単に紹介します。
ただ、「システム」と言っても、コンピュータのハードウェア・ソフトウェア、ネットワーク、セキュリティなどなど切り口は多様です。ごく一部の紹介に留まります。

■知識習得のきっかけ
(1) プログラミング遊び、大学での一般教養授業
 最初は小学生か中学生の頃、マイコンブームの頃です。その時にプログラミング言語の「ベーシック(BASIC)」を遊びの延長で触っていました。その後は、大学の一般教養の授業で、プログラミング言語「フォートラン(FORTRAN)」を習いました。このおかげで「コンピュータを文字で動かす」ということに慣れたように思います。

(2) 大図研大学
 大学図書館で働き始めた後、1990年代前半? 大図研の企画「大図研大学」に参加しました。テーマは「データベース・システム入門」みたいなもので、京都か大阪で開催されました。半日程度の講義が数回あったように思います。実習はなく、座学だったと記憶します。
 これはとても役に立ちました。データベース管理の1つの方法である「リレーショナル・データベース」(簡単に言えば、Excelのシートが複数あるようなもの)や、「インデックス・ファイル」(データベース内の検索を効率化するために作られる検索用のファイル)のことは、ここで知りました。これはその後、入口の知識として、ず~っと役に立ちました。

(3) 職場のパソコン研修
 これは1990年代の半ば、内容はExcelのコマンド等々だったと思います。その中で、ハードウェアとOS(オペレーティングシステム、Windowsなど)、アプリケーションソフトとの関係を、積み木のように図解してもらったのは良い経験でした。
 1段目の積み木(ハードウェア)は、2段目の積み木(OS)を何にするかで、上部の突起の形(規格)が違います。例えば、Windows用だったら四角で、Mac用だったら丸いとか。2段目の積み木(OS)は、1段目の突起に合うものを乗せます。3段目はアプリケーションソフトとなりますが、これまた2段目の積み木は、種類によって上部の突起の形が違いますので、それに対応した積み木(アプリケーションソフト)を乗せないといけないと。

 ここで大事なのは、1段目と2段目の積み木の間には、バイオス(BIOS)という接着剤というか、単なる物体であるハードウェアと、OSとを媒介するものが必要だということです。これがなければ、1段目の電源を入れた時に、ブーンとファンが回るくらいで、2段目は動いてくれないわけです。時に「ファームウェア」と呼ばれることもあります。

 最近はソフトの互換性が進んだり、クラウド上の仮想OSなどありますが、基本の理解は積み木の例で合っていると思います。

(4) 実務や他の方々から
 その後、図書館のシステムやネットワーク担当になったのは、2005年でした。パソコンは継続的に使っていましたが、インターネット関連の知識は忘却の彼方でした。この時期の知識習得は、研修もありましたが、一番大きかったのは、やりながら覚えることであり、職場や取引先の方々から吸収することでした。
 この周囲の方々というのはいつでも大きな存在で、パソコンの操作を背中越しに見たり、前任者の手順書から学んだり、いわゆる図書館システムに詳しい方々と交流する中で知識を得たことは非常に大きかったです。

(5) その他
 上記以外にたくさんの機会がありました。例えば、自宅のパソコンは、職場のパソコンの更新とタイミングを合わせて、買い換えたりしました。これは、同じバージョンのOSで使い慣れるためです。他には、年に1回程度ですが、パソコン関係の雑誌を買って、いろいろと知識を仕入れたりもしました。

■苦手意識のある人へ
 仕事でシステム担当を離れて約10年。最近はいろんなことがブラックボックス化しているように思うので、今となっては少々古すぎるかもしれませんが、苦手意識のある人に、気にしてほしいと思うことを書きます。
 まずは、パソコンです(Windowsを前提にしてます)。

(1) パソコンは(ソフトウェア的には)ファイルの固まりであることを意識する。そのファイルがフォルダ(ディレクトリ)に分かれて格納されています。「アプリ」と言われるものも結局はなんらかの「実行ファイル」が動いているだけです。
 例えば、メールソフトもその「実行ファイル」が動くことで、画面上に現れるわけです。メールソフトは個別にインストールされていると、どれが実行ファイルか見やすい場所にあったりします。

 あるメールソフトは、メールソフトの画面でフォントサイズを変えられました。一方で、「実行ファイル」の周辺にある設定ファイルを「メモ帳」などで開いて、「FontSize=XX」の数字を変えてやれば、フォントサイズが変わりました。「コンピュータを文字で動かす」の一例です。「実行ファイル」は周辺のファイルを参照しながら動いていることも分かります。

(2) パソコンのフォルダは「ツリー構造」なっていることを意識する。仕事用のファイルも「マニュアル類」「統計」などに分けたりしますよね。単にフォルダ分けしてるのではなく、「ツリー構造」。これを意識してれば、Webサイトの内部リンク設定は楽勝です。これを意識するためにも、私はパソコンで「エクスプローラー」をツリー表示にしています。個人的にはオススメです。やり方は「Windows エクスプローラー ツリー表示」でググってください。

(3) パソコンのイロハ…、最近ならワードの使い方? いやいや、それってアプリケーションの使い方でしょ。パソコンの(ハードウェア的な)構成まで話を戻します。昔は!?こんな風に説明されました。

 つまり、パソコンの構成は、制御装置(CPUを制御)、演算装置(CPU)、記憶装置(メインメモリや内蔵/外付けのドライブ)、入力装置、出力装置、です。
 例えば、職場にデスクトップパソコンがあって、誰かに「あなたのパソコンはどれ?」と聞かれたとします。そして、ディスプレイを触って「これです」って答えたりすると、「それってディスプレイ(出力装置)でしょ」・・・と思われたりしないでしょうが、せめて本体の筐体を示す感覚はあってほしいわけです。これが分かれば、システム担当者に「パソコンおかしい」という漠然とした故障連絡をしないはず。

(4)「エンターキー」は改行だけじゃなくて、「確定」とか「実行」の意味です。最近、学生のExcel作業を見ていて気になったのは、セルの入力中に編集モードのまま放置して、終わった気になっていることでした。頼むからエンターキーを押して「確定」という指示をパソコンに与えてよ、と私みたいな人間は思うわけです(他のセルをクリックでもいいです)。「エクスプローラー」で「実行ファイル」が選択されている状態なら、エンターキーは「実行」の意味です。

 エンターキーは非常に大きい意味を持つものなので、システム担当者やSEさんは、スクリーンセーバーの解除にエンターキーを押すなんてことはやってないはずです(Ctrlキーやカーソルキーにしてください)。

(5) アナログ的な話も加えると、国内外の他の大学図書館や、例えば国内の航空会社のWebサイトを時々観察していると、Webサイトのトレンドみたいなことも分かります。航空会社のサイトを見ていると、予約機能、お知らせ、宣伝も含めた他の情報の配置など、とても参考になります。そういう視点で大学図書館のサイトを見ると、イメージ画像が上部に大きく表示とか、お知らせズラズラとかでいいのかな、と考えるきっかけにもなります。

 以上、ごく一部ですが、私の知識習得の紹介と、苦手意識のある人にも気にしてほしいことを書かせていただきました。

以 上
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