原題:PANDORUM PG12
2009年・アメリカ/ドイツ (107分)
制作:ポール・W・S・アンダーソン 、 ジェレミー・ボルト 、 ロバート・クルツァー
監督:クリスティアン・アルヴァルト
脚本:トラヴィス・ミロイ
原案:トラヴィス・ミロイ 、 クリスティアン・アルヴァルト
音楽:ミヒル・ブリッチ
出演:デニス・クエイド、ベン・フォスター 、キャム・ギガンデット 、アンチュ・トラウェ ほか
鑑賞日:2010年10月12日 (新宿)
鑑賞前の期待度:★★★
『エイリアンVSプレデター(2004)』や
『バイオハザードIV アフターライフ』などで、
“クリーチャーVS人類”のバトルを描いてきたポール・W・S・アンダーソン監督が、製作として関わった作品。
監督は、ドイツ人。
もともとSF映画が好きだし、
キャストにデニス・クエイドがいたので、「まぁ、ハズレではないだろう。」と見当をつけ、観てみることに。
果たして・・・。
西暦2174年、
増えすぎた人口と、不足する水と食料、資源の争奪戦の果てに、
人類は、地球型惑星タニスへと移住を計画。
選ばれた者たちを乗せた巨大宇宙船「エリジウム」が、
地球を出発!
宇宙船登場のシーンは、『2001年宇宙への旅』以来のお約束の映像。
船体を舐めるようにゆっくりと見せ、その巨大さを演出。
かなり細かいところまで作りこまれてました。
物語は、エリジウム内で、
ひとりの男が冷凍睡眠から目覚めるところから始まる。
目覚めたものの、自分が誰なのか記憶がおぼつかない。
どうやら、メカニック・エンジニア担当のバウアー伍長らしいと分かるが、
それ以外のことが、なかなか思い出せないし、手がかりも少ない。
そのうち、もうひとりの男が冷凍睡眠から目覚める。
デニス・クエイド演じる宇宙飛行士ペイトン中尉だ。
やはり記憶が混濁している。
ふたりが目覚めたところから、物語が動き始めるけど、
まさに、手探り状態。
何も分からないまま、ゆっくり、ジワジワと進む展開は、
まるで1作目の『エイリアン』のよう。
大勢の人間が乗っていたはずの宇宙船に、
どうして二人だけしかいないのか?
ほかの人間は、どこに消えたのか?
そもそも、今は宇宙のどこにいるのか?
と、ここまではSFサスペンス。
一方、じわりじわりと感じる不気味な気配。
闇に響くうなり声。
一瞬しか見えない異形の生物。
人間なのか?宇宙人なのか?
いったい、宇宙船の中で何が起きているのか?
次第に物語はホラーの様相を帯びてきて・・・
ぬぉ~~~~~!
ひぃ~~~~~!
ど~~~~~~ぉ!
あふぇ~~~~~~!
ええ~~~~~~~っ!?
なんともまぁ、
久しぶりに歯応えのあるSF映画でした。
クリーチャーもそうだけど、
この作品自体、なかなか正体をつかませてくれなくて。
途中から、「サヴァイバル・ホラーなんだぁ。」と思いつつも、
それだけで終わるわけでもなさそうだったし・・・。
噛んで、噛んで、噛み続けて、
「なんだろう?」「どういうことだろう?」「何が言いたいんだろう?」と咀嚼するうちに、
飲み込むタイミングを逃してしまったような、そんな気分です。
ただ、
クリーチャーの正体や地球の運命が明かされるころ、
この作品の根底にある哲学的テーマがチラホラと・・・。
SF度:★★★★★★★★
サスペンス度:★★★★★★
ホラー度:★★★★★★★
アクション度:★★★★
鑑賞後の総合評価:★★★☆
余談ですが、
惑星移住計画の背景にある水の争奪戦、資源の争奪戦は、
すでに始まっている現実問題。
先月には、
わずか20光年先に、水のある地球型惑星を発見したと、発表されたばかり。
哲学的なテーマを隠し持っているにしては、ちょっとホラー色が強すぎるのがもったいないかなという気がしないでもなかったですが、低予算ながら丁寧な作りはSFファンとしては嬉しい限りでした。
>知的好奇心を刺激して、本格的なSF映画を観た気にさせてくれる
は、まったく同感です。
一般ウケはし難い作品だと思いますが、個人的には、そこそこ気に入った作品です。