記憶のおとしもの・わすれもの

忘れたくないこともたくさん忘れちゃうし、日々のことなんて、
もっと忘れてしまうなぁ。
大事に書き続けたいです。

横道世之介 読みました♪

2010年03月29日 | 本読みました♪
横道世之介
吉田 修一
毎日新聞社

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ステキな本でした
昨日を生きて、昨日が今日に続いていて、今日を生きたわたしが明日に続いてる
んだなぁ~って。
なんだかストンと心に落ちてきて、じんわりといろんなやさしい感情から派生する、
ありとあらゆる気持ちが広がる本でした

横道世之介さんが大学入学のために上京してきた4月から3月までのお話。
名前以外にものすごいとりえがあるわけじゃなく、自慢できるものがあるわけでも
なく、どちらかといえばマイペースで、時に流されやすく、でもまっすぐ素直で
確固たる夢や希望を持って東京に来たわけでもなく・・・、本当に普通の大学生で
ある世之介さんの話。
そしてそれは、バブルの時代であることが世之介さんの生活する描写の中で語ら
れていて、もうひとつ現在の時間軸で、世之介さんとその1年をともにした人たちの
その後が描かれている。
大学生活という華やかでキラキラした青春時代と、年齢を重ねた者たちの過去から
つながった現在を生きている姿。

おもしろくておかしくて、元気でかけがえなくて、驚きや新鮮さがあふれていて、で
も時にはつまんなくてしんどくて、また、切なかったり大変だったり、つらかったり。

でも、生きていることや、生活しているってことは、本当に当たり前のことなんだけれ
ど、過去から今がつながっていて、わたしたちはいつだって人や世界やものたちと、
大きく小さくにつながっているんだってことを、強く思いました。
生きているんだなぁ~って。切ないけれども。

読めてよかったぁ~