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足利事件 群馬女児不明 不審男「よく似ている」 目撃の元教諭証言 2009.06.22 朝刊 足利事件 河川敷女児連れ
群馬女児不明 ビデオ映像
不審男「よく似ている」
目撃の元教諭証言
90年と96年発生 両事件関連も
足利事件で、松田真実ちゃん=当時(4)=が行方不明になった時間帯に女の子連れの不審な男を目撃した元美術教諭の女性(52)が21日までの共同通信の取材に、1996年7月に群馬県太田市内のパチンコ店で横山ゆかりちゃん=当時(4)=が行方不明になった事件(未解決)で防犯ビデオに写った男について「足の運び方や姿勢がよく似ている」と証言した。
菅家利和さん(62)=再審請求中に釈放=が91年に逮捕、服役させられたため、両事件の関連性について捜査されたことはない。証言は、両事件を結び付ける可能性もある。
女性は目撃した男と女の子の様子をスケッチで再現。90年の足利事件発生当時、県警にもほぼ同じスケッチを提供したという。
女性は90年5月12日午後6時40分ごろ、栃木県足利市の渡良瀬川河川敷で女の子連れの男を目撃。男は河川敷を真っすぐに横切り、川の方向に向かった。女性は県警に「男は35~45歳、身長165センチくらい。女の子は赤っぽいスカート」と証言。真実ちゃんは当日、赤いスカートをはいていた。菅家さんの公判資料によると、すぐ近くでゴルフ練習をしていた男性も、同一人物とみられる男を目撃。女性が描いたスケッチを見て「よく描けている」と当時、証言した。
一方、96年7月7日、太田市のパチンコ店からゆかりちゃんが行方不明になった事件では、店内を物色するように歩き回る不審な男の姿が防犯カメラに写っており、群馬県警が映像を公開。男は身長158センチくらい、黒い帽子にサングラス。ジャンパー姿で、肩をいからせて歩いていた。
女性は映像の男について「サッサッサと歩くテンポや、背筋を伸ばして歩く様子がそっくり。全体の雰囲気もよく似ている」と話した。女性の目撃情報は事件当時、捜査本部も重要視したが、菅家さんから「真実ちゃんを自転車に乗せて連れて行った」との”自白”を引き出してからは「無関係」とされた。
「姿勢そっくり」ビデオ昨年視聴
元美術教諭の女性は、横山ゆかりちゃん行方不明事件で防犯ビデオに写った男について「似ている」と証言した。
―足利事件で不審な男を目撃した状況は。
渡良瀬川河川敷の公園で娘を遊ばせていたところ、同じくらいの女の子を連れた男が河川敷を横切って、真っすぐ川の方向に向かっていった。
―男の様子は。
背筋を伸ばして前を向き、サッサッサと歩いていた。足元を女の子がチョロチョロしていた。
―防犯ビデオの男を「似ている」と思ったのはいつですか。
群馬県警が公開した映像を昨年、テレビでたまたま見た時「この人、すごく似ている」と思った。それまで映像を見たことはなかった。
―防犯ビデオの男との共通点は。
特に足の運び方や姿勢がそっくり。全体の雰囲気もよく似ている。
―河川敷で男が連れていた女の子の様子は。
赤っぽいスカートをはいていた。わたしの娘が同じようなピンクのスカートをはいていたので気にとまった。女の子は警戒心がない様子だった。
―なぜ今になって証言したのですか。
足利事件直後、警察に目撃情報を話したら翌日、自宅にマスコミが来た。以後、「どうしてうちが分かったのか」というマスコミへの不信感があった。
―19年も前の目撃状況をよく覚えていますね。
絵を教えていたことがあり、見たものの形状についてはよく覚えている。今回描いたものと同じスケッチを当時、県警にも提出した。
菅家さん逮捕後 県警「情報は無関係」
目撃情報はなぜ「無関係」とされたのか―。足利事件で松田真実ちゃんが不明になった時間帯に、女の子を連れて遺棄現場の河川敷を歩く不審な男の目撃情報。栃木県警は情報を重視し約1年半の捜査を続けたが、菅家利和さんを逮捕後は「無関係」とされた。菅家さんに”自白”させた内容と整合性が取れなかったためだ。
