私たちが岩手県議会に提出(2014.12.3)した請願内容と、環境福祉委員会で審査された際に県保健福祉部から出された資料です♪
【受理番号】134
【受理年月日】26.12.3
【請願の要旨】
○子どもの医療費助成制度拡充を求める請願
(請願趣旨)
さきの厚生労働省の発表によると、子どもの貧困率は過去最悪にあり、日本の子どもの6人の1人が貧困状態にあることが明らかになった。実際、私たちの身近でも、窓口負担のお金がなく病院に行けなかった、慢性の病気で定期的に通院しなければならないが経済的負担が大変などの声が聞かれる。
少子化対策の面からも、親の経済状況に左右されることなく、必要な医療が受けられることは重要である。償還払い方式委は、全国的に見ても2014年4月現在、10道県、東北では岩手県のみとなっている。
子育て世代の経済的困難が広がる中、必要なときに安心して医療機関を受診し、子どもの健康を守るためにも、現物給付方式にするとともに、助成対象のさらなる拡充が必要である。
これまで32の保育園、幼稚園、放課後児童クラブ、35の団体、13の病院、182人の個人が当会の運動に賛同し本県の子どもの医療費助成制度拡充を求める署名に取り組み、2か月半という短い期間に署名数は3万筆を超えている。現物給付方式の実現を求める訴えは切実であり、少子化が進む中、子どもの医療費助成制度拡充は喫緊の問題である。
以上のことから、次の事項について請願する。
(請願事項)
1 全ての子どもの医療費を窓口負担のない現物給付方式とし、中学校卒業まで全額助成すること。
2 現物給付方式を理由にした国民健康保険国庫負担金の減額措置を廃止するよう、国に対して意見書を提出すること。
【提出者の住所及び氏名】盛岡市津志田26地割30番地1 子どもの医療費助成制度拡充を求める岩手の会 共同代表 伊東 宗行 外4名
【紹介議員】岩崎友一 高橋昌造 喜多正敏 軽石義則 小西和子 斉藤信 清水恭一 吉田敬子 小野寺好
【摘要】保健福祉部
「子どもの医療費助成制度拡充を求める請願」に係る資料
環境福祉委員会資料
平成26年12月8日
保健福祉部健康国保課
1 制度の概要
(1) 目的
本県の乳幼児医療費助成事業は、乳幼児に対して、適正な医療を確保することにより、心身の健康を保持するとともに、生活の安定を図るため、市町村が医療費を助成した場合に、その経費の一部を補助している。
(2) 仕組み
① 単位 1レセプト(1医療機関の1カ月の医療費)当たりの自己負担額
② 補助基本額 医療保険各法等により患者が負担すべき額から、受給者負担額を控除した額に対して、市町村が助成(給付)した額(一定額以上の高額療養費分は除く。)
③ 県の負担 補助基本額の1/2
④ 対象者、所得制限及び受給者負担
対象者:6歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者
所得制限:児童扶養手当(一部支給)の所得制限限度額+80万円(扶養者2名の場合は、年間所得348万円以下の者が対象)
受給者負担:1レセプトあたり入院5,000円まで、入院外1,500円まで(ただし、受給者が3歳未満又は監護者が市町村民税非課税の場合は、受給者負担がない。)
(3) 所要額
489,043千円(平成25年度県補助金決算額)
2 窓口負担の現物給付
(1) 現物給付化の課題
○本件では昭和48年の制度開始時は現物給付の方法を採用していたが、昭和59年度の国保財政調整交付金等の減額措置(以下「ペナルティ」という。)の開始に合わせ、給付方法の見直しを行い、市町村等と協議のうえ、平成7年8月に現物給付から償還払いへ変更している。
○本県の全ての医療費助成制度(乳幼児、妊産婦、重度心身障害者、ひとり親)を現物給付にした場合、市町村国保に対するペナルティとして薬7億3千万円(乳幼児のみの場合は約4千万円)の減額が見込まれ、厳しい財政状況にある市町村国保の財政をさらに圧迫する。
○昨年7月に、改めて市町村に現物給付に対する考え方を調査したところ、「現物給付は望ましいが、減額措置が存続されている状況では、厳しい財政環境の下、現物給付化は慎重に考える必要がある」との意見が大勢であった。
(2) 国に対する要望
地方単独事業により一部負担金を医療機関の窓口で軽減する場合の国民健康保険療養給付費等負担金及び調整交付金の減額調整を廃止することについて、平成19年度から毎年度、国に対して要望している。
平成27年度政府予算提案・要望(部長)H26.6.11
3 助成対象の拡大
本県の乳幼児医療費助成について、現在の就学前までの対象を拡大するためには、多額の件費負担が見込まれるところであり、県単独政策において、県立病院等事業会計負担金が多額になっていることなどから、助成対象の大幅な拡大を実施することは難しいこと。
