システム担当ライブラリアンの日記

図書館システムやサービス系の話題を中心に。最近、歩き旅の話題も。

次世代OPAC(メーリングリスト)の終焉

2012-12-30 23:05:05 | 次世代OPAC
2012年12月、次世代OPAC関する情報共有や意見交換を目的としたメーリングリスト「nxopac」を閉鎖することにしました。元の目的には、機運を高めるためということもありました。

●経緯
元をたどれば、僕がピッツバーグ大学に滞在中の2008年2月だったと思います。
九大図書館の片岡さんからの次世代OPACの状況を尋ねるようなメールが一つの発端だったと思います。

僕の滞在日数は残りわずかで、3月上旬に帰国しました。そして、やり取りを続ける中で、ベンダーさんとの意見交換を目的にしたメーリングリストも作りつつ、6月から広く情報共有と意見交換を目的にこのメーリングリストを開始しました。

投稿内容は、セミナーや講演会の案内、あるトピックについての意見交換が主だったと記憶します。
一方で、業界の話題も「ディスカバリ・サービス」に移っていき、投稿も少なくなってきました。2011年4月を最後に投稿も途絶えていました。違う形に発展的に解消することを考えようとしましたが、僕や片岡さんの多忙さもあり、なかなか対応は取れずにいました。

そして、2012年8月下旬に片岡さんとは閉鎖で合意しました。私も仕事でバタバタしており閉鎖のアナウンスが遅くなりました。

メーリングリストの投稿が減る中で、Facebookで図書館システム関係のグループができたり、Code4LibJapan という活動ができたりしました。

●私がメーリングリストに流した閉鎖のお知らせ
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このたび、九州大学の片岡様とも相談の上、本メーリングリストnxopac を閉鎖することにいたしました。

2008年6月に開始して以来、「次世代OPAC」についての国内での情報交換、情報共有を目的に運用しておりました。

最近は、業界の話題もディスカバリーサービスに移っており、当メーリングリストは役割を終えたと判断しました。

また、国内でもディスカバリサービスの導入が進み始めています。
使い方の説明不要なインターフェースも普通になることも期待しています。
図書館システムベンダー様も、日々改善は必要かと思いますが、次世代OPACを巡るアイディアを製品開発に取り入れていただけるようになってきたかと思います。

ご参加の皆さまもご理解いただけるようお願いします。

これまでのご協力にも感謝申し上げます。これからも図書館のユーザサービス改善について、いろいろとご教示いただければ幸いです。
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片岡さんが最後にメーリングリストに流した文章からも少し紹介します。
深い内容です。

「同じ意識を持つ人同士のつながりは、ますます重要」
「世界が多様化し、組織内でも二極化が進む時代を、皆さんはどのように捉え、
行動されますか?」

●効果分析
このメーリングリストがなかった世界との比較はできませんが、一定の効果はあったと信じたいところです。
同じ課題意識を持つ人がつながることができましたし、話題を広げることはできたはずです。

しかし、一方で「次世代OPAC」への関心の低さを感じることは多かったですよ。
-図書館系の研修で取り上げられることもかなり少なかったのでは。
-図書館総合展でのフォーラムは、私が思うほどは人が集まらなかったと思います。
-システムのことはよく分からないという関係者の空気もよく感じます(システムのことじゃないのに)。
-蔵書検索やディスカバリ・サービスなどの機能やインタフェースは格段によくなったとは思いますが、率直に言って、旧態依然なところも目に付きますし、「何年、議論してるんだ」って思うこともあります。そんなスピード感で仕事をしてるのかって。


「もう「次世代」が来てしまったのか、通り抜けたのかはわかりませんが」
(@tzhayaさんのツイート)というのも深いです。

私は、「かつてイメージしていた「次世代」はある程度実現した。しかし、まだまだだし、社会やWebの変化に少しでも追いつけているのかという疑問は強い」という思いです。

江上さんが4年近く前に書いた次の記事は、「次世代」はいつでもある、それをいつも少しずつでも実現するのが大事と言っていると思います。とても心に残っています。
じゃぁ、この記事、陳腐化してるんでしょうか。そんなこともあったよねぇと笑える人ってどれ位います? せめて「ばんざーい」って言えるほど何か良くなったことってどれ位ありますか?

次世代は永遠にやってくるのだ、幸にしろ不幸にしろ、というOPAC考え話。
(2009年03月11日)
http://egamiday3.seesaa.net/article/115452449.html


ただ、先日の京大の講演会で片岡さんが時系列で話を整理されている資料を見て、多少の効果はあったのかなと思ったり。
http://hdl.handle.net/2433/167735

個人的には、取りあえずそれで安心。結構満足。それでいいです。

はっきり言って、僕もピッツバーグ大学に行った2007年12月には「次世代OPAC」とか、"Next Generation Catalogue" とか聞いたことなかったですよ。すでに国内で紹介している人はいたのに。
しかるべき検索語を入力して、しかるべき結果の返ってくる玄人型OPACの方に親しみを感じてましたよ。

そんな不勉強な僕に勉強する機会を与えてくれた「次世代OPAC」、片岡さんはじめお世話になった方々。

その後再会はかないませんでしたが、観光旅行ついでに僕の職場に寄ってくれた九大図書館のAさん、フットワークのいい人で、その日だったかなぁ、僕の職場と九大図書館をテレビ会議でつないで勉強会をしたり、某社のセミナーが九大図書館であるときにテレビ会議で僕の職場に中継してくれたり。
実は、「次世代OPACを巡る動向 : その機能と日本での展開」という論文のレファレンスで「accessed 2008-08-25」が頻出しているのは、嘘ではないですが、意図的です。忘れないようにと。
http://ci.nii.ac.jp/naid/110007005995

ともかく、お世話になった方々に感謝します。
僕にとっては一つの終わりとも感じますが、これからもよろしくお願いします。

●記録
登録アドレス数=133件 (2012.12.26時点)
メール送信件数=215件
運用期間=2008.6~2012.12

案内サイト
http://www.library.osaka-u.ac.jp/others/pitt_report/nxopac.html
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