当時の県警捜査1課幹部は「鑑定でDNA型が一致して、みんな菅家さんが犯人だと信じた。疑う者などいなかった」。捜査本部全体の目が菅家さんに向いてしまったことを後悔している。
12時間以上にわたる取り調べに菅家さんは「パチンコ店の駐車場から真実ちゃんを自転車に乗せ、河川敷に連れて行った」と供述した。
しかし菅家さんの主任弁護人の佐藤博史弁護士は二審以降「河川敷で目撃された男が真犯人である可能性が高い」と主張してきた。
足利事件は、菅家さんの再審請求審が行われている間に時効が成立。事件当時の捜査幹部は「警察としてはもう手の出しようもない。本当は時効なんてない方がいい。残念だ」と話した。
クリック ゆかりちゃん不明事件
1996年7月7日午後1時50分ごろ、群馬県太田市のパチンコ店で、両親と一緒に来ていた横山ゆかりちゃん=当時(4)=が行方不明となった。店内の防犯ビデオに、パチンコをせずに店内を約15分間歩き回る不審な男が写っていた。男は店内の長いすでゆかりちゃんの隣に座り、店の出口方向を指さしながら、話し掛けていた。県警は防犯ビデオの映像を公開し、重要参考人として男の行方を追っている。
中国新聞社
娘の生存信じたい… 96年女児不明 心境複雑な両親 2009.06.22 朝刊 足利事件と群馬県太田市の横山ゆかりちゃん行方不明事件に関連がある可能性も出てきたことについて、ゆかりちゃんの父保雄さん(42)=群馬県大泉町=は21日までの共同通信の取材に「同一犯の可能性もあるだろうが、考えたくない。足利事件のように、ゆかりも殺されていることになる」と複雑な心境をのぞかせた。
パチンコ店で女児が狙われたこと、栃木県足利市と太田市が隣接していることから「菅家さんが逮捕されて安心した真犯人が、今度はゆかりを狙ったとも考えられる」と保雄さんは推察する。
「ただ、ゆかりはまだ見つかっていない。犯人は別で、ゆかりはまだ生きていると信じたい。幼児を狙うようなひどい人間が何人もいることになるのも困るが…」
ゆかりちゃんが行方不明になってから、7月7日で13年。保雄さんは「今年は見つかるだろうと毎年、思っていたら、あっという間に過ぎてしまった」と振り返る。
母光子さん(43)は「帰ってきたら手料理を作ってあげる。元気で生きていてほしい」とゆかりちゃんにメッセージを送った。
◎足利事件 あす再審決定へ
足利事件で、無期懲役が確定し、その後釈放された菅家利和さん(62)の再審請求即時抗告審で、東京高裁(矢村宏裁判長)は23日に再審開始の可否を決定する。菅家さんと女児の下着に付着した体液のDNA型が一致しなかった再鑑定結果から、再審開始を認める見通し。
弁護側は「冤罪[えんざい]の真相解明が必要」として、捜査段階でDNA鑑定した警察庁科学警察研究所技官(当時)ら計11人を即時抗告審で証人尋問するよう要求。高裁が応じないため、矢村裁判長らの交代を求める忌避申し立てで対抗する構えだ。その場合、決定期日が延びる可能性もある。
検察側は今月4日、推薦鑑定人による再鑑定結果が「無罪を言い渡すべき証拠に当たる」とする意見書を高裁に提出。菅家さんの刑の執行を停止し釈放した。宇都宮地裁で再審裁判が始まれば有罪立証しない方針で、再審無罪は確実だ。
菅家さん釈放後の10日、最高検は異例の謝罪表明。17日には初めて里帰りした菅家さんに、栃木県警本部長が直接謝罪した。
確定判決では、菅家さんが1990年5月、栃木県足利市のパチンコ店から女児を近くの河川敷に誘い出し絞殺した、とされている。
同一犯の可能性高い
作田明聖学院大客員教授(犯罪心理学)の話 小児性愛者は児童ポルノなどで自分の欲求を満たすことが多く、極端な犯罪に走る人は少数だ。しかしその少数の何人かが栃木・群馬県境の狭い地域に集まっているとは考えにくく、同一犯による連続犯行の可能性が極めて高い。小児性愛は青年期に生まれやすく、一度自分の欲求を満たす行動に成功すれば、欲求の減退が起こる50代まで繰り返すことが多い。また犯人像としては、(1)パチンコ店の常連客(2)男性単身者で土地勘がある(3)最初の犯行時に20代―と考えられる。
四国新聞社
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