○小学校卒業まで拡大:約3億9千万円
○中学校卒業まで拡大:約6億円
4 現在の取組状況
人口減少対策や子育て支援の観点から、窓口負担の現物給付と助成対象の拡大について、市町村等と協議を行っている。
参考
1 全国の現物給付化の状況(乳幼児)(平成26年4月1日現在)
○現物給付(22)宮城県、秋田県、山形県、茨城県、群馬県、千葉県、東京都、新潟県、山梨県、岐阜県、静岡県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、香川県、高知県、福岡県、佐賀県、大分県、宮崎県
○現物・償還併用(15)青森県、福島県、栃木県、神奈川県、富山県、愛知県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、和歌山県、徳島県、愛媛県、長崎県、熊本県
○償還払い(10)北海道、岩手県、埼玉県、石川県、福井県、長野県、三重県、奈良県、鹿児島県、沖縄県
2 県内市町村の取組状況(平成26年4月1日現在)
(1) 対象年齢の拡大
○小学校1年まで(1町)紫波町
○小学校3年まで(1市)北上市
○小学校卒業まで(10市)盛岡市(入院に限り)、宮古市、大船渡市、奥州市、花巻市、久慈市、一関市、陸前高田市、釜石市、八幡平市
○中学校卒業まで(9市町村)遠野市、雫石町、葛巻町、岩手町、金ヶ崎町、平泉町、住田町、大槌町、軽米町
○高校卒業まで(5町村)一戸町、普代村、野田村、田野畑村、九戸村
(2) 所得制限の緩和
○3歳未満制限なし(1市)花巻市
○就学前制限なし(2市町)一戸町、釜石市
○制限なし(22市町村)盛岡市、宮古市、奥州市、一関市、八幡平市、雫石町、葛巻町、岩手町、滝沢村、紫波町、矢巾町、金ヶ崎町、住田町、大槌町、山田町、岩泉町、田野畑村、普代村、軽米町、洋野町、九戸村、平泉町
(3) 受給者負担の軽減
○限度額を軽減(10市町村)盛岡市、奥州市、花巻市、久慈市、遠野市、滝沢村、矢巾町、山田町、軽米町、一戸町
○負担なし(15市町村)宮古市、大船渡市、一関市、陸前高田市、二戸市、八幡平市、雫石町、葛巻町、平泉町、住田町、田野畑村、普代村、洋野町、野田村、九戸村
3 全国の乳幼児医療費助成制度の対象年齢(平成26年4月1日現在)
<入院>
○3歳未満(なし)
○4歳未満(1)熊本県(3子以上世帯は就学前)
○5歳未満(なし)
○就学前(22)青森県、岩手県、宮城県、埼玉県、富山県、石川県、山梨県、岐阜県、滋賀県、大阪府、和歌山県、島根県、広島県、山口県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、宮崎県、鹿児島県
○小学3年(3)茨城県、福井県、長野県
○小学6年(8)北海道、秋田県、栃木県、新潟県(3子以上世帯は高校卒業まで)、三重県、京都府、岡山県、徳島県
○中学生(12)山形県、群馬県、千葉県、東京都、神奈川県、静岡県、愛知県、兵庫県、奈良県、鳥取県、大分県、沖縄県
○高校生(1)福島県(小1~小3は県補助なし)
<通院>
○3歳未満(3)宮城県、新潟県(3子以上世帯は中学校卒業まで)、大阪府
○4歳未満(4)富山県、石川県、熊本県、沖縄県
○5歳未満(1)山梨県
○就学前(25)北海道、青森県、岩手県、山形県、埼玉県、神奈川県、長野県、岐阜県、愛知県、滋賀県、奈良県、和歌山県、島根県、岡山県、広島県、山口県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、宮崎県、鹿児島県
○小学3年(3)茨城県、千葉県、福井県
○小学6年(5)秋田県、栃木県、三重県、京都府、徳島県
○中学生(5)群馬県、東京都、静岡県、兵庫県、鳥取県
○高校生(1)福島県(小1~小3は県補助なし)
以上、岩手県議会環境福祉員会での資料でした。
ちなみに、岩手県を含む現在償還払いの10道県のうち石川県は来年度にも現物給付にするとしていますので、残るは9県。
も一つちなみに北海道の南富良野町では、道の助成制度に町独自に超上乗せして22歳まで助成しているそうです。以下南富良野町ホームページより。
すこやか子ども医療費助成制度について
町では平成23年8月1日から、これまでの乳幼児医療費助成制度の名称を「すこやか子ども医療費助成制度」に変更し、医療費助成の拡大をします。
○対象者
町内に住所を有する0歳から22歳に達する日以後の最初の3月31日までの乳幼児・小学生・中学生・高校生・大学生・各種専門学校生が助成対象となります。ただし、通信制の学校や修学年限が1年未満の学校に在籍されている方は助成対象となりません。
→ 南富良野町HP 医療のページ