コナのシネマ・ホリデー

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『フリーダ』  外見で判断してスミマセンでした。

2010年07月28日 | じ~んときた映画
フリーダ【廉価2500円版】 [DVD]
 
アスミック・エース エンタテインメント

原題:Frida

2002年・アメリカ (123分)

制作:サラ・グリーン、サルマ・ハエック
監督:ジュリー・テイモア
脚本:クランシー・シーゲル、ディアンヌ・レイク ほか
出演:サルマ・ハエック、アルフレッド・モリーナ、ロジャー・リース、アントニオ・バンデラス ほか
音楽:エリオット・ゴールデンサル

 

鑑賞日:2010年6月3日(自宅)


常々、外見やほんの一面だけで、
すべてを判断してはいけないと思っているんです。
また、そうならないよう心がけているつもりでいるんです。
でも、
ついつい外見で判断していることってあるんですよね。

たとえば、映画のポスターやチラシ、DVDのパッケージとか。
一目見ただけで、内容もよく確かめずにスルーしている作品。
本当は良い作品なのに、デザインや俳優の顔を見ただけでパスしてしまっている作品。
案外、多いような気がしています。

ぼくの場合、この作品を観て、改めてそう思いました。
2002年公開の『フリーダ』。

はじめてこの映画のポスターを見かけたとき、
「えっ?!この人眉毛が繋がってる?」と、驚いたものです。
そのインパクトに目を惹きつけられたものの、

それ以上の興味は湧かず、そのままスルー。

さらにDVDが発売された後も、パッケージを手にとっては、
「やっぱり繋がってるよなぁ。」と、
眉毛を確認しただけで棚に返していました。

「もしかしたら、生涯この作品を観ることはない。」というくらい、
ぼくにとって全く縁の無さそうな作品だったのに、
なぜか、今更観てしまったのです。
フリーダを演じたのが、『デスパレート』のヒロイン役サルマ・ハエックだと知ったから。
(気づくのが遅すぎました。もっと早くに分かってれば・・・。)

「ええっ、そんなことで?」といわれてしまいそうですが、
きっかけなんて、そんなもんです。
たとえ、きっかけが些細であっても、
意外な作品に出会えるオドロキや喜びがあるのも映画の魅力。



そんなわけで、ぼくはこの作品を通して、
《フリーダ・カーロ》という凄まじい人生を送った画家の存在を知ったのでした。

6歳でポリオに罹って右足が不自由になり、
二分脊椎症も患う。
後に、乗っていたバスの事故で、
肩の脱臼、肋骨・鎖骨・背骨・骨盤の骨折など瀕死の重傷を負うも、
度重なる手術を経て
奇跡的に回復。

怪我の後遺症による流産や痛みに苦しみながらも創作活動を続けるが、
ついに46歳で壊死による右足切断
そして、肺塞栓症で47歳にして亡くなる。

こうして書き記すだけでも、息切れがしそうなくらい。

病歴だけでも充分波乱に飛んでいるというか、生きていることが不思議なくらいなのに、
プロレタリア・アートの旗手であった夫の妻として、
また自身も画家として、共産党員として、活動家として、
バイセクシュアルとして生きた人生は、
とうていぼくのような凡人には及びもつかないもの。

こんな女性がいたということ自体が、オドロキ以外の何ものでもありませんでした。


そして、ぼくは思ったのです。
単にラテンの血というだけではない、
女性として、一個の人間として、強く生き切ったその姿は、
彼女の残した作品とともに、見るものの心に深く刻まれ、
これからも語られ続けていくに違いないと。


観終わった時、
あれだけ気になっていた眉毛は、彼女の強烈な個性であると同時に、性を超えた強さと美しさの表れと思えるようになっていました。

すごい人を知ってしまったという思いです。


圧倒される人生感:★★★★★★★★★
性を超越する存在感:★★★★★★★★★★
サルマ・ハエックの体当たり度:★★★★★★★★★★★★
眉毛が繋がっててもいい度:★★★★★★★★★★

総合評価:★★★★☆ (4.5)

つくづく外見で判断しちゃダメだった思いました。
反省。


フリーダ・カーロ―太陽を切りとった画家
ローダ・ジャミ
河出書房新社
フリーダ・カーロ―引き裂かれた自画像 (中公文庫)
堀尾 真紀子
中央公論新社


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