私は、どういってもボディガードの端くれではある。そこで、実際にあった警護記録を公表したいと思う。私は、南フランス地方で要人の警護にあたっていた。そこで、気づくのが日本人の治安への認識の甘さである。不用意に財布などを公衆の目の前で出す。これは、一番危険なことだ。南フランス地方では、すりなどの犯罪が多い。しかも、彼らはそれを職業としている。そのため、ある意味彼らは人のものを盗むプロといえるであろう。ついうっかりしていると、さすがの私でも財布を
取られてしまう可能性がある。一番やってはいけないのが、腹巻のようなポケットに厳重に貴重品をしまうことである。この行為をすれば、すぐにすりにはパスポートや財布の位置が分かってしまう。それで、私の部下であったボディガードはまんまとすりに貴重品を奪われてしまった。
そのため、駅などの場所ではなるべく貴重品を露見させないようにしなければならない。フランス語の分かるボディガードの話では、ニースの駅の八割はすりらしい。後は、裏街なども危ない。日本ではさほど気にされない場所ではあるが、フランスの場合では事情がまったく違う。要人が興味本位で裏街を散歩したいと言った時に、私も同行したが、とてもじゃないが、生きている心地はしなかった。ナイフを振り回している連中が無数にいたのである。早朝には、救急車が頻繁に出入りし、人々を治療していた。
次に話したいのが、要人をさらわれた場合である。これは遭ったら、ならない場合であるが、シークレットサービスでもその訓練が行われているので、かいつまんで話そう。まず、さらわれた要人の位置を特定し、突入の作戦を練る。はっきり言って、日本のSATやSITのように何も考えずに、突入するのは馬鹿である。こういう場合は、戦略が八割がたを占める。残りの二割が突入の技量だけの話である。戦略はだいたい決まっている。建物の周辺に狙撃者を配置し、犯人の動向を見守る。この時に、気をつけなければいけないのが、太陽の反射光である。不用意にスコープを開くと、太陽の光が反射して、位置がばれてしまう。これを踏まえて、次に行うのが、シークレットエントリーとダイナミックエントリーである。シークレットエントリーとは、その名前の通りに犯人に悟られないように近寄り、強襲するというものである。これは、犯人が興奮している場合に使う。なぜなら、犯人は人質の確保に熱中しているために、案外接近が容易だからである。ダイナミックエントリーとは、一挙に突入を敢行し、犯人の盲点を突くやり方である。これは、比較的犯人が冷静な時に行う。最後に、注意してもらいたいのが、銃口は通常、何もない所では上に向ける。近くにソファーなどの柔らかいものがある時には、そちらに銃口を向けながら、突入する。後は、銃の特徴を熟知し、距離を測って、正確に犯人に向けて、発砲する必要がある。もし、犯人が人質をはがいじめにしていた場合には、正確無比な狙撃が必要になる。要は、犯人を投降させるか、その場で頭を打ち抜くかを即座に決定する判断力が必要だということである。
取られてしまう可能性がある。一番やってはいけないのが、腹巻のようなポケットに厳重に貴重品をしまうことである。この行為をすれば、すぐにすりにはパスポートや財布の位置が分かってしまう。それで、私の部下であったボディガードはまんまとすりに貴重品を奪われてしまった。
そのため、駅などの場所ではなるべく貴重品を露見させないようにしなければならない。フランス語の分かるボディガードの話では、ニースの駅の八割はすりらしい。後は、裏街なども危ない。日本ではさほど気にされない場所ではあるが、フランスの場合では事情がまったく違う。要人が興味本位で裏街を散歩したいと言った時に、私も同行したが、とてもじゃないが、生きている心地はしなかった。ナイフを振り回している連中が無数にいたのである。早朝には、救急車が頻繁に出入りし、人々を治療していた。
次に話したいのが、要人をさらわれた場合である。これは遭ったら、ならない場合であるが、シークレットサービスでもその訓練が行われているので、かいつまんで話そう。まず、さらわれた要人の位置を特定し、突入の作戦を練る。はっきり言って、日本のSATやSITのように何も考えずに、突入するのは馬鹿である。こういう場合は、戦略が八割がたを占める。残りの二割が突入の技量だけの話である。戦略はだいたい決まっている。建物の周辺に狙撃者を配置し、犯人の動向を見守る。この時に、気をつけなければいけないのが、太陽の反射光である。不用意にスコープを開くと、太陽の光が反射して、位置がばれてしまう。これを踏まえて、次に行うのが、シークレットエントリーとダイナミックエントリーである。シークレットエントリーとは、その名前の通りに犯人に悟られないように近寄り、強襲するというものである。これは、犯人が興奮している場合に使う。なぜなら、犯人は人質の確保に熱中しているために、案外接近が容易だからである。ダイナミックエントリーとは、一挙に突入を敢行し、犯人の盲点を突くやり方である。これは、比較的犯人が冷静な時に行う。最後に、注意してもらいたいのが、銃口は通常、何もない所では上に向ける。近くにソファーなどの柔らかいものがある時には、そちらに銃口を向けながら、突入する。後は、銃の特徴を熟知し、距離を測って、正確に犯人に向けて、発砲する必要がある。もし、犯人が人質をはがいじめにしていた場合には、正確無比な狙撃が必要になる。要は、犯人を投降させるか、その場で頭を打ち抜くかを即座に決定する判断力が必要だということである。