1)Hospital in the Home - 在宅でも病院のような医療体制
日本人の5人に一人が75歳以上という超高齢社会を迎えて、高齢者医療は「治す医療」から、「治し支える医療」へと大きな転換が図られ、急性期入院医療と在宅医療の二極化が進められています。現在、当院では医療依存度の高い在宅療養の患者さんに対して、「Hospital in the Home」という包括的な在宅診療モデルを実践しています。
事業を支える柱は訪問看護と医療介護情報共有システムです。
地域全体を大きな病棟と考え、①訪問看護師が病棟看護師のように医療依存度に応じて訪室(訪問)する、②その情報をネットワーク上の情報共有システムに入力して医師と共有する、③必要に応じて判断、指示、往診を求める、まさに在宅でも入院と同様な診療体制(Hospital in the Home)を作るわけです。さらに、リハビリテーションスタッフ、薬剤師、ケアマネージャー/ソーシャルワーカー、場合により遠隔に住む家族などが情報共有のメンバーとして加わり、外来受診時のリハビリ、服薬や栄養の指導内容、介護サービスの利用状況、あるいは家族会議の情報などを共有します。
目標は基礎疾患の管理とフレイルの予防。そして可能な限りの社会参加です。
2)多死社会がやってくる
超高齢者が多い社会は裏を返せば多死社会となります。75歳以上の後期高齢者の死亡は近年、急速に増大し、現在では75歳未満の死亡者は全体の4分の1に過ぎません。死亡者の年齢のピークもだんだん高齢化して現在では85歳~94歳に最頻となっています。
日本人の5大死因はがん、心疾患、脳血管疾患、老衰、肺炎ですが、年齢毎での特徴があります。また、近年、老衰での死亡が多くなってきています。
3)最期まで支える医療
最期を迎えたい場所は自宅?、基礎疾患により異なります。
最期まで支える医療の質の向上には、基礎疾患ごとの最期を迎えるメカニズムを理解する必要があります。
4)健康寿命を延ばす
介護サービスを必要とする病態は男女で差があります。寝たきり度/日常生活自立度から必要な介護サービスを考えてみましょう。
5)訪問看護に何を期待するか?
訪問看護師は在宅で療養する患者さんの最も近くにいる医療専門職、他の専門職と連携をとりマルチタスクで活動している。
(院長)