東京女性社員殺害事件 再審の衝撃
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東京女性社員殺害事件 再審の衝撃
ゲスト木谷明さん（元裁判官）
●別の裁判官が認め、勾留が続いたことについて 無罪判決が出たあとは、勾留状が失効すると法律が決めているわけですから、その後、なんの審理もしない段階で、裁判所がもういっぺん勾留状を出すというのは、少しどうかなという、今でもそういう感じがします。
だから、ちょっとそこのところはやりすぎたんじゃないかなというふうに思ってますけど。 ●これは異例なこと日本人の被告人でも、所在不明になって釈放したら、所在不明になってしまう被告がいっぱいいるんですよね。
そういう場合でも、もういっぺん勾留状を出すということをしてませんから、どうも外国人、外国に帰ってしまうということから、少しそこを特別に扱ってしまったんじゃないかという感じがします。 ●１審と２審での同じ証拠の矛盾そこは難しいところなんですけども、心証の取り方ですよね。
最初に被告人の弁解が、ちょっとおかしいんじゃないかという観点から、証拠を見ていきますと、最終的な心証形成をする場合に、その前提となる状況証拠、それは間接事実と間接的な事実ですね、それを認定していく場合に、やっぱり被告人に不利益な方向で認定してしまうんじゃないかと、最初の思い込みっていうのは、あとまで引きずっていってしまうんじゃないかなという感じを持ってます。 ●具体的に今回のケースでは例えばですね、このマイナリさんの弁解が、ややあいまいではないかというように思われる節があったことは間違いないんです。
そこの弁解があいまいだということになると、ほかの間接事実、例えば鍵の返還時期が大きな例なんですけど。 ●犯行があった現場の鍵を持っていたそうですね、鍵をマイナリさんは、事件より前に返したと、弁解してまして、友達もマイナリさんから預かって、事件より前に返したと、こう証言してたわけですね。
ところが受け取ったほうはそう言ってない。 事件が終わってから返しに来たと、こう言ってるわけです。 その友達の証言は、途中でまた調べを受けますと、前はうそを言ってましたというようなことを言い出すことでね、これはやっぱり、マイナリさんと通謀して、うそを言ってるんじゃないかと、こういうふうに見られてしまったんですね。 そういう鍵の問題一つがそうなんですけれども。 ●誰を信じるかそこで裁判所は、検事側の言い分を認めてしまったわけですけれども、最終的には裁判所は被告人側の後見人、後見的な役割を果たすべきなんですから、そう簡単に弁解を排斥してしまったのは、やはり問題ではなかったのかなと思います。
●早く重要な証拠に気が付かないものなのかこれは検事側が持ってる証拠を、弁護人が全部知るわけにはいかないという現在の証拠開示制度の盲点ですね、それが非常に大きいと思います。
これ、検事側が持っている証拠、こういうものを証拠を持ってるということを、弁護人がはっきり知っていれば、もっと早くこういう鑑定ができたのではないかというように思いますね。 ●第三者の可能性を探られない最終的な判断するのは裁判所なんですから、裁判所はその検事の主張にやはり批判的な目をあくまで持って、本当は被告人が言ってるとおりなんじゃないかと、真実はそこにあるんじゃないかという目で、証拠を徹底的に批判的に見ると、そして、どう考えてみても、この人が犯人としか考えられないと、まず絶対に間違いないというような心証を取った場合に初めて有罪認定をすると、そういうふうにやっぱり厳格に考えるべきなんだと思います。
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