同調する方が少ないと思いつつ書きますが、そもそもプロに育成なんて必要なのでしょうか?
これは最近感じ始めたことではなくて、前々から思っていたこと。 少なくとも、私が社会人になってからは確実にそう思っています。
だからこそ報道などで「●●球団が育成強化!」といった記事を書いていたり、支配下登録外で獲得した選手のことを「育成選手」なんて意味不明の名称が付けられているのには、もの凄く違和感を感じるのです。
プロ野球をはじめとしたプロスポーツに限らず、一般の会社においても全く同じこと。 社員となり会社から給与を貰うのだから、会社や組織から「育成してもらう」事を待ったり求めたりするのではなく、自らが戦力となるように「育たなければならない」。 そのためには、自分が足りないと思っているスキルがあるのであれば、そのスキルを持っている人から教えてもらったり、様々な方法で自らの時間やお金を使って、そのスキルを身につけるように努めることが必要。 というか、必須。 義務。
会社組織だと、自己啓発プログラム支援だとか職種別育成プログラムだの組まれて提供してくれる会社もあるかと思います。 定期的に外部機関が行っている研修プログラムに参加させてくれる(させられる)こともあるでしょう。 これは、各個人を育成するためというよりも、最低でも給与分の働きをしてもらうためにやっていること。 表向きは「育成」だとか「キャリアアップ支援」だとか謳いますけどね。 あくまで、会社が会社組織としての目標達成するために組み込まれたプログラムに過ぎません。 社員に少しでもまともに働いてもらうために、金を使ってくれているわけです。
けっこう、合宿研修に行け、なんて上司に言われた時に、「こんなにくそ忙しい時に研修なんて行ってられるかよ。 これで今やっている俺の仕事が駄目になったら誰が責任取ってくれるんだよ。」なんて悪たれつく人もいます。 (そういう私も、かつて似たような愚痴をこぼしたこともありますけどね。) でも、そこで勘違いしちゃあいけません。 会社は、あなたがやっていることはまだまだ足りないと思われているのです。 このことをマイナス面で捉えれば自分が思っている以上に評価されていない(≒自分を過信している)となり、プラス面で捉えれば会社は今やっている仕事以上にもっともっとやってくれると期待してくれている(≒自分を謙遜しすぎている)となる。
話がだいぶずれてきましたので、元に戻します。
ここで一応断っておきますが、プロ野球の球団に育成機関やプログラムを設けるな、という主張をするつもりはさらさらありません。 選手たちが自分達が1軍で戦力として、そして勝利・優勝に貢献できるようにさまざまなスキルを自発的に伸ばそうとするのであれば、それをいつでもサポートする体制・機関・プログラムは、球団が用意していた方が良いに決まっています。 それは「勝利」「優勝」という(ほとんどの場合)共通の一致した目的・目標があってのことですから、言い方は悪いですが、選手と球団の利害が一致したのであれば、球団としても限られた予算の中でできることはサポートしていくことはやぶさかではないでしょうからね。 まあ、最終的なというか究極の目標・目的は、球団は売上向上・利益拡大、選手は高額年俸・各種保証(複数年契約とかバイアウトとか)でしょうが・・・
「育成の場を提供してもらう」のではなく、「自分が成長するために利用する」ような選手じゃないと、なかなか成長しないのではないでしょうか? 給与ももらって育成までしてもらってじゃ、親離れしてない歳だけとった子供と一緒ですからね。
同様に、少なくとも1軍において、力の足りない選手を「育成目的」で起用する、というのには私は大反対です。 というより、それは選手を甘やかしすぎだし、少なくとも私にとってみればファンに対する冒涜に近い意味に感じます。 ペナントレースの結果が出てしまったあと、つまり消化試合ならまだわかりますが。。。
ここでも勘違いされたら困るので断っておきますが、若手選手を起用するな、と言っているのではありません。 その選手を1軍に上げた目的、どういった場面で起用するのか、といったことが明確になっていて、それがチームの勝利に結びつくはずだと考えているのであれば、どんどん起用してもらいたいと思います。 例え総合点としては1軍レベルにない選手だとしても、もしかしたら外角低めに投げ込まれる変化球に対するバッティングセンスは優れているかもしれないですし、ワンポイントだったら左打者に対して非常に有効な投球をしてくれるかもしれない。 もちろん、それらのスキルが常にチームで1番である必要はありません。 必要な場面で、その時に一番必要だと思われれば良いわけです。 いつでもだれでも打席に立てるわけでもないですし、マウンドで投げられるわけではないのですからね。
これらのことを考えると、(推測でしかないですが)バレンタイン監督の選手起用に対する考え方は、野球に限らず、私の考え方に非常に近いのです。(実際の采配自体は考え方違うけどね。)
1軍はチームの勝利のため、優勝のためにのみ必要とされる選手の集まりである。 必要な場面で必要な選手と投入する。 その場面で、最高のパフォーマンスをしてくれるだろうと期待して。 そして、選手個人個人には、(選手全員に明確に伝えているかは別として)個々の役割が決まっている。 いまこの場面で求められている役割とは何か。 そして、その求められている最高のパフォーマンスとは何かを(意識的だろうが無意識だろうが)理解に努めてプレーする。
2軍は、1軍で求められるような選手を必要な時はいつでも求められるスキルを持つ選手を出せるようにしておく。 1軍の戦略や選手の状態をみて、いつでもオーダーに応えられるようにしておく。 もちろん、必ずしも全て完璧にオーダーに応えられるわけではないでしょうが、少なくともそのオーダーにできる限り沿う選手を送り出す。
2軍の選手たちは、全体的なスキルアップ・状態維持向上は当然のこととして、2軍だけでなく1軍の戦略・役割を常にウォッチしておき、「自分が1軍でやるためには何のスキルを伸ばしておく(アピールしておく)必要があるのか」を常に考えていないといけないのではないかと思う。 一所懸命やるのは当たり前。 努力は買うけれども、その努力の方向がいろいろな方向に分散していたり、チームの目的に合っていなければ意味がないのだから。
少なくとも私がプロ野球選手たちに求めているのは、その時に最高のパフォーマンスをしてくれること。
もちろん、その上で試合に勝利し、シーズン優勝してくれることが最も嬉しいことだけれども、相手もいることなので最高の結果になるとは限らない。 それはしょうがないこと。 相手だって、基本的には最高の結果を出そうと挑んでくるのですから、誰かが良い結果を出せば、他の誰かが悪い結果となる。
その時にできる最高のパフォーマンスをするために、自ら成長していかなければならない。 人よりも少しでも成長しようとしなければならない。 それは育成してもらう、のではない。
プロ野球をはじめとしたプロスポーツの世界は、一般的な会社社会に比べれば非常に高い給与を得られる可能性もあるけれども、逆にあっという間に仕事を失う可能性もあるわけです。 だからこそ、より成長しなければならないし、結果を出さなければならない。 そして、積極的にアピールもしなければならない。
いま2軍にいる選手達!
早くもっと結果を出し、アピールもして、1軍に上がってこい!
そして、だらしない1軍選手達を追い抜いて活躍してくれ!
決して、育成してもらおう、なんて思うなよ!
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