山登り・里歩きの記

主に関西地方を中心とした山登り、史跡巡りの紹介。要は”おっさんの暇つぶしの記”でんナァ!。

聖徳太子の里・斑鳩散策(その2)

2014年01月15日 | 寺院・旧跡を訪ねて


藤ノ木古墳を後にし、法隆寺を過ぎ北に向かう。矢田丘陵の裾野に沿って上って行くと車道に出ます。「松尾山詣での道」と標され、傍に丁標石「十八石」が建てられている。この道は、矢田丘陵上にある松尾寺への表参道なのです。丁標石はその道しるべで、ここが出発点になっている。横の堤は「天満池」で、この周辺には灌漑用のため池が沢山造られている。この天満池と車道を挟んだ横が天満山で、その麓に地域の守り神「斑鳩神社」が鎮座している。車道脇にすぐ石の鳥居、石階段があり近い。境内は狭く小さな神社だが、正月用に飾られ、格式ありそうな落ち着いた風格が漂う。この神社の祭神は菅原道真公だが、ここの境内には総社明神、五所明神(法隆寺東院の総鎮守)、白山権現も祀られている。もともと法隆寺境内に有ったのだが、神仏分離により明治2年(1869)ここに遷祀されたものだそうです。あの法隆寺といえども明治の廃仏毀釈の嵐は避けられなかったようです。

天満池を後にし、法輪寺を目指す。墓地あり、池あり、サイクリングロードあり、そして田畑が広がる中をのんびり20分ほど歩く。車道だが、車の往来は少なく歩きやすい。前方に三重塔が見えてきました。
法輪寺前を左に曲がり細道を進めば、民家の込み入った一角に国史跡「三井(みい)の井戸」跡がある。聖徳太子は我が子の産湯を使うのに三つの井戸(御井、赤染井、前戴井)を掘ったと伝えられ、その古井戸の1つで、「赤染(あかぞめ)の井」とも呼ばれた。聖徳太子と関係がある国史跡だけに,野ざらしの井戸とはわけが違い、瓦葺屋根に覆われ,柵で囲われている。法輪寺の別名である「三井寺」「御井寺」もこの井戸からきているようです。
聖徳太子の長子・山背大兄王が太子の病気平癒を願って建立したとされる法輪寺です。法隆寺の五重塔、法起寺の三重塔とともに斑鳩三塔と呼ばれる国宝の三重塔が有名でした。ところが1944年(昭和19年)7月21日、落雷により焼失してしまったのです。大東亜戦争の金属供出のため避雷針が撤去されていたのです。戦後、作家幸田文さんらの尽力で再建されましたが、国宝指定は解除されてしまいました。ここにも皇軍の犠牲者(寺)がおられるようです。ところで伊勢神宮の避雷針も撤収されたのでしょうか・・・?

法輪寺から東に歩き、瓦塚池傍の「瓦塚古墳群と三井瓦窯跡(みいがようせき)」を訪ね、そこから法起寺(ほうきじ)へ向かいました。ここの三重塔は、幸いなことに創建当時(八世紀初頭)の姿を残し、国宝にもさらには世界文化遺産にも登録されている。法隆寺など通常は塔が左なのですが、ここの塔は右側に配置された伽藍配置をとっているのが独特。奥の収蔵庫には国指定重要文化財の「木造十一面観音菩薩像」が安置されている。杉材の一木彫で像高350cm。外から金網越しに眺めることができるようになっている。3mを超える仏さまが,金網の向こうの狭い空間に立たされ収容されているお姿は、何か寂しく悲しくも異様です。**所に面会に来たような気分で、解き放ってあげたい気になります。

法起寺から南に下がり、国道25号沿いに出ると、二つの小さな古墳があります。写真では、奥が「駒塚古墳(こまづか)」、手前が「調子丸古墳(ちょうしまる)」です。駒塚古墳は、聖徳太子の愛馬「黒駒」を葬った墓とされる。太子はこの馬に乗り飛鳥の宮殿まで通勤(宮?)されたそうです。そして黒駒の手綱をとり、太子にお供したのが舎人の調子丸。どちらの古墳も、柵で囲われたり、道が無かったりで近寄ることはできない。そして丸く小さくなっているが、開発で周辺が削り取られているようです。どちらの古墳も聖徳太子に関係付けられているが、築造が古墳時代前期後半(4世紀後半)と推定されているため,時代が合いません。あまり細かく詮索しないで、斑鳩は全て太子の里として散策するのが分かりやすく楽しい。

古墳からさらに3~400m南へ下がり富雄川沿いに出ると、上宮遺跡と成福寺跡がある。この周辺は、聖徳太子が最愛の妃・膳大郎女(かしわでのおおいらつめ)と共に晩年を過ごした「飽波葦垣宮(あくなみあしがきのみや)」の伝承地。太子もこの宮で亡くなったと伝えられている。
平成3年の発掘調査で、大型の掘立柱建物群や軒瓦などが見つかっている。上宮遺跡は公園として整備され、子供達の遊び場に。成福寺のほうは、廃寺となり跡地だけが周囲を金網フェンスで囲まれ残されている。「危険ですので境内への立ち入りをご遠慮ください」の注意書きがある。何が危険なのだろう?。
近年、聖徳太子像が揺らいでいます。私も「歴史の真実を知りたい」という気持ちと、太子のイメージ(多分創作された・・・)を壊したくないという気持ちで揺らいでいます。

詳しくはホームページで。

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