国語屋稼業の戯言

国語の記事、多数あり。国語屋を営むこと三〇余年。趣味記事(手品)多し。

ら抜き言葉対策(可能動詞の解説もあるよ)

2021-08-22 14:10:32 | 国語
ゆうきとも(@tomoyukimagic)さんがツイートしました: 20代後半のマジシャンでしたが、マジックの締めの部分(クライマックス)において 「…信じれますか?」 「…もし信じれるとすれば…」 「…信じれたのならステキです!」などと 最も重要なシーンにおいて、連続で使われたときはさすがに引きました。(^^;) 観客の年齢層が上の場合は考慮するべきかと。 https://twitter.com/tomoyukimagic/status/1428597499963400193?s=20
●前後のtweetをリンクできなくて(私がヘタレなせい)、文脈がわかりにくい引用になってもうしわけない。
●ゆうきとも氏の意見に完全に同意。年齢にかかわらず、人前で「ら抜き言葉」はできるだけ避けたいよねえ。
●というわけで国語屋からアドバイス。
●「ら抜き言葉」かと思ったときの簡単な区別の仕方は「~る」の「る」の上が命令形になっているか、どうか。
●例えば「信じれる」の場合、「信じれ+る」になるが、一部の地方を除き、命令形は「信じろ」で「信じれ」ではない。というわけでら抜き言葉とわかる。一方、「書ける」「読める」はそれぞれ「書け+る」「読め+る」で命令形のあとについているのでら抜き言葉ではない。文法用語で「可能動詞」という。
●ここで可能動詞についてもまとめちゃう。中学生向き。文法用語を見ると頭がくらくらする人は最後の行に飛んでくだされ。
●元は五段活用(「ない」をつけるときに直前がア段)動詞で可能の意味を持つ下一段活用(「ない」をつけたときに直前がエ段)動詞のことを可能動詞と言います。ここ前提。
●下から可能動詞を選ぼう。
1. 見れる
2. 見られる
3. できる
4. 走れる
5. 読めれる
●4のみが可能動詞。
1はら抜き言葉。なお、助動詞「れる・られる」には「受身・尊敬・可能・自発」の意味があり、文脈で確認しないといけないのだが、「見れる」だと可能に限定されるから合理的とする説もある。まあ、人前ではら抜きは避けるなあ。いや、私生活でも避けているな。これは業だな。外国人に日本語を教えるときに合理的なのが「可能動詞」と「ら抜き言葉」のどちらかが大事かもなあ。
2は上一段動詞「見る」の未然形に助動詞「られる」がついたもの。
3は元が五段動詞でないので可能動詞ではないよ。
5。5が問題の日本語(私にとって)。「読める」は「読め+る」なので可能動詞。それにさらに「れ」を入れているのである。「れ足す(れ入れ)言葉」である。「見られる」が「見れる」になるのは意味が限定され、文字数も一文字減るというわけで合理的とする立場がある(私は一理あるとは思っている)のだが、「れ足す言葉」は非合理的である。これは「ら抜き」を意識しすぎての誤用なのかなあ。
●「ら抜き言葉」避けるには「命令+る」でチェックをすればよいということで。また、原則として「命令+れ+る」のときは「れ足す(れ入れ)言葉」なのでご注意を。

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